年間4万トンのゴミを排出するニューヨーク。環境問題への意識は総じて低い

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 筆者が在住しているニューヨークから一時帰国すると、日本の美化意識の高さに改めて驚かされる。成田空港に降り立ち、向かったトイレで「ここで寝られるな」と思うくらいだ。街中には、ゴミ箱がほとんど設置されていないにもかかわらず、1度に3,000人が横断することもある渋谷のスクランブル交差点にすら、空き缶1つ落ちていない。

 各自治体によって家庭ゴミまでもが管理され、「ゴミは朝の8時半までに出してください」と言われれば、寝坊して9時前に出すのさえも躊躇する。今日は何曜日だっけ、という質問に「ビニールの日」や「金物の日」で応えると会話が成り立つゆえ、おかげで実家は、ゴミ屋敷ならぬ“ゴミ箱屋敷”。街中にない分、家に隠し持たれるその箱たちは、ペットボトルのキャップにまでも行先を導いているのだ。

 パリ協定からアメリカが離脱したことは記憶に新しいところだろう。同協定は190か国以上が署名した、いわば世界総出の環境運動である。アメリカの温室効果ガス排出量は世界の15%以上を占め、中国に次ぎ第2位。一人当たりの排出量で考えると、トップに躍り出る。そんな国が抜ければ、今後、同協定の実効性が弱まることは想像に難くない。

 今回の離脱には国内からの批判も多く、オバマ前大統領をはじめ、アメリカを代表する多くの企業や著名人が怒りの声をあげている。

 米紙ワシントン・ポストによると、今回の協定離脱に反対しているアメリカ国民は約59%、賛成はわずか約28%にすぎない。

 この結果から、少なからず「環境問題に取り組むべき」なるアメリカ国民の意志を汲み取ることができるのだが、“ゴミ箱屋敷”出身の筆者がニューヨークの街並を歩いていると、大手企業による環境改善努力は垣間見えるものの、「根本的要因」が邪魔して、個人ベースでの取り組みには、まだまだ根気と時間がかかるように思える。

 その「根本的要因」の多くは、文化や習慣、アメリカ人の体質にある。

 数例挙げてみよう。

 アメリカでは、どんなに天気がよくても洗濯物を外に干さず、乾燥機を使うことが一般的である。それには、アレルギー物質の付着防止、景観の維持、さらには「外干しは“乾燥機すら使えない貧困家庭”という固定観念がある」という、彼らなりの言い分がある。

 また、エネルギー効率の悪い年季物のエアコンを4月から使い始め、地下鉄やオフィスビル内は冷蔵庫内のように冷やされるが、アジア人よりも体温の高い欧米人にはそれが適温らしく、キンキンの地下鉄車内をアイスコーヒー片手に、キャミソール姿で過ごすニューヨーカーをよく目にする。

 家庭内では蛍光灯ではなく、より電力消費量の高い電球を使い、間接照明で過ごすのが主流だ。ムードの演出、というのも1つの理由だが、国内で約7割を占める白人の目にはメラニン色素が少なく、蛍光灯は眩しく感じるため、普及しにくいというのが根底にある。

 日本から見ると、大いに改善の余地があると思えるこれらアメリカの習慣は、必要以上に電力を使い、より多くの温室効果ガスを排出する一因となっていることは、言うまでもない。

◆環境問題を自然科学として捉えていないアメリカ

 元々アメリカには、トランプ大統領がパリ協定離脱時に発した「(同協定は)アメリカにとって不利益だ」という言葉を裏付けるように、環境問題を自然科学的な数字よりも、効率や経済に与える影響を優先してとらえる傾向がある。実際、生活している中で、「節水」「節電」といった言葉はほとんど耳にしない。したとしても、それは「光熱費の削減」のためで、まだまだ「環境問題」にはリンクしていない。

 そんな「効率・経済優先」の姿勢が顕著に表れるのが、ゴミ問題だ。