相変わらず話題を振りまいている『やすらぎの郷』ですが、シルバータイムドラマ枠の後番組が遂に発表されましたね。

倉本聰&老優たちがやりたい放題大暴れしているこの枠を引き継ぐのは相当ハードル高いだろう……と思っていたけど、「そっかー、コレがあったか!」と膝を打ちまくるチョイス。『トットちゃん』かー!

『徹子の部屋』流れで視聴しているシニア層が多いであろうことを考えれば、もう完璧な企画!

徹子さんの誕生前から、『窓ぎわのトットちゃん』時代、さらにテレビ業界に入って以降も描くようで、2016年にNHKで放送された『トットてれび』との比較なんかも楽しめそう。

子ども時代の徹子役は、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』で春子の幼少期&『ごちそうさん』でめ以子の幼少期を演じた豊嶋花だと既に発表されているが、大人になった徹子を誰が演じるのか!? 『トットてれび』での満島ひかりが相当ハマッてたからなぁー。

徹子さんの人生を描くということで、「女の一代記」な朝ドラと似た雰囲気にならないといいけど。NHKではとてもやれない、昼ドラならではのエグイ話もグイグイぶっ込んで頂けるとサイコーなんだけどなぁ。

……それはそうとして、まだまだ続く『やすらぎの郷』(テレビ朝日・月〜金曜12:30〜)第9週。

第10週は、若かりし頃、歌劇団の同級生だったが、色々あって絶縁していた及川しのぶ(有馬稲子)と犬山小春(冨士眞奈美)という、老女ふたりの悲しみウィークでした。


昔のこと言われたって、思い出せないの(認知症だから)


前週のラストで久々に再会したふたり。

小春に泣きながら抱きつかれ、しのぶも「私も会いたかったわ」なんて応えたものの、微妙に困惑した表情を浮かべていた。

こりゃあ、口ではいいこと言ってても過去の因縁を引きずりまくっているに違いない。バッチバチのバトル必至じゃ! と思っていたのだが、予想外に和やかな雰囲気に。

過去を謝罪した小春に対する、しのぶのリアクションがよかった。

「昔のこと言われたって、思い出せないのよ、私。あんたも忘れなさい、認知症にかかりなさい」

このドラマ、ちょいちょい老人あるあるとして「認知症」ネタが出てくるけど、認知症がはじまっていると陰口を叩かれていたしのぶの口からこのタイミングで言われちゃうとグッときてしまう。

「認知症」の一言で過去のいざこざを吹っ切ってしまえる関係っていいよね。

パーティーで小春が語った、超長ゼリフな熱いスピーチも、やたらエモーショナルでグイグイ胸をつかまれた。

本場ブロードウェイの演劇事情……ということで披露した、ニューヨークで出会った老人──60歳までシャカリキに働き、それから演劇学校に入り、70歳で卒業して、74歳で主役の座を手にした、男の話。

70を過ぎてまだ人生を、これからはじめようとする男の話だ。

これを聞いた菊村栄(石坂浩二)は、

「歳を取り、既に人生をあきらめた我々に何が言いたかったのか……」

と涙を流したのだが、まだ人生をあきらめていなさそうな……「やすらぎの郷」で、やすらかな老後を送りつつも、どこかで「もう一発花を咲かせたい!」という野心が見え隠れしている老女たちの心にはさらに突き刺ささったのではないだろうか。

若い頃にMCを務めていたテレビ番組『しのぶの庭』を復活しようという計画があると聞いて浮かれまくっていた及川しのぶも確実にその一人だろう。満面の笑みで小春の感動のスピーチをたたえていた。

……が、そんなハートフルな場面の直後に『しのぶの庭』の件が全部ウソだったという展開を持ってくるから倉本聰は恐ろしい。

悲惨展開のまま次週に続く!


犬山小春と一緒に「やすらぎの郷」を訪れていた元・Bテレの石上五郎(津川雅彦)。

彼はBテレのコンサルとして呼び戻され、『しのぶの庭』を復活させるために動いている……とか何とか語っていたが、それは全部ウソ。

しのぶのソフレ(添い寝フレンド)・貝田は番組復活のための資金として、しのぶの隠し財産を石上に渡しており、騙されたことに気づいて自殺未遂を起こしてしまう。

『しのぶの庭』復活という話が詐欺だった&貝田が自殺未遂というW悲惨お知らせを聞いたしのぶは当然ザ・絶望。「イヤダーッ!」というド直球な叫びを上げる。

さらに悲惨なのが小春。

今まで一緒に暮らしていた石上に姥捨てされた上に、やっと和解した旧友を騙す片棒をかつがされた形となってしまったのだ。気まずすぎるにも程がある!

そして、石上との共犯を疑われた小春が警察に連行されてしまうという、救いようのないドトウの悲惨展開で金曜日がエンド。

次週に引っ張る引っ張る!

かつて『水戸黄門』では、来週まで生きていられる保証のないシニア視聴者に配慮して1話完結にしていた……なんて伝説があったけど、配慮しないねぇ〜倉本聰。

この展開じゃ、気になって死にきれないよ!

「続きを見るまで長生きしろ!」という倉本先生からのメッセージなのかも知れないが。

助けてあげて、秀サン!(チューしたんだし)


本筋とはあまり関係なかったけど、伝説の昭和スター・秀サンこと高井秀次(藤竜也)と小春の謎過ぎるラブシーンにはほっこりさせられた。

みんなから嫌われ、避けられている小春に、みんなから求愛されている秀サンがハマッたという意外すぎる展開。

ポカーンと口を開けたまま小春の顔を見つめる秀サン。

「いい顔におなりになりましたね」

秀サンのストライクゾーンがどこだったのかというと、シワ! 菊村の部屋にかくまわれていた時も唐突に「シワ is ビューティフル」という話をしていたけど、あの設定、引っ張るんだ。

「このシワが描きたいんです、(顔をナデナデしながら)描かせてください!」

「秀サン、最近シワフェチになったの?」

ここでいきなりほっぺにチュッて。なんだこの人! 任侠映画でスターになった渋いスターじゃなかったのか……?

かつて、老女優たちが厚化粧でシワを隠してしまうことをなげいていた秀サンだが、日本の芸能界をドロップアウトし、アメリカに渡ってからも苦労をしっぱなしだった小春の顔に刻まれたシワに何かを感じ取ったのだろうか?

まあ、化粧の厚さに関しては他の老女優陣に負けず劣らず極厚だとは思うが。

みんなから嫌われてる上に、男から姥捨てされ、警察に連行されちゃうという、ちょっと救いがなさ過ぎる小春の数少ない味方として、秀サンが手を差し伸べてくれることを期待したい。

……というか今回、菊村はほっとんど何にもしていないので、(ナレーションして顔芸やっていたくらい)もうちょっと活躍しろ、石坂浩二!
(イラストと文/北村ヂン)