睡眠にまつわるお悩みは、十人十色。いろいろなお悩みがあるようです。

「いつもなかなか眠れません。ところがこの前、寝る前にうちの会社の“社則”を読んでみたら不思議とすぐ眠くなりました。寝る前のルーティンとして、このようなあまり興味がないというか、重要でないというか、そういうものを読むというのもアリでしょうか?(珠美さん・26歳)というご質問です。友野なおさんに聞いてみましょう!

“社則”を読んで眠くなるはアリ

誰しも1度は、「眠れない夜」を経験したことがあると思います。実際、これまでにも「眠れない夜、どうしたらいいか?」という相談を数多く受けてきました。中には、就床してから5時間も眠れないと悩んでいる方も。ストレスフルで忙しい現代において、多くの人にとって非常に深刻な悩みのひとつになっているのです。

「眠れる体質」に生まれ変わる手段として有効なのが、入眠儀式を行なうこと。入眠儀式とは「眠るための条件づけ」のようなもので、「これをすれば眠れる」という自分なりの行ないを習慣づけることをいいます。就寝前に毎日同じ行ないを淡々と繰り返し行うことで、脳と体に自動的に眠りのスイッチを入れるというおまじないのような習慣です。

では、何を入眠儀式にすればいいのでしょうか?人それぞれで、特に決まりはありません。パジャマに着替える、ストレッチをする、アロマを焚くなど、何でもかまいません。あなたが「これなら続けられる」と思えることであればいいのです。

ただし、テレビやパソコン、スマホなど光が目に入るような行為や、激しい運動や音楽は覚醒を促すので入眠儀式としてはふさわしくありませんので、注意しましょう。好きなアロマを焚く、音楽を聴く、軽いストレッチをするなどでもいいでしょう。洗濯物をたたむ、タオルをたたむ、などの単調な作業もおすすめです。

寝る前の読書はとてもおすすめですが、ハラハラドキドキする内容だと、かえって頭が覚醒してしまいます。また、長編の小説も結末が気になって読みつづけてしまい、気がついたら就寝時間を過ぎていた!なんていうことになりかねませんから、気をつけてくださいね。

夜は1日働きつづけた脳が疲れ切っている状態なので、本を読むなら、なるべく脳がリラックスできるものがいいでしょう。きれいな風景の写真集、可愛い動物の写真集、心がほっとする短編集など。脳が活性化しないという意味では、質問者さんの言うように、あまり興味のないものを読むというのはアリです。ただし、それを読むのが苦痛でなければの話。むりやり読むのでは、寝る前に脳にストレスを与えてしまって逆効果でしょう。

深い眠りへ導く「筋弛緩法」をお試しあれ

ひとつ、寝る前に心と身体をリラックスさせる筋弛緩法をご紹介しましょう。アメリカの心療内科などでも行なわれている簡単なエクササイズです。1セット10秒と簡単なので、一度試してみてください。

1.イスに座り、両足を軽く開いて、足の裏を床にしっかりつけます。両手は両膝の上に置きます。

2.手をグーにし、足のつま先を天井に向け、顔からつま先まで全身にグッと力を入れます。この状態を5秒間キープ。

3.息をフーッと吐きながら全身の力を抜いて、そのまま5秒間キープ。

これを3回ぐらい繰り返します。ベッドの上で行なってもかまいません。全身の筋肉がほぐれて、血行もよくなり、気持ち的にもほっとでできるのでおすすめです。

現代人はパソコンやスマホに向かっている時間が長く、猫背になりがち。知らず知らずのうちに背中から首にかけての筋肉が固まってしまっています。筋肉がこわばっていると、リラックスして寝ることができませんから、眠る前に全身の筋肉をほぐして、緊張から自分を解放してあげましょう。

ヒツジさんも本を読んで眠くなる?



■賢人のまとめ
自分で「これさえすれば眠れる」という入眠儀式を見つけましょう。心身ともにリラックスさせることが大切です。こわばった筋肉をほぐす簡単なストレッチも試してみてくださいね。

■プロフィール

睡眠の賢人 友野なお

睡眠を改善したことにより体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。
科学でわかるねむりの環境・空間ラボ主宰。著書に『やすみかたの教科書』(主婦の友社)など。