現在、実用化されている古典的なコンピュータを凌駕する性能が期待される「量子コンピュータ」を開発中のGoogleは、2017年内にQubit(量子ビット)数が49のチップを製造し、性能実証を行う計画です。

Google Plans to Demonstrate the Supremacy of Quantum Computing - IEEE Spectrum

http://spectrum.ieee.org/computing/hardware/google-plans-to-demonstrate-the-supremacy-of-quantum-computing

Googleはアメリカ・カリフォルニア州のゴレタにあるGoogle研究所で、量子コンピュータの研究・開発を行っています。Google量子コンピュータは、買収したD-Waveの量子コンピュータ技術をベースに開発が進められており、2014年には「D-Wave 2」が性能試験を実行しましたが、量子効果自体は確認されるものの肝心の性能面で古典的コンピューターと大差がないという結果に終わっていました。

Googleが買った世界初の市販量子コンピュータ「D-Wave 2」が性能試験でつまずく、従来型コンピュータと性能が大差ないという結果に - GIGAZINE



Googleが開発する量子コンピュータの性能については多くのコンピュータ科学者から疑問符が付けられましたが、その一人であるカリフォルニア大学サンタバーバラ校のジョン・マルティニス教授がGoogle研究所に加わり、現在の量子コンピュータ開発を主導しています。

Googleが開発中の量子コンピュータは、1ミリケルビン(約マイナス273度)という絶対零度付近の超低温環境で実演されています。



量子コンピュータでは「0」と「1」の両状態を同時に取り得る量子ビット(Qubit)が用いられますが、Googleは7×7アレイで合計49個のQubitを持つ量子コンピュータを開発中です。Qubitの数は量子コンピュータの性能を反映するもので、例えば2000ビットの公開鍵を持つRSA暗号システムをShorアルゴリズムを使った量子コンピュータで1日で解読するために必要なQubitの数は1億だと算出されています。この1億のQubitの大半が計算実行だけでなくエラーの訂正に必要な特別な量子状態を作り出すために用いられます。

Googleの開発する49個のQubitを持つ量子コンピュータではエラー訂正機能などの余分な処理を行えないため、Googleは古典的コンピュータをはるかに上回る性能を実証するために、別の計算手法を確立することが求められます。ただ、マルティニス氏によると、49個のQubitアレイを作るために生成されたQubitは、エラー訂正機能を持つようなより大きなスケールの普遍的なシステムの製造を実現するものであり、性能の実証だけでなく大きな意味を持つとのことです。



エラー訂正機能なしで大型の量子コンピュータシステムを開発するのはGoogleだけでなく、2017年3月にIBMは約50個のQubitのシステムを数年後にクラウドで実用化する計画を発表しています。