中国メディアの新浪網は9日、遼寧省大連で建造中の中国国産空母の2番艦について、建造現場にすでに蒸気カタパルト装置と動力システムが搬入されている可能性があると報じた。

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中国メディアの新浪網は9日、遼寧省大連で建造中の中国国産空母の2番艦について、建造現場にすでに蒸気カタパルト装置と動力システムが搬入されている可能性があると報じた。動力は原子力ではなく通常動力という。だとすればカタパルトの能力は限定的である可能性が高い。なお、002型空母は上海でも建造中とされる。

中国が初めて稼働させた航空母艦は「遼寧」だ。ソ連時代に建造が始まったが廃船状態になっていたところを購入し改造した。中国で、同艦は型番を001型とされた。中国は2013年には001型をベースにする001A型の空母建造に着手し、2017年4月26日に進水させた。現在は停泊させて艤装(ぎそう=各種装備の取り付け作業)中だが、煙突から盛んに煙を出す様子も確認されており、エンジンの出力試験も行っていると推測されている。

世界における「航空母艦強国」と言えば、間違いなく米国だ。大きな特徴は、すべての艦が蒸気カタパルト装置を搭載しており、動力が原子力であることだ。

空母から搭載機を発艦させる際に、まず問題になることは飛行甲板の発艦用滑走路が100メートル程度しかないことだ。陸上の飛行場ならば2000メートル程度の滑走路は利用できるので、空母からの発艦は極端に困難になる。

米空母はそのため、発艦時には搭載機のエンジン推進力を最大にした上で、蒸気圧を用いたカタパルトで「射出」する方式を採用している。蒸気カタパルトの技術は極めて高度とされる。米国以外には開発に成功していない。米空母以外に唯一、蒸気カタパルトを搭載している空母は仏海軍の「シャルル・ド・ゴール」だけだが、米国からの供与を受けたものだ。

ソ連は冷戦期に、米空母に対抗して空母を建造したが(ソ連海軍における正式分類は「重航空巡洋艦」)、カタパルト技術を確立することはできず飛行甲板の前部を上方にそらせて発艦時の揚力を向上させる、「スキージャンプ」と呼ばれる方法を採用した。中国の001型は旧ソ連が建造した空母なのでスキージャンプ式であり、001A型も踏襲した。

しかしスキージャンプ式の空母ではカタパルト式に比べて搭載機が発艦する際に大きな揚力を得ることができず、重量を減らすために搭載武器または燃料を大幅に減らさねばならない。中国が001型(遼寧)に搭載させている艦上戦闘機J−15(殲−15)の場合、搭載できる武器は地上基地からの離陸と比べて6分の1程度との重量との見方が報じられたこともある(2014年12月、環球網など)。

従って、中国が002型に蒸気カタパルトを搭載できれば、空母運用の上で「画期的な性能向上」になる。ただし、ここにもう一つのネックが存在する。蒸気カタパルトの使用には、巨大なエネルギーを必要とすることだ。

蒸気カタパルトの具体的な性能や必要とするエネルギーについては軍事機密に属する情報なので不明な点が多い。しかし米空母がすべて原子力であることが、その辺りの事情を示唆していると言える。米国が蒸気カタパルトを供与したシャルル・ド・ゴールも原子力空母だ。

原子力は通常動力より格段に大きなエネルギーを発生させることができる。原子力空母ならば搭載機を次々に発艦させることができるが、通常動力の空母の場合には蒸気供給の制限が厳しく、連続発艦には大きな制限が生じると考えねばならない。

新浪網は9日掲載の記事で、各種情報を総合した結果として、やや遠まわしではあるが002型空母について「現在は基本的に通常動力に確定した。ただし、3−4基の蒸気カタパルト装置を搭載する」と表現。さらに、「一歩進んだパイロット育成目的は、カタパルト使用の発艦と夜間の発着艦に適応すること」と論じた。

中国は001型空母の遼寧について、重要な目的は経験の蓄積と強調し続けてきた。新浪網は、001A型を経て002型空母についても当面は直接の実戦能力向上よりも実証目的の側面が強いとの見方を示したことになる。

中国の自国産空母の1番艦として001A型に着工したのは2013年11月だったとされる。進水の17年4月26日までにおおむね3年半を要した。新浪網は、002型空母にはこれまでの経験の蓄積があるとして、進水までの時間は短縮されるとの見方を示した。その一方で、蒸気カタパルトなどの複雑な技術を導入するので、完成までには時間がかかると主張した。(翻訳・編集/如月隼人)