JUMP 中島裕翔&キスマイ 玉森裕太が演技で輝く理由 グループ活動で磨いた“陽と陰”のバランス

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 今クールのドラマも、いよいよ大詰め。今期も多くのジャニーズメンバーが活躍しているが、なかでも注目を集めているのは『母になる』(日本テレビ系)で児童福祉司・木野を演じるHey! Say! JUMPの中島裕翔、そして『リバース』(TBS系)で高校教師・浅見に扮するKis-My-Ft2の玉森裕太だ。

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 彼らの役どころには、共通点がある。過去に大切な友人を失うという拭い去れない心の闇を抱えながらも、今を努めて明るく生きているのだ。中島は怒りと悲しみを堪えながら眉間にシワを寄せて、溢れる涙を噛みしめる。玉森は罪の意識に苛まれながら、苦しい過去と向き合っていく。いずれも複雑な感情が入り交じる難しいシーンを、共演する俳優たちと真っ向勝負と言わんばかりに、迫真の演技を続けている。

 アイドルが俳優業をする上で、越えるべき壁があるとするならば、それはアイドルとして光り輝く“陽”のイメージではないだろうか。笑顔をふりまき、歌い、踊り、ファンに元気を与える存在。アイドルという顔は、生身の人間としての苦悩と対極の存在にある。だが、俳優として演じていくのは、迷い、葛藤、挫折、絶望……そんな人間の“陰”の部分だ。陽が強すぎれば陰の部分が嘘くさく見え、陰の部分が強すぎればアイドルとしての輝きがムリをしているように見えてしまう。アイドルと俳優の二足のわらじを履きこなすには、そのバランス感覚が最も大事だと感じる。

 中島と玉森が、この陰と陽のバランス感覚に優れているのは、きっと彼ら自身がアイドルとして活動する中で、否が応でも陰の部分を見つめてきたからのように思う。Hey! Say! JUMPもKis-My-Ft2も、9人と7人というジャニーズの中でも大所帯のグループだ。人数が増えるということは、それだけ自分の存在感を確立するのが難しくなる。例えば、CDジャケットや雑誌で撮影をするときも、センターと端では注目度が大きく異なる。音楽番組に出演しても1人あたりの映る時間が露骨に変わってくる。

 中島はかつてセンターだったが、あるときからその座を山田涼介と入れ替わるという挫折を味わった。中島は、家族に愛情たっぷりに育てられ、Jr.時代からすぐに人気を獲得した。ジャニーズの中でもエリート街道を突き進み、Hey! Say! JUMPとしてデビュー。センター交替まで、まさに陽のみの人生だったように見える。そこに、直面したセンター交替。山田も中島も苦しかっただろう。親友を思いながら「あのとき、言えばよかった」と、5月31日に放送された『母になる』で涙と共にこぼれたこのセリフを、中島と山田が苦悩したことを重ねて聞くと、さらに心を揺さぶられる。今でこそ、中島と山田はその時期を振り返り、お互いをよきライバルとして認め合っているが、中島にとっては大きな転機になったはずだ。

 一方、玉森は中島とは逆に、端からセンターへと急激に人気を集めてグループを牽引するミッションを与えられた。Kis-My-Ft2は、ジャニーズJr.時代から長い下積みを経てデビュー。今よりもオラオラ系の雰囲気をまとっていたグループのなかで、ふわっとした玉森とシンメトリーだった宮田俊哉のコンビは、グイグイ引っ張るタイプではなかった。ふたりで一緒に叱られ、ゆっくりと成長していたが、デビューをきっかけに玉森の立ち位置はガラリと変わる。玉森は北山宏光、藤ヶ谷太輔と並んでセンターの3人組に。そして宮田と4人とは圧倒的な衣装や露出の格差が生まれた。『リバース』で悪気なく仲間を追い詰めてしまった浅見のように、玉森は大きく動き出した運命の歯車に翻弄された経験があるのだ。もちろん今では4人も舞祭組として活躍しており、玉森と宮田の仲の良さも健在。だが、格差時代に感じた戸惑いや心苦しさが、玉森の表現の幅を広げたに違いない。

 悲しみを知った分、人に優しくなれるというが、演技もきっとそうなのだろう。自分が経験した心の痛みがあればこそ、演技に深みがでる。そして、心の痛みというのは、誰かを大事に思う気持ちから生まれるものだ。中島は山田と、玉森は宮田と、それぞれ大きな試練を乗り越えたからこそ、得られた演技力なのかもしれない。(佐藤結衣)