機械やテクノロジーの進歩に伴い、機械が将来的に人間と同等の仕事をこなせるようになるのではという研究・調査結果が頻繁に話題になっています。「将来的に機械により自動化する可能性のある職業」など、多くの調査機関や研究結果がこの話題をピックアップしていますが、アニメーションムービーでさまざまな事象を解説してくれるKurzgesagtも、現代に押し寄せるオートメーションの波についてのムービーを公開しています。

The Rise of the Machines - Why Automation is Different this Time - YouTube

人間よりも機械の方が優れた仕事をこなすようになるにはどのくらいの時間がかかるのでしょうか。





これまで「オートメーション」と言えば、工場の中で繰り返し単純な作業をこなす機械を指す言葉でした。



しかし、今では飛行機やガンの診断、株取引などさまざまなものにオートメーションの波が押し寄せてきています。



2013年の調査によれば、アメリカの仕事のほぼ半分が今後20年間で自動化される可能性があるそうです。しかし、これまで何十年も存在したオートメーションと、現在起きている自動化には一体どういった違いが存在するのでしょうか?



まずは過去のイノベーションについて。



人間はこれまでさまざまなイノベーションにより生産性を向上させてきました。





生産性の向上により、同じ労働力でより多くの物やサービスを生み出せるようになります。





これにより多くの仕事がなくなりましたが、それ以上の速度で人口が増加し、新しい仕事も生まれることになります。



イノベーションが生産性を向上させ……



それにより既存の職業は減少するものの……



より多くの新しい職業が生まれてきたわけです。これにより、大多数の人々の生活水準は改善されていきました。



我々人類は長い時間、農業をしながら生活を営んできました。



その後の産業革命により、人類は農業などの第一次産業から第二次産業にシフトしていきます。



そして、オートメーションの波により、人間はサービス業に進出していきます。



さらに時が過ぎ、現代にいたっては情報化時代に突入しています。情報化時代に突入したことで、これまでよりもはるかに速く、人間の仕事は機械に取って代わられることになるのは確実です。



それでもイノベーションが、これまで通り我々人類に救いをもたらしてくれるのでしょうか?



1979年、ゼネラルモーターズは80万人以上の労働者を雇用し、約110億ドルを生み出しました。これに対して2012年のGoogleは、わずか5万8000人で約140億ドルを生み出しています。



また、古い産業が疲弊しきっているという問題もあります。例えば自動車の場合、誕生から100年で大きな産業に発展し、今ではインフラとして欠かせないものとなっているのは事実ですが……



ほとんど完成に達しており、新しいイノベーションが起きてもこれまでほど多くの仕事を生み出すことはできなくなっています。



自動車業界の次なる一手である「電気自動車」も素晴らしいものですが、これまでのように数百万の新しい雇用を創出することはできないでしょう。



それではインターネットはどうでしょうか?



技術者の中にはインターネットは電気と同等のイノベーションであると主張する人もいます。



しかし、この比較を進めて行くには、現代のイノベーションが過去のものとはどのように異なるのかを見る必要があります。



インターネットは多くの雇用を生み出しましたが、人口増加やインターネットの登場により消えていった雇用を補うだけのものを創出したとは言えません。



2004年、レンタルビデオチェーンのブロックバスターは8万4000人の雇用と60億ドルの収入を生み出しました。



しかし、2016年にインターネットストリーミングサービスのNetflixは、90億ドルの収入を生み出しているものの、4500人の雇用しか創出していません。



また、このムービーを作成しているKurzgesagtは、世界中で何百万回も再生されているにもかかわらず、12人のフルタイムで働く従業員により作成されているとのこと。



しかし、TVの場合はより多くの雇用が必要でした。



つまり、情報化時代のイノベーションは新しい雇用を創出するのに十分なものではないかもしれないというわけ。



さらに、次世代の新しい技術も登場しています。



そもそも、人類の進化は分業に基づいており、それが何千年という歴史の中でより分化・特殊化しています。



現在の最も優れた機械ですら、複雑な仕事をこなすのは難しいものですが……



狭く定義された仕事をこなすことにはとても適しています。



また、複雑な仕事でも細かく分類することで機械に任せることのできるパートが存在することがわかってきました。



そして、実際に機械は複雑な仕事をオートメーションできるものに細分化していくことが可能な段階にまで進化しています。



デジタル機器は機械学習によりデータを分析し、情報やスキルを得られるようになっていきます。





いまや機械は独自に学習することが可能となっているというわけ。



近年、機械学習はその可能性をより広げています。なぜなら、人間はあらゆる物事に関するデータを収集しているから。



行動・気象パターン・医療記録・通信システム・旅行データ、さらには仕事場で行っていることに関するあらゆるデータまで収集されており……



これらのデータと機械学習を組み合わせることで、人間は「物事をどのように良くするべきか」を学ぶための巨大な図書館を得たともいえます。



そんなデータ収集と機械学習の事例のひとつに、サンフランシスコにあるソフトウェア開発企業が大企業向けに提供する、プロジェクトマネジメント用のソフトウェアがあります。このソフトウェアは中堅管理職の役割を担うことが可能です。



ソフトウェアはまず自動化できる仕事と実際に人の手が必要な仕事を正確に判断します。



そしてインターネット経由でフリーランスに仕事を割り振り……



プロジェクトが完了するまで個々のパフォーマンスを追跡しながら作業の品質を制御してくれるとのこと。



このソフトウェアのおかげでフリーランスに仕事が増えているように見えますが……



実際のところは、ソフトウェアはフリーランスによる仕事を追跡・学習することで……



フリーランスの仕事を将来的に機械が行えるように、学習を続けているとのこと。



このソフトウェアは導入から1年目で約50%、2年目で25%もコストを削減してくれるとのこと。もちろんこれは世界中で起きているオートメーションのほんの一例にすぎません。



あらゆる分野において人間よりも優れた機械もしくはソフトウェアが作り出されており……



薬剤師・アナリスト・ジャーナリスト・放射線医・銀行員・レジ係、さらにはハンバーガーを焼く調理師にいたるまで、その広がりはとてつもないほど。もちろんこれらの職業が一瞬で消え去るわけではありませんが、これらをこなす人の数が徐々に少なくなっていくことは明らかです。



イノベーションが起きた際、古い仕事を新しい仕事に置き換えるだけでは不十分です。



なぜなら、世界の人口は増え続けているから。



しかし、1973年以降、アメリカにおける新しい雇用の創出は縮小傾向にあります。



21世紀の最初の10年間はこれまでで初めて雇用総額が増加しませんでした。アメリカでは人口増加に追いつくには月に15万人分の新規雇用を創出する必要があるそうですが、新規雇用自体は減り続けています。



これは人々の生活水準にも悪影響を及ぼし始めています。昔は生産性の向上に伴い新規雇用が生まれていましたが、現在の数字はまったく異なる物語を伝えています。



1998年、アメリカの労働者は合計で1940億時間働きました。その15年後の2013年には、生産性は42%増加しています。



しかし、アメリカの労働者の総労働時間は1940億時間から変化していません。



これがどういうことかと言うと、生産性は向上したものの、新しいビジネスが多数誕生し、人口も4000万人増えたため、総労働時間には変化が生じていないとのこと。



これと同時にアメリカでは新卒の平均賃金が過去10年間にわたって減少し続けており、新卒の約40%は学位を必要としない仕事に就くことを強いられることになっているとのこと。



「結論」



生産性は人間の労働とは別のところにあるものです。



そして情報化時代のイノベーションの性質は、これまでのものとは大きく異なるということを覚えておく必要があります。



今現在起きてい自動化の波は、機械が実際に人間の仕事をこなすようになるという点で、これまでのものとは大きく異なります。



ただし、情報化時代とオートメーションが人類社会を変革し、貧困と不平等を大幅に削減する巨大な機会につながる可能性を秘めていることも確かです。