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デルがコンシューマー向け新製品記者説明会を開催し、Insprionシリーズの新製品を発表した。今回発表された27型ディスプレイのNew Inspiron 27 7000と24型ディスプレイタの New Inspiron 24 5000は、これまでデルがAIO、つまり、オールインワンと呼んでいたカテゴリだ。

これらをデルでは「フレームレスデスクトップ」と呼ぶことにしたという。先日のCOMPUTEXにあわせて台北で開催されたグローバルイベントではAIOと呼んでいたので、これは日本だけの施策となるようだ。

○コンシューマ市場に大画面のニーズはある

オールインワンパソコンのフォームファクタは、デルに限らず、これまで各社がいろいろなアプローチで訴求してきた。特に、日本ではテレビ録画機能つきや、ハイクオリティオーディオ、家族がみんなで使える点などをアピールすることが多かった。NEC(1999年当時)のSimplem(シンプレム)あたりが走りだったように記憶している。もう20年近く前だが液晶ディスプレイ内蔵のコンパクトな筐体は斬新で、部屋に置きっぱなしにするインテリア的な意味合いも当時訴求されていた。今回のデルの製品を見ると、そのあたりへの先祖返り的な方向性も見て取れる。

デルでは、Infinity Edgeディスプレイによる大画面デスクトップを強く訴求することでコンシューマー市場を活性化するという。デルによれば、ノートパソコンを外部ディスプレイに接続しているユーザーは相当な数いる。さらに、コンシューマー市場では死に絶えたといわれることも少なくなかったデスクトップパソコンの市場規模は、まだまだ大きいのだという。特に、業務の市場では広い作業空間や快適な処理性能などをローコストで実現できるデスクトップパソコンのニーズは高い。それをコンシューマーの世界にも訴求したいというのがデルの考えだ。

○パソコンは"完結"ではなく"連携"していく

これまでパソコンは、1台を持てばそれですべてが完結するような方向性でとらえられてきた。その上で、持ち運ぶならモバイルノート、外に持ち出す可能性がなければスタンダードノートといった具合だ。特に日本では使わないときには片付けられるという点で15型スタンダードノートは一家に一台の必需品的な扱いで普及してきた。

そして時代はモバイルに移行し、古いノートパソコンはスマートフォンに置き換えればそれで十分という風潮まで出てきている。メーカー側はパソコンを個人が複数台所有することを最初からあきらめていたし、ユーザーはユーザーで複数台パソコンを持つと、データの整合性などの点でめんどうくさいことが多くなると考えて、それを避けてきた。アプリケーションのライセンスについてもサイフにやさしくないという理由もある。

だが、クラウドの時代は、複数台のデバイスを連携させることを容易にし、むしろ適材適所で性格の異なるデバイスを使った方がいいというように変わってきている。協調の時代だ。

つまり、全部入りのオールインワンという呼び方は、今の時代のパソコンの使い方にそぐわないということだ。全部が入っているというのはありえない。だからこそのフレームレスデスクトップということなのだろう。外ではスマートフォンを使う。でも、それを使って会社の仕事や学校の課題をこなすのは無理。家から一歩も持ち出さないことがわかっていて、さらに、あると邪魔だがないと困るといった消極的な理由ではなく、どうせ持つなら大きくて速いパソコンをというニーズは確実にある。そこのところをうまく訴求する、うまいマーケティングだ。

ただ、呼び方を変えただけでは何も伝わらない。自宅にはインターネットの固定回線さえない世帯、一人暮らしの若い世代も出てきている。そうしたユーザーに、フレームレスデスクトップを訴求し、その魅力を伝えるのにはかなりのエネルギーが必要だ。そこをこれからデルがどのようにしていくかに注目しよう。方向性としては実に正しいし、理にかなっている。でも、ユーザーのニーズをくみ取るだけでは市場は拡がらない。やはり"かたち"の提案が必要なのだと思う。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)