洪原水産事業所の漁船(画像:労働新聞)

写真拡大

国際社会の経済制裁で深刻な外貨不足に悩む北朝鮮。様々な手段を動員して外貨稼ぎに乗り出しているが、そのひとつが漁業権の販売だ。

自国の領海の漁業権を主に中国の企業や漁師にエリアと期間を決めて売り渡すというものだが、そのせいで漁場を失った北朝鮮の漁師たちが露頭に迷う事態となり、一種の飢餓輸出のような状態となっている。

(関連記事:困窮する北朝鮮漁民たち…廃業してイモを売る元漁民も

ただ、そうまでして売っていた漁業権も、最近になり売れ行きが芳しくないという。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

中国に派遣された北朝鮮情報筋は、「漁業権を売ってこい」との政府の指示を受け、国家保衛省(秘密警察)の要員5人とともに中国吉林省延辺朝鮮族自治州の琿春と図們に向かった。

ところが、1ヶ月にわたる営業の甲斐もなく、ついた客は1人だけだった。

値段が相場より高い上に、販売元の「朝鮮資源管理総局」という組織が正体不明だというのが、不人気の理由だ。

それも無理はない。

なにしろこの情報筋はもちろん、彼とともに行動している保衛省の要員らも、この組織の名前を聞いたことがなく、どこにあって何をしているのかわからないというのだから。「商品」の中身も販売元もわからないものを売るのは、いくら優秀な営業マンであったとしても無理だろう。

他の営業マンも、出向いた先で散々な目に遭っている。

遼寧省丹東に住む別の情報筋によると、朝鮮資源管理総局の幹部を名乗る3人がやって来た。

彼らは黄海の漁業権を1万元(約16万2000円)で買ってほしいと持ちかけてきたが、この機関についての説明がなく、値段交渉しようとしても、値下げに応じる権限を持っていないのか、取り付くしまもなかったという。

営業マンらは市内の漁師を訪ね歩いたが、あまりの怪しさに、ついには詐欺師扱いされる始末。結局、1件も売買をまとめられないまま帰るしかなかった。

そもそも黄海は、日本海に比べて漁業資源が乏しく、1万元で漁業権を買っても元を取るのは至難の業だ。それ以外にも、漁業権が売れない理由がある。

北朝鮮の海岸警備隊は燃料不足のためまともに取り締まりができない。つまり、わざわざ漁業権を買わずとも、違法操業を行っても捕まらないというのだ。もし運悪く捕まったとしても、数百元をつかませれば見逃してくれるとのことだ。