「特別市民」チェ・ミンシク“演技という作業は一生欲望と向き合うこと”

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俳優チェ・ミンシク(54) が、時間旅行を終えて現実に戻ってきた。映画「バトル・オーシャン/海上決戦」「隻眼の虎」と続けて時代劇に出演、現代劇に対するのどの渇きが生まれていたちょうどその時、「特別市民」という政治映画に出会った。時間設定だけでなく、キャラクターもやはり従来と正反対のイメージだった。

「俳優が毎回似た作品、優しいキャラクターを演じるとつまらないでしょう。これまで『バトル・オーシャン/海上決戦』『隻眼の虎』などで誠実に生きたから、もうちょっと真面目じゃなく生きたかったんです。私は悪い奴、良い奴も区別せず、二人とも面白いです」

すぐに出演を決めにくいナイーブな素材を扱ったが、出演しない理由がなかった。普段から政治に関心の高い彼は、かえって待ち望んだ作品だった。チェ・ミンシクが政治物を好む理由は単純だ。映画的な面白味が尽きないからだ。

「政治ドラマに参加することに対する心的なプレッシャーは、全くなかったです。もし怖かったのならば、どのように演技できたでしょうか。そんなことから自由でこそ、作ることができます。快く出演を決めましたが、私は政治物に対するのどの渇きがありましたよ。外国映画は政治を扱った優秀な作品が多いが、韓国にはあまりないでしょう。韓国だって侮れない材料があるのに。政治素材は欲望の集合体で、ドラマチックで好きです。眺める地点が権力一つでとても明らかです。これを勝ち取るために、あらゆる腐敗や権謀術数を日常的に行って、共に愛憎、復讐もできますしね。それでも信念と哲学を守る人物がいて、感動も与えることができて。これだから政治物が難しいんです。誰かの顔色を伺うからではありません。このドラマチックなストーリーをどのようにうまく整えて、組み合わせてキャラクターを配列して、説得力あるように見せるのか悩まなければならないのです。多くのストレスを受けるのは事実ですね」

試してみようという心で、勇気を出して飛び込んだ。チェ・ミンシクは「一度作ってみようという思いだった」と話し、「映画を見て、100%満足する人がどこにいるのかとは思うが、『特別市民』が出発点になって、本格的な政治映画が出てくればというのが望みだ」と伝えた。

チェ・ミンシクは、ソウル市長ピョン・ジョングというキャラクターに扮した。次期大統領選挙を狙い、初めて3度目となるソウル市長に挑戦する人物だ。時々刻々と変化する政治のプロで、権力欲に捕われた“政治怪物”の姿を表現した。

「ひとまずピョン・ジョングを能弁家だと考え、話術が達者であるということは、政治家が持たなければならない武器のようなものだと考えました。私が幼い時から今まで知らず知らずに見てきた政治家に対する断片的な考えは、表裏のある人格でした。私たちに代わって仕事をする方々の言葉と行動が違って、(国民が) ストレスをたくさん受けたじゃないですか。それでピョン・ジョングの裏側の粗悪な行為をさらに引き立てて見せるには、まず話が上手じゃなければと」

物語は、ピョン・ジョングがブレーキが故障した機関車のように権力を手に握るために暴走する過程を赤裸々に描く。

「人間の欲望は棺に入ってこそなくなるという話があるでしょう。そんなふうに欲望は掘っても掘っても終わりがないので、創作物としてよく扱われるものです。欲望と欲望が衝突して悲劇を産んだり、時には欲望が正しく発動されて感動を与えたりもして。欲望に対する探求は、この演技という作業をしている限り、ずっと観察して考えてみなければならない素材ではないかと思います」

最後にチェ・ミンシクは、「特別市民」の撮影を終えた感想を打ち明けた。彼は「面白かった。新しい人物を表現するということはもちろん、プレッシャーはあったが楽しくて、そしてときめいた。ストレスさえひたすら受け入れれば良いということでもなく、壊れる時に壊れても一度やってみようと、考えなしではだめだと思った。後にあまり成功しなくても、その瞬間には楽しく参加したことを思い出すんです」と話した。