遺産に含まれない生命保険の受取人を相続人以外にしたら得する?損する?

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相続税が上がっている。相続税算定の際の基礎控除額も大きく下げられ、これまでの計算だと納税せずともよかった人が、納税の対象に入っていることも珍しくない。こうなってくると、生命保険など、一部が非課税財産になるものへ投資する形での、節税への関心が高まってくると見られる。

しかし保険金は相続財産と異なり、契約時に受取人が定められている。そこで「教えて!goo」に保険金と相続にまつわる質問「死亡保険金の相続について」が寄せられた。

■保険金と遺産の違い

質問者は、親の死亡によって姉が受け取った保険金は、相続財産として分割できないのかと疑問に思っている。これについて、回答の多くは、保険金と相続財産の違いを整理しながら、分割はできないと答えた。

「全額お姉さまのものとなります。他の相続財産とは、別の扱いです。800万円といえば、一般的に、葬儀費用やお墓代をそれでまかなってもらう……という気持ちだったのではないでしょうか」(morino-konさん)

「遺産の場合は遺言書等がなければ、法定相続(姉と貴方が半分ずつ)ですが、保険金は指定の受取人に支払われますので、姉が全額ということになります」(777oichanさん)

「受取人を指定している生命保険の保険金は相続財産にはならず、保険契約の効力発生と同時に受取人の固有財産になりますので、受取人たるお姉様が全額受け取る権利を持つことになります」(17891917さん)

以上のように、相続分割協議においては、保険金は対象にならない。後のトラブルを防ぐためにも、兄弟で連名にしたり、保険契約とは別に葬儀などの祭祀費用の負担割合について決めておいたりしたほうがよいだろう。

■愛人を保険金受取人に!? 節税どころか面倒なことに

ここまで読むと、保険金が相続財産と扱われないならば、残っている財産をすべて保険につぎ込めば節税になると思う方もいるかもしれない。しかしことはそう甘くない。保険金は確かに受け取りに関しては、相続財産とは別に考えられる。しかし「相続税」計算については、「みなし相続」として扱われてしまうのだ。だったら、相続対象外の人間を、極端に言えば愛人などを受取人に指定すればどうだろうか。この問題ついては、心に残る家族葬を行う葬儀アドバイザーに解説していただいた。

「結論を言えば相続人たちの負担が増大してしまいます。そして、愛人以外の相続人は生命保険金を受け取ることができません。どういうことかと言うと、被相続人と愛人には血縁関係がないので、当然愛人には相続権はありません。これは、生命保険金額の分だけ相続財産が増加しているのにも関わらず、相続税の基礎控除額には何の影響もないということになるため、相続税が増加することを意味します。更に、生命保険金控除についても同様のことが言えるため、二つの相続税控除額の規定が利用できなくなります。無論、生命保険金の受取人として契約を締結していない相続人には、当然生命保険金は受け取れません」

つまり、保険金を相続人以外が受け取ると、対象財産の総額が増え、相続税が上がったのに、増えたはずの財産が手元にないから自腹を切らねばならない、という現象が発生する。他にも面倒なことが起こってしまうと、アドバイザーは指摘する。

「最も悲惨な状況になると、愛人の存在や生命保険金の受取りを一切知らずに相続の手続きと、相続税の申告並びに納税が済んだあと、税務署の税務調査で愛人が生命保険金を受取った事実が発覚することもあります。通常だと生命保険会社は、生命保険金の支払いについて、明細書を契約上の生命保険金の受取人と税務署に送付します。しかし、被相続人と相続人たちには明細書の送付はありません。つまり税務署は被相続人が契約し、愛人が受取った生命保険金の存在を知っているが、相続人たちは知らないことになります。結果はどうなるかと言えば、多額の延滞税と過少申告加算税も課税されてしまいます」

昨今ではさまざまな節税メソッドが出回り、税制改正とイタチごっこの状態になっている。数年前まで有効だった方法でも、亡くなってみると節税にもならないケースがよくあるのだ。また今回のように節税を進めようとしたはいいが、失敗し、まわりにも被害が及ぶこともある。ここから言えることは、節税対策にはそれに関わる人たちの間で現状を周知徹底し、協議と同意のステップの中で進めていくべきだということだろう。

●専門家プロフィール:心に残る家族葬 葬儀アドバイザー

故人の家族と生前に親しかった方だけで行う家族葬こそが、故人との最後の時間を大切に過ごしたいという方に向いていると考え、従来の葬儀とは一線を画した、追加費用のかからない格安な家族葬を全国で執り行っている。

(樹木悠)

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)