シリア戦では途中出場からゲームメイクで存在感を発揮した本田。イラク戦での起用法は果たして? 写真:田中研治

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 攻撃のキーマン・香川が抜けた穴をどう埋めるか――。それが、6月13日のイラク戦の大きな焦点となるだろう。
 
 そして、その穴を埋めるのは本田が適任だろうと、僕は考える。

 
 イラク戦は中立地であるイランでの試合とはいえ、アウェー戦に変わりはない。しかもこの試合に勝てば、ワールドカップ出場に王手をかけることができる。イラク戦を終えると、最終予選は残り2試合。対戦相手はオーストラリア、サウジアラビアと、ライバルとの直接対決が控えている。このイラク戦で確実に勝点3を手にして、是が非でも精神的に優位に立っておきたい。
 
“取りこぼし”が許されないきわめて重要なゲームにおいて、日本はまずゲームをコントロールし、序盤での失点は絶対に避けたいところだ。日本は守備を整えながら、攻守とも主体的にゲームを動かしていく戦い方が求められる。
 
 本来なら、インサイドハーフとして攻撃の起点となりえる香川がその役割を担うのだろうが、先日のシリア戦で負傷離脱してしまった。このようなピンチを迎えた今だからこそ、経験値のある選手が必要になる。それを考えると、本田をイラク戦でスタメンに使わない手はない。
 
 シリア戦でも本田がインサイドハーフに入ってからチームが落ち着いてきた。前半はとりわけ選手間の距離が悪く、攻守にバランスを欠いていた。ゲームを落ち着かせることができる香川が負傷でピッチを後にしたことが少なからず影響していた。本田がインサイドハーフ入った後半こそ、日本が本来やるべきスタイルだと感じている。
 
 繰り返しになるが、失点ゼロを重視した戦い方を求めるとなると、中盤を安定させることを優先させたい。日本のゲームプランを考えればインサイドハーフに本田と今野といったベテランを据えて、チームバランスを取る戦術が有効となる。
 
 最近の本田は、セリエAではリーグ戦最終戦でキャプテンマークを巻いて90分間プレーしているし、シリア戦でも後半45分間プレーしている。ゲームフィーリングもフィジカルコンディションも準備はできているから不安要素はない。
 しかも、今回のイラク戦の舞台はイランのテヘランだ。標高約1200メートルの高地で戦うことになる。高地の特徴はボールが想像以上に伸びてくるから、フリーキックやミドルシュートが生きてくる。日本は積極的にシュートを狙うべきだ。もちろん逆に、日本はイラクにシュートを打たせないように警戒しなければいけないが、ロングレンジからのシュートを得意としている本田を使うべき要素は、このようにいろんなところで見えてくる。
 
 流れを作り出せる選手で、ゲームのなかでチームのバランスを取れて、しかもピンチにめっぽう強い。日本が逆境に立てば立つほど、その存在価値が高まるのが、本田という男なのだろう。
 
 振り返れば、いかなる状況であろうとも、ハリルホジッチ監督は本田を代表チームに呼び続けてきた。このようなアクシデントが起きることを、指揮官はずっと想定していたのではないか。そう深読みしてしまうほど、今回のイラク戦は本田スタメン起用のグッドタイミングなシチュエーションなのである。
 
■プロフィール
藤田俊哉(ふじた・としや)/1971年10月4日生まれ、静岡県出身。清水市商高-筑波大-磐田-ユトレヒト(オランダ)-磐田-名古屋-熊本-千葉。日本代表24試合・3得点。J1通算419試合・100得点。J2通算79試合・6得点。J1では、ミッドフィルダーとして初めて通算100ゴールを叩き出した名アタッカー。2014年からVVVフェンロのコーチとして指導にあたっている。