働き女子はいつだって優しい癒しを求めている。だから、甘めでゆるめなラブストーリーをCandy BoyとSuits WOMANがプレゼンツ。今回の主人公は、年齢=彼氏いない歴の真面目なアラサー女子・優。

私、中村優(31)は、オジサンだらけの辞書編集部で働いているOL。中学からの女子校育ちで、大学も女子大出身。男性と話すだけで、極度に緊張する奥手な性格のせいで、気付けば年齢=彼氏がいない歴になってしまった。

そんな私の生活が激変する出来事が、立て続けに起こった。定年退職をした父と母が田舎暮らしを始めると言い出し、実家を出ることに。フランス製の素敵な家具付きのシェアハウス「ラ・メール 」に入居することになり、なんとオーナーはイケメンで料理も得意な完璧男子のひまりさん!優しくされたり、男性の寝顔を初めて見てしまったりと、慣れていないことばかりだけど、自分の中の何かが変わっているような気がする。

笑顔が素敵なシェアハウス「ラ・メール」のオーナーのひまりさん!

さらに、おじさんだらけでときめきもない辞書編集部に、なにやらカワイイ系男子の前野君が入ってきた。今風のチャラい男子と違って、眼鏡の奥の瞳が真面目そうな雰囲気。ついつい視線が彼を追ってしまう……もしかして…彼のことが気になっている!?

スーツ姿が凛々しい、辞書編集部の部下の前野君。人生何度目ですか?っていうくらい落ち着いていて、私よりもしっかりしてるかも。

今まで、朝はメイクもしないで慌てて出かけていたけれど、「ラ・メール 」で暮らし始めてから、ひまりさんが作った美味しい朝ごはんが食べたくて、がんばって起きるようになった。寝起きのボサボサ頭でだらしないパジャマ姿を見せたくない、という気持ちも少しある。

「優さん。朝の時間を優雅に過ごすと、気持ちにも余裕が出てきますよ」

ひまりさんが言う通り、実家にいた頃よりも朝が楽しみになってきた。髪の毛だって、あの日以来、ひまりさんが教えてくれたカモミールの良い匂いがするアロマスプレーでブローをするようになった。鏡に映る私、少しは女子力が上がってきたかな。

入社をしてもうすぐ10年、辞書を作る仕事に少しマンネリ気味だった私。でも、前野君が異動してきて、意識が変わってきた。前野君は、辞書を作るマイ辞書を持ち歩いて、すぐに気になった言葉を調べている。見た目はファッション誌向きのかっこいい外見なのに、自分から希望して辞書編集部にきたらしい。今度、発売する子供向けの「ことば図鑑」の編集を、私と前野君で担当することになった。

「優さん。この学習辞典の改訂前のものを見せて貰ってもいいですか」

「どうしたの?」

「どのような言葉が増えて、同じ言葉でもどういう風に表現が変わっているのか、確認がしたいと思ったのです」

「熱心だね〜、わかった。ちょっと待っていて」

私は、社内にある書庫へ前野君を案内した。

「ちょっと待ってください」

そう言うと前野君は、綺麗に折りたたんでいるハンカチを出して、手を拭いた。そして、丁寧に辞書を取り出した。ページのめくり方も優しく、こういう風に本を大事に扱う人だったら、きっと彼女にも優しく接してくれるのだろうな……と感じた。あれ、私、仕事中なのになんてことを考えちゃっているのだろう。

辞書を扱う仕草、視線、どれも真摯な印象を受ける……。

辞書を手にする前野君の姿に胸キュン?

「どうしましたか? 」

「いや。ページのめくり方が綺麗だなって思って」

どうしよう。なぜか前野君の仕草に、見とれてしまっていた。

「僕は本が大好きで、学生時代は古本屋さんでバイトをしていました。古本屋さんに置いてある本は、一度は誰かの手元にあった本なので、どういう人が読んでいたのかなと想像したりするのが楽しかったです」

「わかる!私も辞書を作る時には、ずっと大事に使ってほしいって思いながら、読んでくれる人のことを想像しているんだ」

「もしかしたら、僕と優さんは似たところがあるかもしれませんね」

前野君が優しそうな笑顔で微笑んでくれた。あれ、前野君の目を見ることが少しできたかも。なぜか前野君とはスムーズに会話ができる。いつもは男性と話していると極度に緊張してしまって、会話に困ってしまうのに、前野君の話は不思議とずっと聞いていたいと思った。

気づいたら、定時の時間が過ぎて、22時に近づいていた。上司の私が帰らないと、前野君も帰りづらいよね。気が付かなかった。

「前野君、もう今日は帰って大丈夫ですよ」

「いや、これを最後までしたら帰ります」

一生懸命作ったページに赤がいっぱい入っていて、落ち込んでいた前野君。意外と真面目な一面に驚いた。

「ラ・メール」に帰宅すると、ひまりさんが夜食の準備をしてくれていた。

夜遅くに帰っても、料理を作ってくれる人がいるっていいなあ……。

「おかえりなさい。お腹が空いていませんか?こんな時間まで残業なんて、優さんは仕事熱心なんですね」

「いえ、ちょっと。気になる仕事があったので遅くなってしまって」

「残業しすぎて寝不足になったら、お肌に影響が出ますから気を付けて。そういえば優さん、メイク上手になりましたね」

「そ、それはこの前、ひまりさんがメイクのテクニックを教えてくれたからです」

「もしかして、気になる男性がいるんですか?」

「ち、ちが、違います」

きっと、私の顔は真っ赤になっていたに違いない。どうして、ひまりさんはなんでもわかってしまうの?

「よかったら、いつでも僕に相談してくださいね」

えっ、こんなイケメンで女子力も高いひまりさんが、私に恋のアドバイスをしてくれるの?どうしよう。つきあいたいとか、どうやってアピールすればよいのだろうとか、そんな勇気もないのに……。

前野君と一緒に仕事をするようになって、1人だったらやり過ごしてしまっていた作業も、前野君が一つ一つを丁寧に、質問をしてきてくれるから、私も仕事に気が抜けないって思えるようになってきた。

「優さん。この言葉、どうして赤文字が入っているのですか?」

「これはね、低学年の児童だとわかりづらいから別の表現で書いてっていう意味です」

「クジラとか、ゾウとか、ただ大きいって言っても、言葉で表現するのは難しいんですね」

すっかり、今の仕事に慣れてしまってそんなこと、考えたりもしなくなっていた。

「確かに、実際に見てみないと、イメージしづらいよね」

「優さん。よかったら今度、動物園に行って、本物の動物の生態を観察してみたいのですが、一緒に行ってもらえませんか?」

えっ!それって2人きり?ドキドキして「あ、ええ。それもいいね」と返事をした。これって返事になってるんだろうか?後編につづく。

Starring:松本ひなた、前田大翔