途中出場で流れを一変させ、殊勲の2ゴールを決めたドウグラス。逆転劇の立役者だ。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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[J2リーグ18節]東京V 2-1 名古屋/6月10日/味スタ

 名古屋グランパスの選手たちは一様に、狐につままれたような顔をしていた。それまでチャンスらしいチャンスも掴めなかった東京ヴェルディが、65分からの2分間で立て続けにゴールを奪い、鮮やかに逆転。そのまま3ポイントを手にしたのだ。
 
 今回も元日本代表の名鑑定士、橋本英郎に話を訊いた。お粗末なパフォーマンスから一転、なぜヴェルディはゲームをひっくり返せたのか。
 
 J2リーグ第18節、ヴェルディは本拠地に赤鯱軍団を迎えた。ここ3試合で1分け2敗と急停止を余儀なくされ、順位を6位に落としていたホームチームにとっては重要な一戦だ。昇格レースに踏みとどまり、上位をキープするためにも、3位との直接対決は落とせない。
 
 ところが、序盤から名古屋にペースを握られてしまう。連動したプレッシングの前に攻撃の糸口を掴めず、15分、あっさりと先制を許す。流れるようなパスワークから中央を切り裂かれ、FW杉森孝起にJ初ゴールとなる豪快ミドルをねじ込まれたのだ。
 
 ベンチに座りながら、橋本はこう見ていた。
 
「相手がやってくることに対して後手後手に回ってしまって、みんなベンチからの声に反応してやろうとするんだけど、どうしても自分たち主導でプレーができなかった。やっぱり、先制されるときつい。チームとして対戦相手の分析をしっかりして、対策を練って、一人ひとりの守備の立ち位置を明確にするところからゲームに入る。僕らはそういうチーム。だからその前提が崩れると、プラン自体が難しくなる。拮抗した状態を維持しながら、先に点を取れるか。そこに懸かってるんで」
 
 まるで突破口を見いだせないなか、ヴェルディは38分にMF梶川諒太が目の覚めるようなグラウンダーショットを叩き込んだ。しかし、ゴラッソはすぐさま取り消される。シュートの軌道上に立っていた味方選手がオフサイドの位置だったから? なんとも不可解なジャッジだった。
 
 怒り心頭に猛然とベンチから飛び出して抗議したのが、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督だ。あれだけ激高するのは初めて見たし、フラストレーションが溜まっていたのかもしれない。ここ3戦で勝ち星がなく、わずか2点しか取れていない。この日も攻撃には閉塞感があり、そんななかで起死回生の一撃を無にされ、イライラが爆発したのだ。執拗に主審に詰め寄ったが、スタッフが必死に食い止めたため、なんとか退席は免れた。
 後半も流れは変わらない。むしろ、前がかりになっては致命的なカウンターを何度も食らい、大量失点を喫してもおかしくない悪循環に追い込まれた。名古屋のフィニッシュ精度の低さに助けられた格好だ。
 
 橋本は言う。
 
「監督としてはリスクを掛けるにしても、もっと敵のディフェンスラインの裏に選手が抜け出して、チャンスになるかならないかのところを狙ってほしかったと思うんです。でも、足下で繋ぎすぎてた。繋げてしまうから繋ぐんやけど、そこで簡単に引っかかって、向こうのカウンターに勢いをつけてしまった。あの時間帯、相手のほうがよく走ってるように見えたのは、ボールの奪われ方が悪すぎたからです」
 
 ロティーナ監督は51分、1トップを技巧とタフネスが売りのFW高木大輔から、強さと高さが自慢のFWドウグラス・ヴィエイラにチェンジする。にわかに流れが変わった。
 
「相手のCBのひとりはもともとボランチの選手で、ヘディングがあまり強くなかった。フォワードらしいキープのされ方をすると、どうしても奪いに行けない。ボランチの位置と最終ラインの位置とでは対応が変わってくるから、チャレンジってのは難しかったと思うんです。前半の大輔もそれなりに手こずらせてたとは思うけど、近い位置にフォローできる選手がいなかった。ドウとアランは意思疎通ができてるというか、すごく近い位置関係を築けてたし、こぼれ球をお互いが拾えるようになってた。それがだいぶ大きかったと思う」