福建省厦門市と台湾が統治する金門島当局が8日、合同で稚魚366万匹を放流した。中国は台湾に対して厳しい「締め付け」を続けているが、6月になって台湾側との「連帯感」を示唆する動きも見えてきた。資料写真。

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中国国営の新華社によると、世界海洋デーの8日、福建省厦門(アモイ)市と中華民国(台湾)が統治する金門島の漁業関連当局が合同で、フウセイや真鯛などの稚魚366万匹を大アモイ湾に放流した。中国は台湾で2016年5月に発足した民進党・蔡英文政権が「一つの中国」の原則を認めていないとして、さまざまな「台湾締め付け」を続けてきたが、6月になってから「連帯感」を示唆する動きも見えてきた。

アモイ側は330万匹、金門側は6万匹を放流した。アモイ市海洋漁業局の責任者は、大アモイ湾について、双方の「共同の海域」と説明。「この海を共同でしっかりと維持保護し、子孫のために美しい海を残すのは、両岸同胞の共同の責任だ」と説明した。

新華社は放流について、アモイ市海洋漁業局と金門水産試験所が2015年に大アモイ湾の生物資源を回復させるために始めたと紹介。海峡両岸の人々の海を大切にし資源を保護する意識を高める目的があり、双方は協力して生態環境の改善のためにたゆまぬ努力をしているなどと論じた。

中国は2016年5月に蔡英文政権が発足して以来、同政権が「一つの中国」の原則を認めていないとして批判を続け、対話のパイプも閉ざした。

しかし、6月になり若干の変化が見られるようになった。中国政府で台湾問題を担当する部署である国務院台湾事務弁公室は3日、台湾北部で1日夜から2日にかけて発生した大雨被害について、被災者を見舞い犠牲者を哀悼する声明を発表した。また、3日にはフィリピンで2日に発生したホテル襲撃事件で台湾人4人が死亡した件について哀悼の意を示し、「必要なすべての協力をしたい」と発表した。台湾社会に対する「連帯感の表明」と受け止められる声明を、立て続けに発表したことになる。

8日に行った稚魚放流は環境保護が目的であるだけに、大陸側との合同作業であっても反発の声は出にくい。とりわけ、台湾で独立志向がある人々と環境問題を重視する人々の層は重なっている事情もある。合同の稚魚放流を中国国営の新華社が率先して報道し、台湾メディアは新華社の記事をベースにして報じることになった。

蔡英文政権が発足してからの中国の対台湾「締め付け」に対しては、台湾における「親中派」と呼ばれる人々からも批判の声が出始めている。中国が台湾世論に配慮して、対応を多少変更し始めた可能性がある。(翻訳・編集/如月隼人)