大谷重司さん、永瀬正敏、田中正子さん、河瀬直美監督

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 第70回カンヌ国際映画祭でエキュメニカル審査員賞を獲得した河瀬直美監督の映画『光』の大ヒット御礼舞台あいさつが10日に新宿バルト9で行われ、河瀬監督、主演の永瀬正敏が観客からの質問に答えるティーチインを行った。

 満席の場内を見渡した河瀬監督は「5月30日にカンヌから帰国してから10日くらいたって、ようやく時差ボケも抜けて。(普段暮らしている奈良から)今日は東京にやってきました。自分の作品が映画館でこういった形で観ていただける喜びをかみ締めています」とあいさつ。一方の永瀬は「僕はまだ時差ボケです」と笑った。

 ティーチインでは、上映が終わったばかりで気持ちの整理がつかずに泣きながら「この透明感あふれる映像はどう撮ったのか?」と質問をぶつける女性や、「劇中の映画はどれくらいの長さなのか? その映画は観られないのか」と尋ねる男性の姿も。前作の『あん』に感動したという女性が「なぜまた永瀬さんとタッグを組んだ?」と質問すると、河瀬監督は「ほれたからです」と即答し、「ご存じだと思いますが、抜き差しならぬ映画への愛がある方です。(今後のタッグにも)乞うご期待!」と付け加えて、拍手を浴びた。

 そしてこの日は劇中の音声ガイド研究会のシーンに登場する田中正子さん、そして劇中の視覚障害者について永瀬らにアドバイスした大谷重司さんも来場。田中さんは「撮影している時に漂っている部屋の空気が、映画への愛に満ちていました。涙が出てきて大変でしたが、素晴らしい映画をありがとうございました」と語り、河瀬監督は「(劇中で)正子さんが言った『映画は大きな世界なんだ。言葉で小さくしないで』という言葉は脚本にはありませんでした。正子さんがその言葉を言ってくれたからこの映画が成立しました」と謝辞を述べた。

 本作は、弱視のカメラマン雅哉(永瀬)と音声ガイド制作者の美佐子(水崎綾女)のラブストーリー。「音声ガイド付きの映画を試写会で観て、(映画が終わった後の)雅哉と美佐子の将来、未来を想像しました」と切り出した田中さんは、「きっと二人は光に包まれながら、二人の子供が『お母さん、お父さん、こっちを向いて』と言いながらカメラを写している。そんな場面を想像しながら家に帰りました」と映画では描かれていないが、二人に起きるかもしれない未来を紹介。そんな二人の未来を想像した観客は、まるで雅哉と美佐子を祝福するかのように拍手を送った。(取材・文:壬生智裕)

映画『光』は公開中