このシーツお化けがケイシー・アフレック

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 現地時間1日から4日まで開催されたサンダンス・ロンドンでデヴィッド・ロウリー監督がトークイベントを行い、ケイシー・アフレックとルーニー・マーラ共演の新作『ア・ゴースト・ストーリー(原題) /A Ghost Story』について語った。

 サンダンス・ロンドンは、アメリカのユタ州パークシティで1月に開催される大規模なインディペンデント映画祭、サンダンス映画祭からの選りすぐりをロンドンでお披露目するもの。『マンチェスター・バイ・ザ・シー』でアカデミー賞主演男優賞に輝いたケイシー、『ドラゴン・タトゥーの女』に主演して以来、スター街道をひた走るルーニーが共演する話題作『ア・ゴースト・ストーリー(原題)』は、早い段階でチケットが完売する人気となった。

 ロウリー監督が脚本も手掛けた本作は、冒頭で亡くなってしまう男性(ケイシー)がパートナー(ルーニー)と暮らした家に戻ってからを描くもの。遺体となったケイシーがかぶせられたシーツごと起き上がり、そのままお化けの姿になるシーンが秀逸だ。ケイシーはほぼ全編シーツ姿で、顔が見えるのは最初の数シーンと回想シーンのみ。眼のところにあいたシーツの穴も黒々としており、目玉さえ見えない。今ここにいる人達もいつかは皆消えてしまうという厳然とした事実が、はかなさ、切なさを感じさせる作品になっている。

 お化けとなった男性が恋人のもとに現れるといえば、ショートヘア姿が初々しかったデミ・ムーア主演で大ヒットした『ゴースト/ニューヨークの幻』が思い浮かぶが、あのロマンチックな甘やかさとは対極だ。

 イベントでは、ロウリー監督が初めてケイシーとルーニーを主演カップルとして登場させた『セインツ -約束の果て-』(2013)も上映された。やはりサンダンス映画祭で発表されたこの作品は高く評価され、ロウリー監督がブレイクするきっかけになった。当時のことを「5万ドル(約550万円)位の予算で考えていたのが50万ドル(約5,500万円)になって、ケイシーとルーニーが興味を示して参加することになり、結果的には300万ドル(約3億3,000万円)になった」と振り返ったロウリー監督。「それまではアマチュア、特に子供を撮ることが多かったから、初めてプロとして訓練してきた俳優と働いて『すごい!』と思ったね(笑)」とその演技力に感銘を受けたと明かした。(1ドル110円計算)

 ケイシーとルーニーは俳優として有能なだけでなく、「普通にすごく良い人たちで、友達になれた」といい、「僕はたくさんの兄弟と育ったけど、ケイシーといると弟といるみたいだ。実際には彼の方が年上なんだけどね」と同じく俳優・監督でもあるベン・アフレックを兄に持つケイシーは弟キャラのよう。ルーニーについては「僕と同じようにシャイなんだ。ケイシーとは違うタイプだけど、二人の間にはすごくケミストリーがある」と評した。

 カルト人気を誇るシェーン・カルース監督作で編集を手掛けるなど、他監督のもとでも働いてきたロウリー監督だが、そこまでには車に寝泊まりする苦しい時代もあった。今では、こうしてスター俳優を使って満足できる自作を撮れるまでになったが、「車の後ろで寝ていた頃から大躍進と思われるかもしれないけど、そういう気はしないね。そこに行くまでにいくつもの小さなステップを積み重ねてきたから」と一歩一歩進むことの大切さを説いていた。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)