高田郁原作の土曜時代ドラマ『みをつくし料理帖』は、料理に情熱を傾ける天涯孤独の少女の物語。『重版出来!』の黒木華、小日向文世、永山絢斗らが出演、脚本を『ちりとてちん』『ちかえもん』の藤本有紀が務めるということでドラマファンの間で話題になっていた作品だ。3話まで終わったが、前評判どおり上々の滑り出し。全8話。


つる家が「料理番付」に登場! 


2話「とろとろ茶碗蒸し」で江戸の人たちの口にも合う昆布とかつおの合わせ出汁をひくことに成功した澪(黒木華)。合わせ出汁を使ったとろとろ茶碗蒸しは大好評で、口うるさい食通の清右衛門(木村祐一)も大満足。

おまけに、「つる家」のとろとろと茶碗蒸しが「料理番付」初登場で東の関脇をゲット! 今ならいきなりミシュランで星を獲得するようなものだろうか。いいことばかりが続くつる家だった。

忙しさを増したつる家は、孤児の少女・ふき(蒔田彩珠)を雇い入れる。蒔田彩珠も『重版出来!』組の一人で、酒浸りの漫画家・後田の娘、アユを演じていた。ふきが登場するや、前回まではあどけなさがあった澪がすっかりお姉さんらしく見える。黒木華の演技力の賜物だろう。

これで本作に登場する両親を亡くした子どもは、澪、おりょう(麻生祐未)が引き取って育てている太一に続いてふきが3人目となる。太一を微笑みながら見守るおりょうと伊佐三(小林正寛)のショットの後、ご寮さん(安田成美)が静かにこう語る。

「どの子も、みんな幸せになってほしい。それが願いや」

シンプルな言葉だけど、つい涙腺がゆるむ。毎日のように小さな子どもが辛い目に遭うニュースに接していると、本当に、本当にそう思う。

血はつながってなくても親子


ところが、高級料理店「登龍楼」がつる家のとろとろ茶碗蒸しを真似て売り出した。値段は高いが、見栄っ張りの江戸っ子が大挙して押し寄せ、つる家は閑古鳥。たしかに、20000円のコース料理には手が出ないが、同じ店が2000円でランチを始めればつい行きたくなってしまうのが人情だろう。

どんよりした空気のつる家に今回、優しい風を吹き込んでくれるのは謎の侍・小松原(森山未來)だ。澪の眉毛をグイッと指で押し上げ、「それ以上眉を下にさげてみろ、いずれ地面についてしまうぞ」というシーンにほのぼの。澪が逃げようとすると小声で「ダメだ、ダメだ」と呟いているところが妙にリアル。

気を取り直した澪だったが、翌日、ご寮さんがケガをして担ぎ込まれてきた。澪に内緒で「登龍楼」の茶碗蒸しを食べに行ったご寮さんだったが、一口食べるなり立ち上がり、激昂して厨房に乗り込んでいったのだ。

「あの合わせ出汁、つる家の猿真似やあらへんか。登龍楼の板前の器量も知れたもんやな!」

ご寮さんの言葉に逆上した料理人の末松(毎熊克哉)にケガをさせられたというのが真相だった。いつも静かで穏やかなご寮さんがここまでキレたのは、澪のことを実の娘のように思っていたから。実の娘が毎日苦労して合わせ出汁を作っている姿を見ていたからこそ、有名店の安易なパクリに腹が立ったのだ。

ご寮さんの気持ちを知った澪が、感極まって「お母はん」とすがるシーンにまた涙。『みをつくし料理帖』には親子の情愛が満ち溢れている。それは血の繋がらない親子の情愛だ。

いい味出しまくりの萩原聖人


吉原の伝説の花魁、あさひ太夫(成海璃子)と料理番・又次(萩原聖人)が登場。特にあさひ太夫に尽くす男・又次役の萩原がいい味を出している。セリフは少なくても、たたずまいだけで十分。酸いも甘いも噛み分けた渋い元二枚目。流れ流れて吉原の料理番という仕事にたどりついたのだろう。そんな背景が顔を見ただけでじわっとわかる。そういえば『冬のソナタ』も『逆境無頼カイジ』も主人公の吹き替えはこの人だった。

最後にまたつる家に波乱が訪れる。澪が新たに作った料理「三つ葉尽くし」とまったく同じものを登龍楼でも出しているというのだ。とろとろ茶碗蒸しに続いて、また料理を盗まれた……!?

今日放送の第4話「ほろにが蕗ご飯」は、澪たちが試練に直面するエピソード。敵役・登龍楼の店主、采女宗馬(うねめ・そうま/松尾スズキ)がついに姿を見せる! 夕方6時5分から。
(大山くまお)