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 トランプ大統領が「パリ気候変動協定」からの離脱を発表したことにバチカンのフランシスコ法王は非常に憤慨しているという。

 米国大統領選挙の時からフランシスコ法王にとって、トランプ候補は良い印象を与えていなかった。そして、彼が大統領に就任して、2月には法王がローマに戻る機内で<「壁を設けることしか考えない、橋を架けようとしない。そのような人は誰であろとキリスト教徒ではない」>と語ったこともあった。(参照:「El Pais」)

 また、法王がオバマ前大統領の依頼を受けて米国とキューバとの国交正常化への仲介を果たしたにも拘らず、トランプ大統領はそれをも振り出しに戻す構えを見せていることに、バチカンでは強い不信の念を抱くようになっているという。

◆法王の願いを無視したトランプ

 法王は環境保護にはパリ協定の合意は大変重要だと見て全面的にそれを支持している。そのため、パリ協定に疑問を抱くトランプ大統領がバチカンを訪問した時に、フランシスコ法王は内心トランプの改心を願って2015年に法王から世界のカトリック教会の司教に宛てた回勅のコピーに法王自ら署名してトランプ大統領に渡した。この回勅をトランプに渡した理由は、そこには気候変動によって汚染された環境を保護することを要請した内容が盛り込まれているからであった。

 コピー版であるとは言え、法王の願いが託された神聖な回勅である。にも関わらず、それを受け取ったトランプ大統領は、それから数日して回勅に書かれている内容とは正反対のパリ協定を離脱すると発表したのである。

 この出来事を前にして、バチカンの高官は<顔に平手打ちを食らされたような感じだ、人類の災厄だ>と述べたのであった。フランシスコ法王の願いが全く通じなかったということである。(参照:「Viva Noticias」)

◆「トランプは地球平面論者と変わらない!」

 バチカンの教皇庁立科学アカデミーの理事を務める法王と同じアルゼンチン出身のマルセロ・サンチェス・ソロンド大司教はトランプのパリ協定離脱を受けて、イタリア紙『La Repubblica』の取材に答えて<「災厄だけでなく、完全に科学を否定するものだ」>と述べ、<「我々は石炭と石油に依存することが必要だと発言することは、あたかも地球は球体ではないと言っているようなもので、お金を稼ぐ為に不条理に必要な理由づけをしているだけだ」>と断言している。

 そして、この決定の背後には<石油ロビイストがいて、その関連産業界がトランプを操った>と考えていることを同大司教は付け加えてもいる。

 また、バチカンの国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿もトランプ大統領と個別に会談を持ち、パリ協定を離脱しないよう>促したそうであるが、その願いは叶えられなかったことになる。

◆石油メジャーからの大口献金

 6月4日付『Diario Latinoamericano』電子紙はトランプ大統領がパリ協定から脱退することを決定した背後には共和党の<上院議員22人が大統領にこの協定から離脱するように促した書簡>があったことを報じ、驚くべきことは<最近5年間に化石燃料を使う企業から10,694,284ドル(11億7600万円)が献金としてこの22人の議員に渡されていた>ことを『The Guardian』が暴いたことを報じたのである。化石燃料を使う産業界の企業から献金として共和党と民主党に渡された金額の差は<15対1の割合いで、共和党への献金が圧倒的に多い>ことを明らかにしている。

 22人の共和党上院議員の中には先の大統領選挙に出馬した父親がメキシコ移民だったテッド・クルーズもリストアップされている。彼は<石油と天然ガス関連企業から2,465,910ドル(2億7100万円)、石炭関連企業から103,900ドル(1143万円)>が献金として受け取ったことが明らかにされている。