最近の蜜月ムードをよそに米国が南シナ海問題で中国批判を強めている。背景には北朝鮮問題をめぐる中国の対応に不満があるとみられる、米国の予想外の動きに中国は「無責任な言論」などと反発している。

写真拡大

2017年6月9日、最近の中国との蜜月ムードをよそに米国が南シナ海問題で中国批判を強めている。背景には核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮に対する中国の圧力が不十分との不満があるとみられる、米国の予想外の対応に中国は「無責任な言論」と非難。「強烈な不満と断固として反論を表明する」などと反発している。

日本メディアによると、シンガポールで6月3日に開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で、米国のマティス国防長官は南シナ海で人工島建設など軍事拠点化を進める中国を名指しして「国際社会の利益を侵害し、ルールに基づいた秩序を壊す」と批判。米中間で「経済、政治的な摩擦が起きることが予想される」と警告した。マティス氏は北朝鮮問題にも触れ、「地域の平和と繁栄に対抗するほかの戦略的な挑戦から目をそらすべきではない」と言い切った。

さらに、AFP通信などによると、ティラーソン米国務長官は5日、オーストラリアとの外務・国防閣僚会合後の記者会見で、「中国が経済的に優位な立場を利用し、立場の弱い国に対して南シナ海の領有権問題などで強硬な手段を取っている」と批判した。ティラーソン氏は中国との「生産的な関係を強く望んでいる」としつつも、「経済力や貿易力が強くなるにつれて、安全保障面での責任も大きくなることを認識しなければならない」と指摘した。

米国が南シナ海問題で強硬な姿勢を示す予兆はあった。米CNNなどよると、米海軍の駆逐艦「デューイ」は5月24日、中国が領有権を主張する南沙(スプラトリー)諸島のミスチーフ礁(中国名・美済礁)から20キロ以内の海域でトランプ政権発足後初の「航行の自由作戦」に踏み切っていた。

これに対し、中国外交部の華春瑩報道官は4日、「中国は南沙群島およびその近くの海域で争う余地のない主権を保有している」と強調。「中国が自国の領土に必要な国土防御施設を配備することは主権の範囲内のことであり、主権国家が保有する自国の安全を保障する権利および自衛権で、いわゆる『軍事化』と無関係だ」と主張した。

その上でシャングリラ会合で南シナ海問題を取り上げた日本にも言及。「少数の域外国家は執拗(しつよう)に時代の流れに逆行し、次々と誤った内容を発言し、事実を無視し、黒白を混同し、完全に別のたくらみ事を抱えている」などと述べ、強い不快感を示した。

中国網も「米国とその同盟国、アジア太平洋の裁判官を気取るな」との記事を掲載。この中で「中国は一部の国が中国の台頭に慣れていないことに配慮し、米国のアジア太平洋地域での同盟強化にも対抗姿勢を示していない。しかし、中国にもボーダーラインがあり、安全保障面の隠れたリスクに対して何もしないわけにはいかない」などと、けん制している。(編集/日向)