4月17日に北朝鮮国営メディアにより公開された、北朝鮮の市民が金日成広場で金日成(キム・イルソン)氏の誕生105周年祝賀行事で踊る様子。15日撮影とみられる(STR/GettyImages)

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 韓国の文在寅新政権は7日、米国の弾道弾迎撃ミサイルシステム(THAAD)の配備を中断することを発表したが、その翌日、北朝鮮は数発の弾道ミサイルを発射した。文在寅政権発足後に北朝鮮が行ったミサイル発射実験は、これで4度目となった。

 時事評論家の蘭述氏は、THAAD配備の中断について「北朝鮮にとって韓国の政権交代は非常に敏感な問題。そのため文在寅政権が(THAAD配備中断との)慎重な選択をしたとみられる」とした。また、配備との一報で中国から一方的な「経済制裁」という圧力を受けたため、中韓関係の緩和を狙ったとも考えられるという。

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 米国務院の元東アジア軍事担当官デイビッド・アン氏は、新唐人テレビの取材に対し、中国の脅威となりうるTHAADの配備を韓国に中断させるため、中国からの圧力が「間違いなくあったはず」と答えた。いっぽう、米韓相互防衛条約に基づいて、THAADは計画通り配備されるとの見方も示した。

 韓国政府が配備中断を発表したその翌日、北朝鮮は8日早朝、日本海に向けて弾道ミサイル4発を発射した。韓国軍はこのミサイルについて、地対艦、地対地兼用ミサイルだと推測している。米国側は、射程の短い短距離弾道ミサイルで、脅威にはならないと分析している。

 複雑化した朝鮮半島情勢に対し、米国がどのように反応するだろうか。米国が北朝鮮へさらに強硬な経済制裁を取るよう求めるのだろうか。

 蘭述氏は、4月に行われたトランプ大統領と習主席の米中首脳会談で、ワシントンと北京の間には、最も基本的な枠組みにおける暗黙の了解があり、要はタイミングの問題だろうと分析している。

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 大紀元コラムニスト・謝田氏の推論では、4月の米中首脳会談のなかで、中国が共産党による独裁体制を変えるとの大転換について話し合われたとされる。これを受けて、トランプ大統領は習主席との協力関係を確信しただろう。

 習主席は、今年の秋に開催される中国共産党第19回全国代表大会 (19大)で大規模な人事編制を行うとの大仕事を抱えている。トランプ大統領はおそらく、19大までは、習主席が内政に専念できるよう、軍事行動のような「ビッグ・イベント」は起こさない。

 蘭述氏の見方では、今年いっぱいは中国と米国が北朝鮮に対し、強硬な行動を取る可能性は低い。北朝鮮が極めて危険な行動に出て、最も緊迫した事態にならなければ、基本的には口先だけの非難で済ませるだろう。

 「トランプ大統領と習主席の双方が交わした了解が実行段階に入るのは、19大で行われる習主席の人事編制が滞りなく完了したのを見届けてからだろう。そのため、今は北朝鮮がどれだけヒステリックに騒ぎ立てようが、たとえ核実験を行おうが、周辺国に対する明確な軍事行動さえ起こさなければ、ほおっておくだろう。国際社会、特に中国や米国は、おそらく北朝鮮に対する経済制裁を強めるだろが、北朝鮮に対し、実際の軍事行動に出る可能性は極めて低いはずだ」。

(翻訳編集・島津彰浩)