「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『昼顔』、『アイム・ノット・シリアルキラー』

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 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、編集スタッフ2人がそれぞれのイチオシ作品をプッシュします。

参考:殺人願望を持つ少年の危うい冒険ーージュブナイルとしての『アイム・ノット・シリアルキラー』

■『昼顔』

 あの夫婦はどんな夜を過ごすのかしら? エロ本編集出身、リアルサウンド映画部の“ゲスの極み”担当・松田がオススメするのは、映画『昼顔』。2014年夏に放送され、社会現象にまでなった連続ドラマ『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(フジテレビ)の後日談にして最終話が、明日よりスクリーンで公開されます。

 『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』は、平日昼間に夫以外の別の男性と恋に落ちる主婦のことを指す造語「平日昼顔妻」をテーマにした不倫ドラマで、上戸彩さん演じる笹本紗和(31)と斎藤工さん演じる北野裕一郎(33)が、道ならぬ恋に落ちる模様を描いた作品です。2012年にご結婚された上戸彩さんが不倫妻を演じるというセンセーショナルさと、斎藤工さんの大人の色気溢れる演技は、人々の秘めたる欲望を大いに刺激し、“昼顔”という言葉が新語・流行語大賞にノミネートされるほど、大きな話題となりました。昨今、世間で“不倫”をめぐる報道が過熱しているのは、もしかしたらこのドラマの影響もあったのかもしれません。

 さて、映画版の『昼顔』では、ちょうどドラマから3年後、離れ離れになった紗和たちの物語を描いています。紗和は夫と離婚しただけではなく、法的手段によって裕一郎に近づくことも許されなくなり、誰も知り合いがいない港町でひとり寂しく暮らしていました。その町に、あるとき偶然、生物教師である裕一郎が講演のために訪れたことから、再び運命の歯車が動き始めます。

 特筆すべきは、なんといっても上戸彩さんの恐るべき“エロティックさ”です。上戸彩さんといえば、現在35歳の筆者世代にとっては女神も同然、永遠のマドンナであり、崇めるべき信仰の対象でもあります。忘れもしない2001年、初めて彼女の姿を『3年B組金八先生』で見たときは、そのあまりの美少女ぶりに脳細胞が萎縮したほどでした。以来15年以上に渡って、彼女は我々世代の理想の女性であり続けています。筆者は今でも時々、寝る前に布団の中で「上戸彩」とつぶやいています。

 話を『昼顔』に戻しましょう。『昼顔』は不倫ドラマではありますが、たとえば『失楽園』(97年)のように、激しいベッドシーンがあるわけではありません。上戸彩さんはほとんど肌を露出しませんし、キスシーンもソフトなやつなので、お子様とご一緒に鑑賞しても大丈夫です。しかしながら、ただ普通に生活しているだけでも、上戸彩さんからは隠しようがない濃密なエロティシズムが漂います。ソファでゴロゴロしたり、サンダル&短パン姿で夜道に立ったり、缶チューハイを美味しそうに飲んだり。そんな日常の動作ひとつひとつが、得も言われぬ色気に溢れていて、筆者は不適切な感情を抱いてしまいました。ひとり暮らしの部屋の模様も、リアルな生活感があります。

 上戸彩さんに心を奪われたのは筆者だけではありません。港町の男どもは、訳あり風の上戸彩さんに興味津々。バイト先のオーナーも、魚屋さんでさえも、隙あらば接触しようと近づきます。そして、上戸彩さんが行く先々で人間関係がおかしくなるのです。まさに天性のサークルクラッシャー。美しすぎるのは、こんなにも罪なことなのかと、恐怖さえ感じました。

 思えば、上戸彩さんをここまでフェティッシュにスクリーンに映し出した作品は、ほかになかったのではないでしょうか。大画面で見る、すっかり大人の女性になった上戸彩さんは、本当に頭がクラクラするほどパンチがあります。その凛とした眼差し、厚くて柔らかそうな唇、丸いおでこ、白くて細い足首、そして走るたびに揺れる大きな……。北野裕一郎ならずとも、人生を棒に振ってでも彼女と一緒になりたいと願うのは、ごく自然なことなのかもしれません。

■『アイム・ノット・シリアルキラー』

 リアルサウンド野球部、横浜DeNAベイスターズファンの石井がオススメするのは、『アイム・ノット・シリアルキラー』。

 ベイスターズが38年ぶりの優勝を成し遂げた1998年、ナイター中継(巨人戦)は試合終了まで放送され、各局で映画の地上波放送の枠がありました。そんな地上波放送の映画で、幼少期の筆者に映画の楽しさを教えてくれたのが、ロバート・ゼメキス監督作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でした。特に、クリストファー・ロイド演じるドクのキャラクターに魅了され、「こんなおじいちゃんになりたい!」と思ったものでした(が、改めてPART1時の年齢を調べてみると、ロイドは当時47歳。“おじいちゃん”と言うには失礼過ぎですね)。

 そんなロイドが、御年78歳、正真正銘のおじいちゃんとして出演しているのが、この『アイミ・ノット・シリアル・キラー』。シワの数は増え、背中は丸まり、ヨボヨボという擬音が聞こえてきそうな歩き方で、“老い”を前面に押し出した演技を披露しています。

 実家の葬儀店で死体の処理を手伝っていることからか、死体や殺人に異常な執着を持ってしまう主人公の少年・ジョン(マックス・レコーズ)。家族とうまくいかない、学校にも馴染めない、自分の内なる欲望に逆らえない。ジョンとは対象が違うかもしれませんが、そうした思春期の鬱屈した感情は、誰にでも経験があるものだと思います。

 閉塞した田舎町で、少年が自己と向き合い、大人になる物語。味付けが“殺人”という特殊さはあるものの、あらすじを整理してみると、意外に普通の話?という気もしてくるのですが、普通ではなく“異常”にさせているのが、殺人鬼クローリーを演じるクリストファー・ロイドなのです。

 クローリーはジョンの隣人の優しい老人。しかし、殺人の嗅覚にすぐれたジョンに犯行現場を見られると、それまでの老人モードから一転、狂気の表情に。殺人モード時の動きのキレに、さっきまでのヨボヨボはなんだったんだ!と思わず突っ込んでしまうこと必至です(これにも理由がちゃんとありました)。『ドント・ブリーズ』のムキムキ盲目おじいちゃんも異常な怖さを見せてくれましたが、負けず劣らず本作のロイドも“怪物”おじいちゃんとして、映画史に残る怪演です。かつて『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクに魅了された人ならば、この姿を観るだけでも価値があると言えます。

 ジョンは殺人鬼を止めるべく、自身も殺人をおかしてしまうのか、殺人鬼クローリーはジョンの調査から逃れることができるのか、この対立こそが本作の肝ではあるのですが、最後の最後にまさかのどんでん返しが待っています。見終わった時、『アイム・ノット・シリアルキラー』そのタイトルの意味が分かって必ずスッキリしますよ。(リアルサウンド編集部)