天秤を手にする正義の女神像。仏レンヌの裁判所で(2015年5月19日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】米国で、元交際相手の女性を殺害したとして2000年に終身刑の判決を受けながら無罪を訴え続けてきた受刑者が、ポッドキャストの番組で人気を博したことがきっかけで再審の機会を与えられるかもしれない状況となっている。

 米裁判所は現在、18年間を拘束下で過ごしてきたアドナン・サイード(Adnan Syed)受刑者(37)について、週1回配信のポッドキャスト番組「Serial(シリアル)」が裁判中の検察側の陳述に大きな穴がある事実を明るみに出したことを受け、再審を認めるか否か検討している。

 パキスタン移民2世のサイード受刑者が元交際相手の女性を殺害したとされる事件は、これまで米メディアではまるで注目されなかった。だが、米ジャーナリストのサラ・ケー二ヒ(Sarah Koenig)氏が当時の捜査資料を見直し、有罪判決に疑義を呈したポッドキャスト番組が大ヒットし、状況は変わった。

「シリアル」は、調査報道と一人称のナレーション、ドラマチックな物語性を融合させたポッドキャスト番組。第1期は12話構成の全てがサイード受刑者の物語を中心に展開し、累計で1億7500万回以上ダウンロードされ世界記録となった。

 番組では、サイード受刑者が裁判で適切な弁護を受けられたかどうか、そして実際に元交際相手のヘイ・ミン・リー(Hae Min Lee)さん(当時18)を殺害したのかどうかについて、疑問を投げかけている。

 韓国生まれのリーさんは高校生だった1999年、メリーランド(Maryland)州ボルティモア(Baltimore)の森で、土の中に埋められた絞殺遺体で発見された。匿名の密告を受け、警察は当時18歳のサイード受刑者を容疑者とみて集中的に捜査した。

 裁判では、検察はサイード受刑者の犯行動機として、自分と別れたリーさんが別の男と付き合ったことに嫉妬(しっと)して絞殺したと主張。保守的なイスラム教徒として育てられたサイード受刑者は、リーさんに辱められたと感じ、リーさんを殺害するという最も暴力的な仕返しをしたと陳述していた。

 しかし、ケー二ヒ氏のポッドキャスト番組は、検察側の主張に複数の矛盾があることを問題視。裁判当時の被告側弁護人が、証拠に関する分析を怠ったとみられる点や、サイード受刑者が犯行時刻に図書館にいたのを見たと主張する人物と面会していなかったことを指摘していた。
【翻訳編集】AFPBB News