福島リラ、新木優子、武田玲奈……『100万円の女たち』女優陣の個性活かした演技のすごさ

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 今期も様々なミステリードラマが放送されているが、その中でも1、2を争うほどの秀作となっているのが、テレビ東京にて放送中のドラマ『100万円の女たち』だ。

参考:テレビ東京とNetflixはなぜタッグを組んだ? 『100万円の女たち』五箇公貴Pインタビュー

 人気ロックバンド「RADWIMPS」の野田洋次郎がドラマ初主演を務めている本作は、回を追うごとに謎が解かれていくのだが、同時に深まっていく謎もある。加えて、ゆっくりと危機が襲って来る模様を丁寧に描く。謎を握る主人公の同居人である福島リラ、松井玲奈、我妻三輪子、武田玲奈、新木優子演じる5人の美女たち。彼女らの美しく、力強く、儚く、艶やかな演技が予想以上に噛み合っており、深夜ドラマの可能性を広げる新たな作品に仕上がっている。そんな、同ドラマの魅力的な女優たちについて考察してみたい。

■福島リラ(白川美波役)

 まずは白川美波役の福島リラ。ファッション界のトップモデルとして国内外で活躍し、映画『ウルヴァリン: SAMURAI』でヒュー・ジャックマンの相手役としてハリウッドデビュー。ハリウッドが好むエキゾチックなアジア系の容姿を武器に、女優としても重宝されている。アメリカではほかに、ドラマ『ARROW/アロー』や『ゲーム・オブ・スローンズ』などにも出演。

 今回、福島演じる白川美波は、家では常に全裸で過ごしている強気な女性で、妖艶な魅力を放っている。その素性は、人気アイドルまで所属する超高級コールガールクラブの社長という闇の世界の女だった。ただ者ではないミステリアスな雰囲気はまさにピッタリ。彼女が食卓にいる絵には非日常感があるのだが、同時に全裸で食事をするという光景には生々しい魅力もある。また小説家の慎に対して、クールに叱咤激励する姿には姉御肌的な一面も垣間見える。頼りがいを感じさせる凛とした福島の特徴を充分に活かしたキャスティングだ。

■新木優子(開菜々果役)

 ここまで尊い演技ができるのかと正直驚かされたのが新木優子だ。「non-no」専属モデルであり、「ゼクシィ」8代目CMガールとして注目された新木は、現在放送中の『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(カンテレ・フジテレビ系)にも出演している。

 新木演じる開菜々果は、おしとやかでどこか大物感を漂わせる不思議ちゃん。しかしその素性は、現在休業中の誰もが憧れる世界的大物女優だった。実は慎に対して小説家の才能を見いだしており、出版社と手を組み(頼まれ)、体をはって小説の売り上げを伸ばす手助けをする。慎自身はそのことを知らないのだが、それでも彼女は健気に彼を支える。新木は劇中で、女優として振る舞う演技と、普段の自分を偽る演技をするという、かなり難しい役どころを担っているのだが、その洗練された容姿でさらりとこなしてしまう姿に、高いポテンシャルを感じざるを得ない。

■ 武田玲奈(鈴村みどり役)

 5人の中では一番若いのが、鈴村みどり役の武田玲奈。その演技にもまた新たな発見があった。ファッション誌「Popteen」「non-no」の専属モデルや、「週刊ヤングジャンプ」「プレイボーイ」での水着グラビアのイメージが強い武田。だが、女優としても年々活躍の幅を広げており、今年は主演映画だけでも『交際記念日』『ポエトリーエンジェル』『パパのお弁当は世界一』とすでに3作品も決まっている。

 みどりは陰気な女子高生。その素性は、施設で育ち、たまたま宝くじで10億円を手に入れた女の子だ。人生を半分あきらめかけているようなネガティブさとは裏腹に、ひとりで生きていくという固い決心も持っている。それを表に出さず平気な顔をするという負けず嫌いな一面も。また、下着姿で慎を呼び出し「人はセックスを経験すれば強くなれますか?」「私の下着姿を見てムラムラしますか?」と、ドキリとさせる言動をしたり、いつも反発している美波に化粧をしてもらった際にはうれしそうな表情を浮かべたりと、思春期ゆえの不安定さと危うさがあり、武田はそれらをうまく表現している。

 ほかにも、最近はすっかり実力派女優として評価が高い、塚本ひとみ役の松井玲奈や、まだキャラクターが見えてこないが、終盤に向けてのキーパーソンになるであろう小林佑希役の我妻三輪子もまた、確かな存在感を放っており、目が離せない存在だ。

 同ドラマでは、登場人物のキャラに合った女優をキャスティングすることによって、それぞれの良さがより引き出され、ほかドラマとは一線を画した仕上がりとなっている。これは一般的な地上波にはない自由さで、観る側が本当に楽しめる傑作を作りだしてきたNetflixと、様々なアイデアで質の良いドラマを生みだしてきたテレ東がタッグを組んだからこそできた作品だ。

 さて、先日放送された第9話では、菜々果が殺害されたのに続き、死刑囚である慎の父親の死刑も執行。そして美波が家で何者かに縛られたまま火が放たれ、小説や父親の遺骨もろとも家が炎に包まれて行くという衝撃のエンディングを迎えた。

 菜々果、美波ともに、慎に心を開いた後での殺害だったため、視聴者としてもやりきれない思いが募った。一連の事件は、慎にも父親と同じ殺意の感情を芽生えさせようとする誰かの策略なのだろうか? またしても謎は深まるばかりだ。(本 手)