13年間もの長きに渡ってUKチャート入りしている曲がある。米ラスベガス出身の4人組バンド、The Killersの「Mr. Brightside」は2004年のリリースから現在に至るまで、一度たりともチャートから外れたことがない。

2004年のヒット曲といえば、Usherの「Yeah!」やアリシア・キーズの「If I Ain’t Got You」、マルーン5の「This Love」などが有名だが、当然ながら今ではチャートの圏外だ。日本では平井堅の「瞳をとじて」やMr.Childrenの「Sign」、平原綾香の「Jupiter」がヒットしていた年……と聞けば、もはや懐かしさすら覚えるだろう。

ポップソングというものの寿命を考えれば仕方のないことだが、この「Mr.Brightside」だけは、なぜかその法則から逃れ、ずっとチャートインしているのだ。移り変わりの速いポップスの世界においては非常に稀な現象……というか、もはや異常事態である。

「最初はただのキスだった」と始まり、恋する女性に振り回される男の姿を通して、嫉妬や混乱、叶わぬ愛について歌われるこのナンバー。かなり具体的な状況描写と、いわゆる“エモい”心情吐露は、確かに思春期のキッズたちの心を捉えそうではある。実際、バンド自体のニューウェーブで耽美的な雰囲気もゴスキッズに人気で、UKでは(特に学生や若者たちには)よく知られている曲だというのだが……。

米<Noisey>によると「Mr.Brightside」は、毎年トップ100にチャートインしており、現在も93位をマーク。今年の1月にはなんと49位にまで再上昇したというから驚きだ。同サイトいわく「2004年当時を懐かしむリスナーが多いのでは?」と考察しているが、それならばもっとビッグヒットを記録した他アーティスト曲の方がチャートインしそうなものだが……。それに、The Killersというバンド自体、ビヨンセやアデルと並ぶような国民的アーティストではない。

つまり、この謎の超ロング・チャートイン現象は、はっきりとした理由は誰にもわからないのである。考えれば考えるほど、分析すればするほど不思議な現象だ。「あまりにも良い曲だから」という理由だけでは到底説明できないのだが、現代ポップスの世界における本当の奇跡なのだろうか?