2013年に放送が開始されたNetflixオリジナルのドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック(OITNB)』。実在する女性の自伝が原作となり、結婚を目前に幸せに暮らしていた女性主人公が、突然過去にレズビアンの恋人の麻薬取引を手伝ったという罪を問われ女性刑務所に収監される…というところから物語はスタート。

刑務所内で主人公がどう生き抜いていくのか…というのはもちろんのこと、巻き起こる様々な事件、同性愛、人種間での抗争、刑務所の民営化による暮らしの劣悪化など、広く社会問題を取り上げ、ゴールデン・グローブ賞やプライムタイム・エミー賞にもノミネートされるなど超がつく人気作品に。

目が離せないのが、主人公も然ることながら、刑務所に入ることになった白人、黒人、ヒスパニック系と人種も生まれ育った環境も、犯罪に手を染めるまでの背景も違ったキャラクターたちの葛藤や生き方がリアルに描かれている点。1人1人の女性の生き様に、心が揺さぶられたという人も多いのでは?

今回は、6月9日のシーズン5開始に先駆けて出演女優にインタビューを敢行。テーマはコスモポリタンのグローバルコンセプト『Fun Fearless Female(楽しく恐れを知らない女性)』にちなんで、『Fearless(恐れを知らない)』について!

前編の3人に引き続き、今回はダーシャ・ポランコ(ダヤナラ・"ダヤ"・ディアス役)、セレニス・レイバ(グロリア・メンドーサ役)、ナターシャ・リオン(ニッキー・ニコルス役)の3人に話を聞きました。

――シーズン4では、仲間が刑務所内で命を落とし、緊迫のエンディングを迎えましたが…どう感じながら演じていましたか?

セレニス・レイバ(以下、セレニス):みんな驚いていたし、本当に予測していない展開だったわ。それが、監督のジェンジ・コーハンやライターたちのやることなのよ。視聴者たちだけでなく、この企画に関わっている"私たち"まで、驚かせ続けるの。未知の世界が展開されていくのよ。自然に感情が生まれて好奇心を掻き立てられて、もっと知りたいと思ってしまうの。驚かされるわ。

ダーシャ・ポランコ(以下、ダーシャ):私たちだって、何が起きるのか知らないのよ。私たちは半年の間に13のエピソードを演じる。なのに3つ先のエピソードで、何が起きるのかさえ知らないの。撮影するときは、10〜12日毎に新しい脚本をもらっているわ。

セレニス:(脚本をパラパラとめくる動作をしながら)私はまず、自分の名前を探すわ(笑)。そして「オーケー、出番があった!」とホッとするわけ。

ダーシャ演じるダヤが、拳銃を看守に突きつけるシーンでシーズン4が終了…。果たしてどんな展開が待っているのか?

――シーズン5では、どのキャラクターも限界まで追い込まれる大変な時期を迎えるようですね。

ナターシャ・リオン(以下、ナターシャ):イエス! 脱獄事件なんていうレベルじゃないのよ。フルスケールの暴動よ。危険度は限界まできて、囚人たちが収容所を仕切るのよ。私達の世界がこれ以上の強烈はないというくらい緊迫感あるものになっているということ。

ダーシャ:新シーズン(シーズン5)のストーリーは、3日間で起きる事柄を描いているの。ジェンジやライターたちは、コメディやドラマを織り交ぜながら、現実的な問題に触れたり、話すことはタブーだとしていることに焦点を合わせたりできるマジックを備えていて、ドラマの舞台は3年くらい前なんだけど、近代の(社会的な)課題をうまく織り込まれてる。

セレニス:(人種)それぞれのグループ間の違いがよく描かれている。シーズン4では、スパニッシュ・ハーレムが解体して、違うものへと形を変えていったわ。私たちはその違いをシーズン5で見つめていくことになる。ただ、そこで起きている状況の中で、"サバイバルする(生き残る)"ために、この女性たちみんなが1つになる術を試行錯誤していくわけ。

ヒスパニック系囚人のボス的な存在だったセレニス演じるグロリア。母性溢れる役柄で、ダヤのことを母親のように見守る。

――2013年にスタートした(日本公開開始は2015年)『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック(OITNB)』シリーズですが、シーズン5と長い期間同じ役を演じてきて、自分自身が「Fearless(恐れ知らず)」になったと感じることはありましたか?

ナターシャ:ある! まさに、そう! 私がいままで経験したことのなかった楽しみができたの。映画ばかりやってきて、あまりテレビと縁がなかったし。でもこのショーでの経験で、何年か前からFearlessになってきたことを感じる。そして今この時点では、壁を乗り越えてような感触があるの。舞台演劇を上演するときの、初期のリハーサルへの恐怖みたいなもの。プレビューも披露して、ニューヨーク・タイムズ紙の批評家が来て、もう帰ってしまった…。でも、しばらくたってもずっと舞台に立ち続けていると、夢中でキャラクターに心酔して演技しているから、みんな観られているということまで忘れて、なりきってしまう。

そんな境域にたどり着くときこそ、キャラクターを広々と演じきることができるのよ。なぜなら、自分自身と恐れとの間にある境界線が失われていくから。

セレニス:そう思うわ。私にとっては、グロリアのシーズン1から5の終わりまで彼女が辿っていった変貌ね。私たちは昨日、そのフィナーレを撮影したのよ(笑)! 

私自身、女優のセレニスとしてはグロリアと一緒に進化していったわ。私たち(グロリアとセレニス)はお互いの存在に心地よさを感じているし、彼女になりきるまで、あまり時間はかからなかった。そして、彼女の生意気なところ、恐れ知らずで情熱的な側面…それを受けとめているの。普段でも「大丈夫よ。もう少し、グロリアになってもオーケーよ」って、自分に言い聞かせたりするのよ。

ダーシャ:ダヤナラに関しては、彼女には多くの同情を感じるわ。ときに、彼女が難問に立ち向かっていかない瞬間。それを見て、私は自分の人生で「私は、自分の人生ではやってみせるわ!」って、返って励ましになるの。私は彼女の正反対なの。だから、彼女を演じてきて、いまようやく彼女のことを私は分かるのよ。初めのときのように、私は彼女に批判的でないから、最初は分からなかったことが分かるようになった。私は彼女と一緒に成長して、分かるようになったの。

この感じ方って、『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』以外の場所で、私たちが行動するときに役立つものになっているの。監獄の改革に関しても、それに対して声を上げる勇気を与えてくれた。だって(番組やキャラクターは)現実のものでなくても、実は現実的なことなのよ。

セレニス:実際に、このような(刑務所で暮らす)女性たちが現実に存在してるからね。

ナターシャ演じるニッキー(右)は、ドラッグ中毒のレズビアン。シーズン3で刑務所に入る前の生活が明らかに。

――この番組に参加して、いま感じていることは?

ダーシャ:とても誇りに思っている。それは「私たちが始めたことで、私たちがオープンにしたものがある」って分かっているから。それは"多様性"よ。多様性は(各国からの記者が座っている)この部屋に存在しているし、世界を繋げるシンボルだと理解している他の映画やショーに影響を与えたの。

他の国に住んでいる人たちとも本物のやり方で、つながりを持てたわ。刑務所にいる女性たちを提起するショーであっても、海外に住む人たちの間でも強い共感を持ってもらえるものになった。それが責任になっているとも感じてるわ。私たちは急進的なの。

セレニス:この"多様性"を信じている人たちと一緒に、このショーを作っているの。だから、このトレンドが普通になることを願っているわ。伝えるには、いろんなストーリーがあって…どの人のストーリーも語るに価するものなの。本当に、ジェンジ・コーハンには脱帽よ。だって、彼女は口先だけなく、実際に多様性を押していく行動に出たわけだから。

主人公のパイパー(左)と、パイパーが刑務所に入るきっかけを作ったレズビアンの元カノのアレックス(右)

シーズンを追うごとにそれぞれのキャラクターがたくましくなるのと同時に、演じている彼女たちの内面も生活も大きく変えていったよう。人種、セクシャリティなどの"多様性"をストーリーを通じて見事に伝えてきた本作。シーズン5には、どんなメッセージが込められているのか…? 見逃せない。

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Netflixでシーズン1〜4 独占配信中

シーズン5 6月9日(金)より全世界配信開始

Translated by Yuka Azuma