紗和&北野がたどるラストには誰もが言葉を失うはず
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 2014年夏に放送され、社会現象的な話題にもなったテレビドラマ「昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜」(フジテレビ系)の物語の完結編となる映画『昼顔』の公開を前に、脚本を務めてきた井上由美子が、劇場版として続編を描いた理由を明かした。

 取材時に完成品を観た直後だった井上は、「上戸彩さんがまさに体当たりで、女性の怖さや、可愛さ、強さを演じ、斎藤工さんが綺麗ごとじゃないリアルな演技で受け止めて、ズシンと来る愛の物語になっていると感じました」と語る。連ドラ版では上戸演じる主婦・紗和と、隣人の主婦・利佳子(吉瀬美智子)が、それぞれの事情により道ならぬ恋に溺れていく姿を赤裸々に描いていたが、劇場版ではドラマ版のラストで一人で生きることを決意した後の紗和、その相手だった元高校教師・北野(斎藤工)と妻の乃里子(伊藤歩)という3人の物語になっている。

 テレビドラマの映画化と言えば、連ドラ版のキャストを総動員したり大物ゲストを登場させてみたり、はたまた海外などを舞台にすることでスケールアップ感を狙うケースもあるが、「あらゆるパターンを考えましたが、豪華版的な方向性の検討はなかった」という井上。「海外で紗和と北野がただれた生活をするというのも面白かったかも」と脚本家ならではの柔軟なアイデアを見せつつも、「この話は許されぬ人たちの話なので、にぎやかにするのではなく、また広げるよりは深く掘り下げる物語にした方がいいと思いました」と登場人物などを限定した理由を明かす。

 確かに劇場版は、連ドラ版の要素を必要最小限に削ぎ落として煮詰め上げた濃密な作品となっており、許されぬ道を歩む男女によって醸し出されるその危うい緊張感は、お茶の間では感じることができない映画ならではのもの。なおかつ、完結したドラマの続きをどう描くのかといった懸念も見事に解消されているが、ドラマ版は二度と会わないための契約書を双方の夫婦間で交わし、永遠の別れを誓う形で幕を閉じていた。ラストの紗和のモノローグ「神様ごめんなさい、またいつか私はあなたを怒らせるかもしれません」も井上いわく「人間って結局はそういうもので、罪を繰り返して生きていく」という意味で、続編への伏線的な意図はなかった。

 しかし、「あくまで終了してからスタッフの皆さんと話す中で、連ドラ版では煮詰まりきれていなかったところを、何かの形で書きたいと思うようになっていった」そうで、その真意を井上は「綺麗に収めるのではなく、バツンと切るような最終回にしたので、ある意味では丁寧ではない部分もあり、あえて描き残していた部分を補うというか、きちんと描き尽くしてみたい気持ちがありました」と振り返る。

 そうして「映画って愛の本質というか人生の断面のようなものを見せるものだと思うから、いろんなパターンを考えた上での結末となりました」との思いを込めて井上が脚本を書き上げた劇場版『昼顔』は、完結編にふさわしい作品であると共に、シリーズ初見でも観る者の感情を揺さぶる普遍的な愛の物語となっている。(取材・文:天本伸一郎)

映画『昼顔』は、6月10日より公開