代表3試合目だった昌子は、上手く試合に入り込めていなかった。(C)SOCCER DIGEST

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[キリンチャレンジカップ] 日本 1-1 シリア/6月7日/東京

 塩っぽい前半と、美しい後半。キリンチャレンジカップ2017のシリア戦と同様の展開は、ワールドカップ最終予選、アウェーのイラク戦でも予想できる。
 
 強靭な守備を見せたシリアと同じく、イラクもフィジカルの強さとハードワークに定評がある。同じ中東でも、前線の個の力に任せてサッカーをするUAEやサウジアラビアとは特徴が違う。相手の体力が充分に残っているうちは、守備を破るのは簡単ではなく、0-0の時間が続くことを覚悟しなければならない。
 
 先制点を与えず、我慢して後半を迎えること。その意味でキープレーヤーは、DF昌子源だ。
 
 シリア戦の48分、コーナーキックの流れから先制を許したのは、明らかに昌子の失態だった。クロスに対する目測を誤り、届くと思ったボールが頭上を越え、自分がマークしていた19番のマルドキアンにフリーでヘディングをさせてしまう。
 
 このミスには伏線があった。そもそも昌子は、ゴール前のポジションにつくのが遅く、シリアがショートコーナーで再開した時、まったくボールを見ていない。集中が抜けている。それは昌子だけではなかったが、この準備の悪さが、平凡なイージーミスを引き起こしたのは反省点だ。
 
 昌子は試合の立ち上がりから、フワフワと浮いていた。12分にはシリアのクリアボールが大きくバウンドしたところで目測を誤り、ボールを逸らして19番マルドキアンにスペースを突かれてしまった。31分にもクリアの処理ミスから、決定的なカウンターを食らいかけている。
 
「ちょっと自分でも硬いなと思いました。何でかと言われたら、わかんないですけど。普段より、敵を近くに感じたりしてました。Jリーグでパッと顔を上げたら、敵が遠いから、案外落ち着いてパス出せたり、ドリブルしたりできるのに、(シリア戦は)パッと見たら『あっ、近い』と思ってパス出して、ようよう見たらあんま近くなかったとか。自分でも硬い、あがってんのかなと思った」
 
 昌子はA代表3試合目の出場だが、過去の2試合は単純な親善試合だった。しかし、今回は森重真人が落選し、スタメンが有力視されるなかで、最終予選に向かうための大事なテストマッチだ。プレッシャーの次元が違う。
 しかも、昌子は森重とはタイプが違うセンターバックなので、特に前半は異物感があった。森重は足下に自信があるので、深い位置に下がらずにボールを受けて積極的にビルドアップに参加するが、昌子は過剰なほど深い位置に下がる。シリアは前からプレスをかけてこなかったので、近くに相手はいない。しかし、なぜか距離を取って下がる。ビルドアップは吉田麻也や山口蛍にお任せ状態だった。シリア戦で日本の距離感が間延びして、おかしくなった一因は、昌子にもある。
 
 しかし、その一方で大きな魅力もあった。
 
 前述した12分のミスの場面では、裏を取られた昌子がそのまま下がり、マルドキアンのドリブルに対応している。森重と吉田のコンビの場合、1トップに対しては、お互いの背中をカバーするように守る。だから、森重が裏を取られたら、吉田が逆サイドまでカバーに行き、森重はそれに交差して中央へ斜めに戻るポジショニングを行っているが、昌子の場合は、自分で自分の裏をカバーした。
 
 それで軽々と追いついてしまうスピードが、やはり昌子の大きな魅力だ。吉田は最初、サイドへカバーに行く姿勢を見せたが、昌子が自分で追いつこうと走り出す様子を見て、中央に留まる判断に変えた。このあたりの柔軟性は、さすがに経験値のある吉田だ。