試合後、スタンドに向かって手を振る加藤。次の目標は日本代表デビューだ! 写真:田中研治

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[キリンチャレンジカップ2017]日本 1-1 シリア/6月7日/東京スタジアム
 
 シリア戦前、ベンチ前で肩を組んで臨んだ国歌斉唱は、特別な時間だったと言う。
 
「初めての経験なので、国を背負っているという想いで、鳥肌が立ちました」
 
 ブルガリア1部リーグのベロエ・スタラ・ザゴラから日本代表へのサプライズ招集で、一躍、時の人となり注目を集めた。今回公式戦を迎え、MF加藤恒平はまたひとつステップアップを遂げた。
 
 特長であるボール奪取能力を活かし、2012年に町田でJ2デビュー。しかし13年に町田がJFLに降格したため、海外挑戦を模索。13年夏からモンテネグロのルダル・プリェヴリャ、ポーランドのポドベスキジェ・ビェルスコ=ビャワ、そして現所属チームでプレーしてきた。主戦場はボランチ。ハリルホジッチ監督が「ずっと追ってきた」というタレントだ。
 
 強靭なフィジカルとメンタル、何より好戦的な守備は、まさにハリルホジッチ監督好みと言える。このシリア戦での出場機会は得られなかったものの、メンバーと行動をともにすることで得たものは少なくなかった。
 
 浦和の宇賀神友弥やG大阪の東口順昭らから、時間のある時には最近のJリーグ事情についても話を聞いたりしたそうだ。一方、試合中は日本代表の戦いをくまなくチェックしていた。
 
「特に後半は中間のポジションをとれていたので、そこにパスを当てるイメージは持っていた。もう少し、相手のプレスを散らせるイメージを持っていました」
 
 加藤はそのように分析していた。そして――FC町田ゼルビアのサポーターによる、加藤を応援する横断幕も東京スタジアムに掲げられていた。
 
「嬉しかったです。代表のスタジアムで、自分の横断幕があるなんて…そんな期待していませんでしたから(笑)」
 
 そう頬をほころばせた加藤。1対1の守備には絶対の自信を持ち、強烈なミドルも武器とする。今回の招集メンバーの中では、浦和の遠藤航、G大阪の井手口陽介がまずライバルになってくるか。
 
 タイプ的には、神戸の伊野波雅彦と似ている。阪南大の学生時代にU-20日本代表の挑戦権を勝ち取ると、2か月後に05年のワールドユース(現U-20ワールドカップ)のメンバー入りを果たす。

 翌年にはFC東京に加入し、鹿島、神戸、磐田などでプレーし、日本代表メンバーに。タフな守備が評価されて、2014年のブラジル・ワールドカップの代表メンバーにも選ばれた。それもひとつのシンデレラストーリーだった。

 這い上がっていった屈強ボランチとして、ふたりに共通項は多い。伊野波もまた反骨心を持って成長してきたひとりだ。そして千葉の下部組織出身とあってテクニックも備える加藤は、より近代的なファイタータイプと言えるかもしれない。もちろん27歳とはいえ伸びしろがあり、どこまで成長するかは未知数と言える。
 
 13日にイランで行なわれるロシア・ワールドカップ・最終予選のイラク戦の遠征にも帯同することが決まった。今後、加藤の図太いメンタルと粘り強い守備を、日本代表が必要とする時が来るかもしれない。
 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)