中国の習近平国家主席が7日、カザフスタン公式訪問を開始した。同行した王滬寧・栗戦書の両氏は、今年秋の共産党代表大会で人事が決まる第2期習近平政権のキーマンだ。

写真拡大

中国の習近平国家主席が7日、カザフスタンの首都アスタナに到着し、同国公式訪問を開始した。主な訪問目的は、同地で開催される上海協力機構の加盟国首脳会議とアスタナ国際博覧会の開幕式出席のため(解説参照)。習主席に同行した王滬寧(おう・こねい/ワン・フーニン)・栗戦書(りつ・せんしょ/リー・ジャンシュー)の両氏は、今年(2017年)秋の共産党代表大会(党大会)で人事が決まる第2期習近平政権のキーマンだ。

王滬寧氏と栗戦書氏の現在における中国共産党内での地位は中央政治局委員だ。中国共産党の権力ピラミッドは上から総書記、中央政治局常務委員、中央政治局委員となっているので、王氏と栗氏は上から3番目の地位にいることになる。

今年の党大会でとりわけ注目されているのは、中央政治局常務委員の中で、習総書記(国家主席)と李克強常務委員(首相)以外の5人が「定年退職」する見込みであることだ。中国共産党にはこのところ、党最高幹部は党大会開催時(開催年)に68歳以上であった場合に引退するとの慣例があるからだ。

そのため、誰が新たに常務委員会に入るかが、大きな政局問題になる。習氏にとって、現在の常務委員の中で「完全に心を許せる」対象は王岐山氏だけとされる。他のメンバーは胡錦涛前主席または江沢民元主席に近いグループに属しているからだ。習氏は、次期常務委員会で「自分の派閥」を一気に増やしたいと考えているはずだ。

その最有力候補とされるのが王滬寧氏と栗戦書氏だ。王氏は1980年代に政治哲学者として頭角をあらわした。共産党の重要理論の起草にも関わるようになり、江沢民・胡錦涛政権の指導理論のブレーンとなった。

王氏は習氏にとっても「右腕」とされている。主な主張は「統一され安定した政治的リーダーシップが必要」、「特定の政治体制は特定の歴史・社会・文化の条件に適応せねばならない(=西側システムの安直な導入は不可)」、「政治体制の改革は現状の段階を超えることができない」などで、習近平政権の考えに見事に一致している。

栗戦書氏は、祖父が共産党の中堅幹部だった(文革期に迫害死)。1983年から85年にかけて河北省無極県で共産党委員会の書記を務めていた時、隣接する正定県の書記を務めていた習氏と親交を深めた。当時は栗氏の方が先輩格で、上司との関係に悩む習氏にアドバイスしたこともあったという。

1992年には共産党の中央委員会候補委員になったが、2012年秋の党大会で習近平体制が発足すると同時に1階級を飛び越して中央政治局委員に就任。さらに中央書記処書記、共産党中央弁公庁主任、中央国家安全委員弁公室主任など多くの要職を兼任することになった。王滬寧氏と同様に習氏の「右腕中の右腕」とみなされている。

王氏と栗氏はこれまでも、習氏の外遊に同行している。習氏には、外交の場でも両氏を前面に出して今後に備えようとの思惑があると考えられる。習氏の独断ではなく、共産党最上層部が全体として同意していると考えてよい。両氏がカザフスタンにも同行したことで、両氏が秋の共産党代表大会で中央政治局常務委員に就任する可能性が、ますます高まったと言える。

両氏が常務委員会入りすれば、習近平政権の体制固めがさらに進むことになる。ただし、年齢についての慣例が適用されれば、習氏だけでなく王滬寧、栗戦書の両氏も2022年の党大会で引退することになる。現在のところ、両氏が「ポスト習近平」政権を担うとは考えにくい状況だ。しかし逆に、1期5年間の任期中に、自らの考えを実現させようと、習氏と一丸となってより強力に政策の実現に励む可能性が出てくる。

◆解説◆
【上海協力機構】―加盟国は中国、ロシア、カザフスタン、タジキスタン、キルギス、ウズベキスタンで、インドとパキスタンも2017年内に加盟予定。政治、経済、科学技術などさまざまな分野の交流を通じて地域の平和や安定、さらに合理的な国際秩序の維持などを目指すことが目的だが加盟国による共同軍事演習も行っていることから、軍事同盟の色彩があるとの指摘がある。