本田選手はさすがのポジショニングとプレービジョンで攻撃に流れを生み出した。写真:田中研治

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[キリンチャレンジカップ] 日本 1-1 シリア/6月7日/東京

 イラク戦に向けて、良い流れを作れたとは言い難い試合だったと思います。代表チームは活動期間が短いため仕方がないところもありますが、課題は持ち越されたままでした。今の日本代表の課題とは、攻守において「つながり」を感じない点です。
 
 一人ひとりが頑張っているのはよく分かるのですが、その一人ひとりがつながっているように見えません。つながりが見えないのは、連動が見られないからでしょう。まずは、近くの選手とのより細やかな連係やポジショニングを意識するべきだと思います。
 
 シリア戦では、一貫して4-1-2-3のシステムで戦いました。選手を入れ替えながらもこのシステムを変えなかったということは、次のワールドカップ予選のイラク戦も、このシステムで挑む可能性が高いと思います。
 
 そうなると、香川選手の負傷は大きな痛手です。香川選手は今シーズンのドルトムントでもこの位置でプレーしており、能力という意味でもこのシステムへの慣れという意味でも必要な選手です。
 
 後半に、本田選手をインサイドハーフで試したのも、香川選手の負傷を見てのアイデアだったのではないかと思います。
 
 イラク戦でも昌子選手を使うはずで、ディフェンスラインの1枚に代表経験が浅い選手を使う状況下では、中盤には経験のある選手を置きたい。その場合の選択肢として、本田選手のインサイドハーフをここで試しておきたかったのでしょう。
 
   本田選手はさすがのポジショニングとプレービジョンでチームの攻撃に流れを生みました。後半投入された乾選手とともに流動的なポジショニングをすることで、前半との違いを見せました。
 
 ゴールに至らなかったのは、ゲームコンディションによるところだと思いますが、両サイドにスピードのある選手を置きたいハリルホジッチ監督にとってはひとつのオプションとなったのではないでしょうか。
 
 ただ、基本的にはシリア戦の前半の戦い方が、これまで同様ベースとなると思います。今の日本代表は自分たちがボールを握る展開よりも、相手に握られた展開をイメージして作られているように見えます。もしかしたらそれは来年のワールドカップを睨んだ上でのチーム作りなのかもしれません。シリア戦の後半に少し流れを生んだからといって、それを大きく変えることはないでしょう。
 そんななか、大迫選手は前半後半ともに起点になり続けました。動きと思考を止めず、常に相手を出し抜いていました。簡単にボールを失う場面も皆無でしたし、少しずれたボールもマイボールにしていました。表情からも自信や覚悟が見え、選手としての旬を迎えている印象です。ケルン同様、日本代表の戦いの中心になりつつあると感じました。
 
 その大迫選手の球際の粘りが起点になった、ゴールシーンの長友選手と今野選手も見事でした。長友選手はクロスの瞬間、最初はマイナスのクロスをイメージしたのではないかと思います。しかし、相手と味方を見て判断を変え、今野選手に合わせました。今野選手も彼独特のゴールセンスでスペースを見つけ、侵入していきました。守るだけではない今野選手の良さが現れたゴールでした。
 
 森重選手の落選を受けて注目された昌子選手は、地上戦において流石の強さを見せましたが、失点シーンなど、いくつかのシーンでポジショニングにミスがありました。ただ、時間とともに落ち着いていった印象です。彼は私とは違い、代表向きのメンタリティを持った選手です。イラク戦も大きな問題はないでしょう。