村上虹郎×熊切和嘉監督、肉体で語る映画『武曲 MUKOKU』を振り返る

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『鬼畜大宴会』にはじまり、『海炭市叙景』『私の男』と話題作、問題作を放ってきた熊切和嘉監督が、芥川賞作家の藤沢周の『武曲』を映画化した人間ドラマ『武曲 MUKOKU』が公開中です。

 トラウマを抱える2人の男が剣を手に本気でぶつかりあう姿をガチンコで見せ切る本作。綾野剛さんが演じる主人公と出会い、やがて決闘へと身を投じる高校生を演じたのは映画『2つ目の窓』、ドラマ「仰げば尊し」の村上虹郎さん。公開にあたって、監督と村上さんのおふたりに話を伺いました。

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◆俳優の肉体で語る映画を撮りたかった(監督)

――監督、パリ留学(文化庁の海外研修制度)から帰国後の作品になりますね。

熊切:はい。留学しているときに、バスター・キートンの特集上映に通ってたんです。命がけで身体を使っているものは本当に感動するなと。セリフで語るよりも、俳優の肉体で語る映画を撮りたいという想いが強烈に残りました。『武曲 MUKOKU』はまさにそういう映画になるんじゃないかというのがありましたね。

――村上さんは高校生の羽田融(とおる)を演じるにあたって、どんな点を意識しましたか?

村上:僕自身が持っている一面をクローズアップして表現したという感じです。ただ、融は死に魅せられた少年と謳われていて、それは間違いないのですが、それ以外にもバックボーンや、母子家庭だといった部分も監督と話しました。

◆台風の夜のシーンの撮影はすべてがどうでもよくなるくらい楽しかった(村上)

――監督は村上さんにどんな印象を持たれましたか?

熊切:会った瞬間に、漠然としていた融像が具体的に見えたんです。剣道の稽古で見せる生意気な感じもそうですし(笑)。一番よかったのは、重い過去を抱えているんだけれど、どこかあっけらかんとしていて、それを乗り越える強さ、生命力がある。そうした融像をすごく感じられたので、大変なことも多かったとは思いますが、いかに村上くんにのびのび演技してもらえるか考えました。

――綾野さん演じる矢田部研吾と融は、台風の夜に決闘します。あそこは拝見していて『私の男』の赤い雨のシーンがよぎりました。研吾と融のシーンも見ようによってはラブシーンかなと。

熊切:あそこは普通に台風の中でやりあうだけでも相当大変なんですけど、それにプラスして、ふたりの中にある、言ってみれば押し寄せてくる過去のトラウマなどのイメージもひっくるめてぐちゃぐちゃになっていくような感じにしたかったんです。それでああいう(演出の入った)雨を降らせたんです。

 どうなるか僕自身分からない部分がありましたが、でもラブシーンというのは、ある種、嬉しい感想ですね。彼らの何か、魂が、喜びあってなぜか輝くというようにしたかったので。

村上:いつまで続くんだっていう感じの撮影でした(苦笑)。でもすべてがどうでもよくなるくらい楽しかった。完全に夜の撮影なので、夜7時くらいからリハーサルを始めて9時に撮り始めて、朝明るくなるギリギリまで撮るっていう。

 どれだけ生っぽく見せるかというのも大事だったので、殺陣に関して僕はその日に教えてもらう程度でほとんどぶっつけでした。綾野さんはアクションの経験が全然違うので助けていただきました。とにかく大きな目標としては怪我をしないことでした。

――大変なシーンだったけれど、同時に燃えた?

村上:そうですね。木刀を持って決闘の場に入っていく、それだけでもうゾクゾクしましたから。まだ対決していないのに、現場に入ったその瞬間からずっと戦っていました。

◆村上はデビュー当時にSPA!に登場していた?

――女子SPA!の読者向けにメッセージをお願いします。

村上:SPA!っていろいろあるんですね。それこそ、SPA!といえば、僕がデビューしたての頃に、二階堂ふみさんがSPA!に出ていらっしゃって、僕を推してくれたことがあるんです。デビュー作しかキャリアがないときだったのですが、SPA!の最近熱い3人に、僕のことも挙げてもらったことがあります。

 その女性版のサイトがあるんですね。女子SPA!の読者の方へのメッセージとしては、僕らはとにかく汗だくで頑張っているので、そういう男の姿を観に来ていただきたいです。

熊切:なんというか、雨の日に靴を濡らさないで帰る気持ち良さではなくて、傘もささずに全身ずぶ濡れになって帰るときの快感、そういう映画だと思います。是非、劇場の大音響で観て、一緒にずぶずぶになってほしいですね。

<TEXT&PHOTO/望月ふみ>

『武曲 MUKOKU』は6月3日より全国公開中
配給:キノフィルムズ
(C) 2017「武曲 MUKOKU」製作委員会