乾(左)が復帰戦で好パフォーマンスを見せたことで、原口(右)に頼りきりだった左ウイングに新風が。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)、田中研治

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[キリンチャレンジカップ2017]日本 1-1 シリア/6月7日/東京スタジアム
 
 6月シリーズの日本代表メンバーで大きな注目を浴びたのが、2年2か月ぶりの復帰を果たしたエイバル所属の乾貴士だ。日本人にとって“鬼門”と言われるリーガ・エスパニョーラで過去2年に渡って継続的な出場機会を得たうえ、16-17シーズン最終節ではあのバルセロナから2ゴールを奪う大活躍を演じただけに、左ウイングに定着した原口元気を脅かしうる存在としておのずと期待は高まった。
 
 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、6月13日にロシア・ワールドカップ予選で戦うイラクを想定して組んだシリア戦で、まずいつも通り原口をスタメン起用。その背番号8は積極的に仕掛け、41分のバーの上をわずかに越えた一撃を含めて両チーム最多の4本のシュートを放った。乾と交代する直前の58分には、大迫勇也への仕掛けのパスで同点ゴールにも絡んでいる。
 
 そして、その同点弾直後にピッチに立った乾は、主に左サイドと中央でボールを受けて、巧みな足技を活かしたドリブルで相手ディフェンス陣を翻弄。2本の惜しいシュートも放った。2015年3月31日のウズベキスタン戦以来となる代表戦で、スペインでも高く評価された打開力を見せ付けたのだ。
 
 スタジアムをより沸かせ、大きなインパクトを残したのは間違いなく乾。試合後には長友佑都が「好きなだけ、好きな形でやらせればいいし、走ればボールが出てくる」、吉田麻也が「乾が入ってからは、個で打開することも、サイドからコンビネーションで崩すこともできた」と語るなど、チームメイトからも賞賛の声が上がった。
 
 しかし、ハリルホジッチ監督が「中盤が攻守で機能しなかった」と振り返った前半と、シリアが明らかに疲弊して間延びしていたラスト30分では、両チームの出来も試合展開も大きく異なっていた部分に、アンダーラインを引いておくべきだろう。
 
 乾が「誰が出ても同じような感じになっていたと思いますけど、前半は難しかったと思います」と振り返ったのは、単なる謙遜ではないはずだ。原口がプレーしていた時間帯よりも相手の最終ラインが下がり、敵2ライン(DFとMF)間にはより仕掛けやすいスペースが生まれていた。2人の立場が逆ならば、印象度も同じく180度変わっていた可能性は小さくない。「どっちが上か」、「どっちがスタメンに相応しいか」の議論は時期尚早だ。
 
 もちろん、清武弘嗣、宇佐美貴史、齋藤学などが大きな結果を残せず、信頼できる選択肢が原口一択だった左ウイングに、乾という新たなバリエーションが増えたことは大きな収穫と言っていい。
 
 パワーとスピードを兼備しスタミナも抜群というインテンシティー型で、守備力と近年の代表での実績でも上回る原口。技術とタイミングの妙に優れるテクニシャン系で、ここにきて勢いに乗っている乾。ハリルホジッチ監督がこの2人をどう使うのか、重要極まりないイラク戦の注目ポイントのひとつだろう。
 
取材・文:白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)
 
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