専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第108回

 前回の「ビジターあるある」に続いて、今回は「メンバーあるある」をお届けしたいと思います。

 晴れてゴルフ倶楽部の会員になった方は、うれしさのあまり滑稽な行動を取りがちです。以前、自分がメンバーだった時代もあるので、その頃のことを思い出しながら、メンバーの”あるある”ネタを列挙していきたいと思います。

 まず、メンバーになって最初にすることは、タグをつけることです。晴れて倶楽部の会員になったのですから、キャディーバッグの取っ手にさりげなくつけます。

 でも、さりげないと目立たないから、困ったちゃんです。だから、どこぞのコンペとかに行ったときに、同伴メンバーのタグを見つけて「おぉ〜、○○カントリー倶楽部のメンバーですね!」と、まずは相手を持ち上げます。さすれば、言われたほうも「そういうあなたも、△△ゴルフ倶楽部のメンバーじゃないですか!」と、応じてくれます。そうやって、双方褒めまくりながら盛り上がって、プライドを大いに満たすわけですな。

 この褒め合いの大事なところは、お互いに似たようなレベルのメンバーってことです。これがもし、相手が誰でも知っている名門倶楽部のメンバーだったら、悲惨な結果を招きます。

 相手は言われ慣れていますから、「ありがとう。あんまり競技には出てないけどね」くらいで話が終わって、あなたの倶楽部のタグなどには見向きもしてくれないので、あしからず。

 倶楽部の外回りの話はこれぐらいにして、次はクラブハウス内の所作について見ていきましょうか。

 メンバーで何がよかったかというと、フロントにメンバー専用の受付があることです。基本、書くのは名前だけですから。友だちを一緒に連れてきたときなどは、ちょっと優越感に浸れます。

 さらに、ロッカールームへ友だちと一緒に向かうのですが、途中で「じゃあ、ここで」と言って、自分はメンバー専用ロッカーへと消えていく……あ〜、これぞ至福の瞬間なり。


メンバーとしての優越感を味わいたいものですが... また、メンバーになると、今まで見向きもしなかったクラブハウス内の掲示板やハンデキャップボードなどを、事細かく見るようになります。特にハンデキャップボードに自分の名前があるのは、感慨深いものです。

 ハンデを取得していない場合は、その他大勢の扱いで、すごく下のほうに名前があります。それでも、新人国会議員の登院ぐらいにうれしいもので、思わず名札を裏返したりしてしまいます。

 そこへ、友だちがやってこようものなら、その友だちはいい”カモ”になるでしょうね。「ほら、そこに俺の名前が。いやぁ〜、メンバーっていいよぉ〜」などと言って、ペラペラ喋り出すと止まりません。

 ほんと、聞かされるほうはいい迷惑でしょう。でもまあ、メンバー紹介制度などによって、その日のプレー代はビジターも割引されますから、それぐらいは我慢して聞いてあげるしかないです。

 プレーにおいてもメンバーは、ビジターに対してさりげなくメンバーであることを強調しがちです。例えば、「スコアカード、持った? 今日はインスタートだから、アウトにスコアを書かないでね」とかね。

 これくらいで済めばまだいいほうです。「インスタートは、右がOBで左はワンペナ。左のバンカーは230ヤードで入るから、普通は刻むけど、キミならたぶん届かないから、マン振りしてもいいよ」と、少し上から目線になることがしばしば。そういうのは、ちょっとイラッときますね。

 さらに、プレー中は目土袋を持って、せっせとディボット跡に砂をかけて補修します。「いやぁ、自分のコースだと思うと、なんかねぇ。大事にメンテナンスしなきゃって思うんだよね」……って、人間変わるものですな。ビジター時代は、目土袋の存在すら知らず、ディボットを作ってもガン無視して平気でプレーしていたのに……。

 勢い余ったメンバーさんなんて、ビジターがフェアウェーから打つとき、シャベルに砂を持って待機したりしていますから。そしてゲストが打ち終わると、「はいはい、ダフったら砂をかけましょう」って、これみよがしにディボット埋め作業にかかります。勝手にやってくれるのはありがたいことですが、毎回これってうざいですよね。ダフるのを待たれても、なんだかなぁ……です。

 とはいえ、メンバーとなった者のプライドをくすぐれば、たまにはいいこともありますよ。

 例えば、コース途中のお茶屋さんで、「ここのお茶屋、冷房効いていて涼しい〜。なんか冷たいものでもないかな? あ、そう言えば、さっきパー取ったよね。じゃあ、ここはメンバーさんの奢りかな?」なんて吹っかけてやれば、悪い気はしないものです。

 そこでメンバーさんは、メンバーホルダーをさりげなくカウンターに出して、「ここは全部、これにつけて」と。そのときは、「さすが地主! 太っ腹、ごちそうさん!」と、奢られるビジターさんの気分も悪くはないでしょう。

 まあ、その後はまた散々メンバー自慢を聞かされるわけですが、やっとハーフが終わってランチに突入です。その際、さっき売店でドリンクを奢ってもらったことに味をしめたビジターさんは、こんな作戦に出ます。

「メンバーは、プレー代が安くていいよなぁ。土日でも8000円ぐらいでしょ。今日は日曜だから、ビジターは2万円だよ」

 そうこられると、メンバーとしてはなんか奢らないといけない雰囲気になってきます。う〜ん……、ここは仕方がない、ビールやコーヒーなどのドリンク代くらいは持ちますか、そう腹をくくって「じゃあ、今日のお昼はさ……」と言いかけます。

 ちょうどそのとき、ウエイトレスがやってきて「伝票は一緒ですか? それとも別々ですか?」と聞いてくるから、メンバーにとってはたまったものじゃありません。衆人環視の中、「伝票は別々で」と言えない雰囲気が漂います。

 それにしても、倶楽部のウエイトレスって、メンバーに向かって必ず一括会計か聞いてくるって、何なんですか? ファミリーレストランじゃあ、ありえませんよ! 単なる”銭ハラ”ですね。

 で、結局、メンバーは諦めの境地となって、「一緒で……」と言ってしまうのでした。

 そうして、メンバーさんは「ちょっとメンバーを強調しすぎたかな。次からは『メンバー、メンバー』って言わないようにしよう」と、心の中で固く誓うのでありました。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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