「電話は時間の搾取。いきなり掛けてこられると困惑する」という意見がネット上で共感される中、「気軽に人の電話を鳴らす人は、人の仕事のジャマをしている」という堀江貴文さんの発言が多く取り上げられています。

「電話NG」な空気が広がりつつあり、「もはや、どういうときに電話を使えばいいのかわからない」「かけるたびにビクビクしてしまう」「思い立ったときに電話をかけるということができなくなった」と言う人が続出しています。

インターネットが普及して、ほとんどのコミュケーションがネット経由で賄えるようになった現在。電話はますます「特別なもの」になっているようです。

仕事の現場だけでなく、恋愛でも電話コミュニケーションは廃れていて「彼氏とも電話なんかしない。LINEでしかやりとりしていない」「彼から用件のない電話がかかってくると、LINEでいいのに、と思ってしまう」という人も少なくありません。

わざわざ同じ時間を共有しなくても、お互いの隙間時間を縫って行なうコミュニケーションのほうが、効率的で気持ちがいいというのもわかります。

電話は「よっぽどのことがない限り使ってはいけないもの」になってしまったのかもしれません。

昭和の時代から、突然のテレアポや商品案内、用件のない長い世間話、はたまたオレオレ詐欺など、「受話器を取るとロクなことがない」「時間のムダ」ということは、よく言われていることでした。

でも、「何か大変なことが起こったのかもしれない」「この電話は大切なことを伝えるためのものかもしれない」という気持ちもあって、人は「もしもし?」とやっていたし、やっている。

たとえば、取引のある銀行から電話がかかってくれば、何かトラブルが起こったのかと思います。それが「ちょっと2〜3分よろしいですか」から始まる商品販促電話だったりすると、ついイラっとしてしまう。

急いでいるときはなおさらです。「よろしくないです!欲しかったら自分から連絡しますので!」と、声を荒げてしまい、たびたび自己嫌悪に陥ります。

そして、自己嫌悪を起こす状況をつくられたことに、さらにイライラ。もやもやするのです。そして「こんな気持ちになってしまうので、私にいきなり電話をかけてこないでください」と思ってしまう。

じゃあ、電話に出なければいいじゃない、という意見もあります。

それはまっとうで、ホリエモンさんは自分で「電話に出ないキャラになると決めている」そうです。「電話は百害あって一利なしだから」と。

あなたは電話をかけるキャラ?それともかけないキャラ?

鳴らした電話は、相手の状況を強制的に中断する。中断されると相手はリズムを崩される。自分がされるとイヤだから、人にも電話をかけない。

筋が通っていると思います。

よくよく考えてみると「メールで済むような確認のためだけに電話がかかってきた!」「電話は時間泥棒!」「電話をかけてくる人って仕事ができない!」とプンプンしている人は、自分からかけているのを見たことがありません。むしろ、「え、このメール、私が今見ていなかったらどうするの?」という至急案件をメールでペロンと送って来る人だったりします。

いずれにしろ、「人にも絶対にかけない」なら、「電話かけてこないで」も納得です。私もそれができるなら「誰の電話にも出ない」を選択します。でも、私は電話、けっこう使うんですよね。

たとえば、打ち合わせ中。不明な点が出ると、すぐにわかる人に「ちょっとお尋ねしたいんですけど……」と電話をかける。スマホからでもできるレストランの予約でも、電車で移動中のときならポチポチと打ち込みますが、歩いているときなどは、電話をかける。

あちこちから「電話NG」派の声を聞くと、たしかに〜と納得する面もあるし、自分のかけた電話が相手をイラっとさせていることもあるんだろうなぁとも思います。でも、「メールより電話のほうが話が早い」「電話したい」と思う人間は、相手に時間泥棒と言われようが、害悪と言われようが、かけるしかありません。

電話の内容が、相手の状況を中断するに値するかということを考えればアリ、という意見もあります。ビジネスマナーとしては、そうなんでしょう。

でも、相手の状況はエスパーでもない限り、考えてわかるものじゃない。そして、電話は基本的にこっちの都合でかけるものです。つまり相手にしてみたら、だいたいが不都合、「かけてきてほしくない状況」なんだと思います。いつでも「相手の状況を中断するに値しない」んです。

だから、電話を使っている人が、ムカつかれを回避するために唯一できることとしては、自分が「誰の電話にも出るキャラ」になることだけじゃないでしょうか。自分も出るから、相手も出てね、という状況をつくる。「こいつ、なんだかんだ電話してくる人なんだよー」と思わせる。ホリエモンさんの逆パターンです。

出るを基本にして、出られないとき、気づかないときが自分にあれば、たとえ相手が出てくれなくても、「なんでかけてくるのって思われてるのかな」「嫌われているのかな」とかいうムダにネガティブな発想にならずに、素直に「今は都合が悪いんだな、じゃあメールにしよ」と思えると思います。この流れは、「電話かけてこないで」派にとっても、嬉しい流れのはず。だから、許していただきたい、というのが電話かける派からのお願いです。

「電話よりもLINEのほうがウザい」「かけるほうからしたら、用事があるのに“今かけたら迷惑になるかな”と考える時間こそムダ」。その2では、アラサー&アラフォーOLの電話&ネットコミュニケーションの不満について紹介します。

電話をかけていいのは相手に選ばれ、認められた人だけ。