「個人が個人に投資する」と話題のサービス「VALU」。
インフルエンサーがTwitterで拡散したことで一気に広がりつつある。

一体、どういうサービスなのだろうか? 
すでに、さまざまな論点が議論されているVALUだが、ここではその仕組みと可能性の部分を解説しよう。

◎VALUの仕組み
VALUのイメージは、企業の「株式」に似ていている。
企業が株式公開をして株券を売り出すように、会員は自分自身のVALUを発行する。
ほかの会員は、その人を応援したいなと思えばVALUを購入し、「VALUER」となる。
VALUERとなることで、発行者から情報や優待特典を受けるなどの交流を行う。

いわば、SNSの一種ということになる。

購入したVALUは、ほかの会員に対して譲渡することができる。
このことから、発行されたVALUの取引は「時価」となる。

つまり、ほしい人が多ければ多いほどVALUは高くなり、手放す人が多ければ多いほどVALUは安くなる。

VALUを発行する人にとってのVALUは、自分のファンから融資を得ることができる仕組みといえる。
一方VALUERは、特定の人を応援できる、また株式投資的な行為ができる、ということになる。

ユーザーから融資をうける仕組みには、資金のない個人やプロジェクトが資金を得ることができる「クラウドファンディング」がある。しかし、クラウドファンディングの場合は、ゴール目標が明確に提示され、投資に対するリワードが設定される。

一方、VALUの場合は、優待特典はあってもなくても成立する。VALUERとどういう交流をするかはVALUを発行する人が自由に決めることができるのだ。

VALUの購入にはビットコインが使われ、現金との交換はVALU内ではできない。
現金とビットコインを交換するというような、いわゆるBTCウォレット的な機能は、VALUにはない。
そうした利用には、外部のBTCウォレットサービスなど必要となる。

◎BTC市場の可能性
VALUが注目されている点の1つは、サービス内の通貨としてビットコインが使われていることだろう。ビットコインは暗号通貨(仮想通貨)の一種で、2009年に運用が始まった。

いわゆる電子マネーとビットコインが異なるのは、その仕組みにある。

通常、電子マネーは何らかの形で現金をチャージする。たとえば、スイカやパスネット、ポケモンGOなどオンラインゲーム内の通貨も同じだ。
こうした電子マネーの場合は、国が保証する現金と交換し、それを使用できる場を運営元が担っている。

しかし、ビットコインは、オープンソースプロトコルにもとづくピアツーピア(P2P)ネットワークに担保される通貨だ。つまり、どういうことかというと、新規発行や異なるノードへの移動(取引)の正当性を証明するものが、国ではなく、P2Pネットワークということである。

ビットコインを使えば(インターネットが必須とはなるが)国や地域を越えて、容易に決済が可能で、個人間での送金も可能となる。このことから、商取引の世界を広げるものとして、大きく期待されている技術なのだ。

しかし、このビットコインが、サービスとしてブレイクしているかというと、実際、そうはなっていない。

理由としては、2つ考えられる。

ビットコインの場合、取引の正当性を担保するための取引台帳への追記・検証などの処理に膨大な計算が発生する。これをP2Pネットワークにつながる各ノードが分散処理している。
P2Pネットワークに参加し、システム維持に必要とされる計算リソースをノードとして提供することで「ビットコインを得る」ことができる。

その行為を「採掘(マイニング)」と呼び、当初は「ビットコインで一獲千金だ」というようなイメージを持たれた。実際には、ビットコインの発行総量は事前に決められており、採掘(マイニング)によって発行される量も適切に調整されている。

また、2014年に取引所として大手のマウントゴックス社が「窃盗行為によって744,408ビットコインを損失し破産に至った」として、すべての取引を停止。このマウントゴックス社の破綻は、その後は集団訴訟にも発展している。

実運用のサービスに導入される前に、こうした「ビットコイン=胡散臭い」という印象が先に広がってしまったことは、ビットコインの拡大や周知にもマイナスに働いたと思われる。
現状、現金とビットコインを交換する取引(交換)所も存在するが、現在の利用シーンのメインは、投資という側面が大きくなっている。

もう1つ、VALUサービスには評価経済システムの導入という側面がある。
そこVALUが、大いに議論されている論点となっている。

特に、「評価」を仲介するシステムとしての有り様については、
・既存の評価をそのまま持ち込んでいるだけなのではないのか。
あるいは、
・インフルエンサー(≒著名人)が利益を得て、周囲のファンが貢ぐモデルなのではないか、
などなど、議論されている。

サービス立ち上げ時期においては、ある種のインフルエンサーが牽引していくという図式は、これまでの成功したサービス同様に、ある程度は仕方がない。

問題は、今後、どう展開していくかということになるだろう。

とはいえ、VALUは、期待されていたビットコインを効果的に活用し得るサービスになる可能性を秘めたもの、であることはいえるだろう。


大内孝子