光で水素を生みだす、高効率な人工光合成技術を開発。将来的な燃料生産、CO2排出削減にも期待

米エネルギー省(DOE)とブルックヘブン国立研究所の共同研究チームが、人工光合成を効率的に実行できる「超分子」を作り出すことに成功したと発表しました。光合成は光のエネルギーを利用して空気中のCO2と水から糖などの有機化合物を生み出す反応ですが、この研究では超分子によって光合成プロセスを再現し、そこから水素を燃料として取り出すことを目的としています。

チームは数年前、人工的に光合成を再現可能な超分子2種類を生み出していましたが、いずれも光を吸収してエネルギーを電荷として分離し、CO2から糖を作り出すために使う水素を生成するための触媒として利用できました。ただ、そのうち一方がより効率的だったため、チームはその原因を理解する実験を実施してきたとのこと。

2種類の超分子は、いずれもロジウム(Rh)金属イオンの光吸収中心にいくつかのルテニウム(Ru)イオン触媒中心が接続した構成となっています。ただ、そのうち効率の良い方は10時間で280の水素分子を作り出したのに対して、他方は4時間かけて40の水素分子を作り出したところで機能が停止してしまったため、当初研究チームは非常に困惑したとのこと。

研究チームは、両者の違いは光エネルギーを輸送するための電荷の分離状態を形成する能力の差にあると考え、サイクリックボルタンメトリーと呼ばれる分子内のエネルギーレベルを調べる手法で2つの超分子を分析したところ、高効率な超分子(Ru触媒中心が多い)のほうが電子が不足した状態になっていることがわかりました。

これが電荷の移動がしやすい状況を作り、結果としてより多くの水素分子を生み出しました。

研究者らは、この結果によってこれまでよりも高効率な人工光合成システム実現の可能性が拡がったとしています。まだ時間はかかるであろうものの、さらなる効率化を突き詰めていけば、この技術を使った水素燃料の生産も可能になるかもしれません。

光は太陽がある限り得られる無尽蔵のエネルギーであり、そこから燃やしても水にしかならない水素燃料を作り出せるのなら、気候変動(CO2排出による温暖化)や将来的な化石燃料枯渇の問題を一挙に解決できるかもしれません。とすれば、どこかの国の大統領以外にとってはかならず実用化してほしい技術と言えるでしょう。