最近、芸能人が罹ったことで話題になったアニサキス食中毒。SNSやブログ、ネットニュースなどでも広まったせいか、認知度は高くなったものの、間違った知識や対策まで広まったり、必要以上に神経質になる人が増えて魚屋さんが困っているとか。今回はアニサキスについて正しい知識を覚えておきましょう。

アニサキスは目視できる!

アニサキスとは寄生虫の一種で、サバや鮭、カツオ、イワシ、イカ、サンマ、アジ、タラなどの魚介類にはアニサキスの幼虫が寄生します。主に内臓に寄生していますが、宿主である魚介類が死亡すると、内臓から筋肉に移動します。アニサキス幼虫は長さ2〜3センチ、幅0.5〜1ミリくらいの透明がかった白色で、渦巻き状に張り付いていることが多いです。通常は調理や消化の過程で死んでしまうのですが、生食した場合まれに人間の体内に入って胃壁や腸壁に侵入し、激しい痛みを伴った食中毒症状を起こします。養殖魚以外の魚にはアニサキス幼虫が寄生していることも多いですが、まとまって寄生しているのと比較的大きいので目視で確認することができるのです。

実は日本人にはお馴染みなんです

魚介類を多く食す日本人にとって、アニサキス幼虫は昔からお馴染みの寄生虫なんだとか。昔は魚を丸ごと買って自宅でさばいて食べる家庭も多かったため、漁村や内陸部にかかわらずアニサキス幼虫の対処は当たり前のことだったのです。近年は寄生虫がいない養殖の魚も多く、魚も切り身で売っていることが多いですよね。販売店できれいにしてあったり、生食用と加熱用も分けて売られているため、アニサキス幼虫を知らない人が増えていたのですね。生魚を食べる習慣がある日本でのアニサキス食中毒は世界的に見ても多いそうです。

痛過ぎる! アニサキス食中毒を防ぐには

まず、お魚を丸ごと1匹買う場合はほぼアニサキス幼虫に出会うと思ってください。釣った魚もそうです。特に内臓には寄生していることが多いので生で食べるのは避けましょう。筋肉(身)でも目視で見えるので、いたらピンセットなどで除去します。できるだけ加熱して食べるようにし(60℃で1分、70℃以上なら瞬時に死滅)、お刺身にする場合は目視で確認しながら薄く切るようにします。-20℃で24時間の冷凍でも感染しないので、一度冷凍するのも良いでしょう。スーパーなどで魚を買う場合「加熱用」と表記してあるものは必ず加熱して食べましょう。肉でも魚でも加熱用を生で食べるのは自己責任の域です。

また「良く噛んで食べれば大丈夫」「酢で〆てあるから大丈夫」「生姜やわさびと食べれば大丈夫」といった情報もありますが、アニサキス幼虫はゴムのように硬いので嚙みちぎるのは簡単ではありません。食用のお酢や塩で〆たくらいではアニサキス幼虫は死滅せず、仮死状態になるか動きが鈍るだけです。また元気になってしまう可能性があるため、酢で〆ても安心はできません。生姜やわさびも同じです。しょうが汁に漬けると7割が死滅し3割は動きが鈍るという検証もありますが、100%ではないので油断は禁物。わさび醤油もしかりです。

生魚を食べた後に猛烈な胃腸の痛みや嘔吐があった場合は、すぐに病院を受診しましょう。内視鏡で侵入したアニサキス幼虫を摘出しないと、大人でも七転八倒するほどの痛みだといいます。せっかく美味しいお魚を食べられる国にいるのですから、食中毒には気をつけたいですね。


writer:しゃけごはん