進化点は? ファーウェイ新スマホ P10 / Plus / liteを徹底解説 :週刊モバイル通信 石野純也
ファーウェイ・ジャパンは、2月に開催されたMobile World Congressで発表されたフラッグシップモデルの「P10」「P10 Plus」を、日本で発売します。

合わせて、P10の廉価版である「P10 lite」もラインナップ。P10ブランドの3機種を投入することで、拡大するSIMフリースマホ市場でシェアを広げていく構えです。


ファーウェイがフラッグシップモデルのP10、P10 Plusを発表


ミッドレンジモデルのP10 liteもラインナップ

P10、P10 Plusは、Pシリーズの最新モデル。ライカと共同開発したデュアルカメラを搭載し、一躍ファーウェイのブランド力を向上させた「P9」の後継機にあたるモデルです。

グローバルでは、P9の上位版となるP9 Plusも発売されていましたが、日本には未上陸。ファーウェイ・ジャパンのデバイス・プレジデント、呉波氏によると、これは市場性を見極めたためとのこと。「当時、消費者に受け入られる最高価格帯が6万円ぐらいだった」こともあり、投入を見送ったそうです。


昨年はP9(左)とP9 lite(右)の2機種のみを日本で発売

一方で、今年に入り、SIMフリースマホ市場の成長はさらに加速しています。ファーウェイのスマホも、1月から5月までで前年同期比88%増(BCN調べ)と、大幅に販売台数を伸ばしています。

昨年同時期に発表したP9 liteは、年間を通してベストセラーになり、キャリア向けスマホとも肩を並べるようになりました。販売ランキングでも、P9 liteがベスト10に顔を出すことが珍しくなくなっています。満を持して、3モデル構成で発売したというわけです。


昨年に比べ、倍増に迫る勢いで販売台数が伸びているという

P10、P10 Plusは、好評を博したライカと共同開発したカメラに、磨きをかけたモデル。P10 Plusはレンズをより高性能なものに変更し、ライカの「SUMMILUX-H」ブランドを冠するようになりました。F値も1.8となり、2.2のP9やP10よりも明るい写真が撮れるようになっています。

ディスプレイは5.5インチの2K(2560×1440ドット)。チップセットに「Kirin 960」を搭載、バッテリーも3750mAhと大容量で、すきのないハイエンドモデルに仕上がっています。インカメラもライカとの共同開発になり、ポートレートモードで撮影できるのも特徴です。


最上位モデルのP10 Plus


ライカのレンズが「SUMMILUX-H」に進化

これに対し、P10は、どちらかというとP9からの進化の幅は小さくなります。P9比ではモノクロ側のカメラの画素数が上がっていますが、レンズはそのまま。12月に発売されたMate 9と、カメラ性能は大きく変わっていません。ディスプレイは5.1インチで、フルHD。5.2インチでフルHDだったP9と比べると、画面サイズはわずかに小さくなってしまっています。


P10のカメラ機能は、12月発売のMate 9相当

もちろん、チップセットの性能が底上げされていたり、指紋センサーが前面に搭載されて机の上に置いたままでも使いやすくなっていたりと改善はありますが、どちらかと言えば、デザインやPANTONEとコラボしたダズリングブルーのカラーの方が注目のモデルかもしれません。P10とP10 Plusの価格差が7000円であることを考えると、P10 Plusの方にお得感がある印象です。




カメラやディスプレイ解像度の差の割には、価格差が小さい印象

大本命のP10 liteは、価格と性能のバランスが魅力


もっとも、ファーウェイの本命は、P9 liteの後継機である、P10 liteであることは間違いありません。P9 liteがSIMフリースマホの大ヒットモデルになったのは、ズバリ価格と性能のバランスのよさが理由です。MVNOだけでなく、ワイモバイルなどの強力な販路の後押しがあったのも、P9 liteが大躍進を支えています。これを受け継いでいるのが、P10 liteだというわけです。


1年間のロングセラーとなったP9 lite

P10 liteも、実際の端末を見ると、P9 lite譲りのバランスの良さ。背面にガラスを使い、シンプルに仕上がっていますが、高級感があり、一見しただけでは3万円台のスマホに見えません。ライカブランドこそありませんが、背面には1.25μmピクセルと、画素サイズを大きくしたカメラを搭載。さらに、ディスプレイも5.2インチフルHDと、ハイエンドモデルであるP10よりもサイズは大きくなります。


背面にはガラス素材を採用


カメラの画質もP9 liteより向上している

au VoLTEに対応予定なのもポイント。P10、P10 Plusはauやau系MVNOで利用できませんが、P10シリーズでは、このモデルのみが対応。UQ mobileに至っては、専用カラーである「サクラピンク」までラインナップします。

(2017/6/7 16:13)記事掲出時、P10 liteはDSDSに対応と記載していましたが、正しくは非対応でした。訂正しお詫び申し上げます。

実はファーウェイのスマホが採用するチップセットのKirinは、KDDIの実施するIOT(相互接続試験)をこれまで通過しておらず、au VoLTEが利用できませんでした。CDMAも搭載していないため、音声通話が非対応になってしまい、auやau系MVNOでは利用ができなかったのです。例外として「P9 lite PREMIUM」がありましたが、これはau VoLTEに対応するために、チップセットをクアルコムのSnapdragonに変更しています。そのため、P10 liteをau VoLTEに対応させるには、IOTの取得が必要になるわけです。


UQ mobile限定のサクラピンク

Kirinも他のチップセットと同様、複数のラインナップがあり、P10 liteが搭載しているのはオクタコアの「Kirin 658」になります。ここに含まれるモデムチップを、KDDIのIOTに適合させたというわけです。ハイエンド向けのKirin 960よりも先にau VoLTE対応させたのは、それだけP10 liteを幅広い販路で売りたかったからでしょう。ボリュームゾーンを狙う端末として、P9 liteに続き、長く売れる1台になりそうです。P10、P10 Plusでブランドイメージを作りつつ、P10 liteで実を取る戦略といえるでしょう。

発表会では、ライカと共同開発したカメラや、PANTONEのカラーなど、派手な要素で話題を集めたP10、P10 Plusですが、実売のボリュームという面では、P10 liteも見逃せないスマホです。一方で、今年のファーウェイは、2月にnovaやnova liteといったミッドレンジモデルも発売しており、他社以上に自社が競合になっている状況でもあります。

呉波氏は「住み分けはできている」と自信をのぞかせますが、特にnovaとは価格差も小さく、店頭に2台が並んでいたら、どちらを選ぶか悩ましいところかもしれません。ミッドレンジモデルのため、搭載できる機能に限りはありますが、それぞれの端末に、もう少し「これ」と言える特徴がほしいと感じたのも事実です。