連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第10週「谷田部みね子ワン、入ります」第56回 6月6日(火)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:黒崎博 


56話はこんな話


職にあぶれたみね子(有村架純)は、気晴らしにすずふり亭を訊ねる。話を聞いた鈴子(宮本信子)が、ホール係を探していると言って・・・。

出会いの印象はいまひとつ


“ヒロインと発展しそうな顔”(あさイチ有働由美子)をした島谷純一郎さん、慶大生(竹内涼真)が、みね子が道に落とした10円を拾ってくれた。

「お父さん 知らない人に怒られました」(みね子)。
見知らぬ青年は、みね子が往来の真ん中で財布を開けて見ていることや、落としたお金の探し方の「全部が中途半端」なところを、「分かるかな」と上から目線で指摘。
それももっとも思いながらも「最初から見てたのかよ」と不満そうなみね子。
 
出会いの印象はいまひとつ、理屈ぽくてヘンな人というのは、「ごちそうさん」の悠太郎(東出昌大)パターン。「梅ちゃん先生」の松岡(高橋光臣)も頭良くてへんな人仲間。

ドラマの雰囲気が変わってきた


「新喜劇並み」と、「あさイチ」でイノッチが言っていたが、まさにそれ。
すずふり亭の裏庭で繰り広げられる喜劇というノリで、すずふり亭のコックふたり、中華料理店の夫婦、和菓子屋の父子が次々と現れ、笑わせてくれた。
彼らは、みね子を「月末コロッケ娘」「月末娘」「茨城娘」・・・とざっくりした認識で呼ぶ。
誰もがユニークだが、とりわけ和菓子屋父子が強烈だった。へんな音楽とコントという感じで、これまでの「ひよっこ」のリズムをガラリと変えた。コックのやついいちろうも、エレキコミックとして笑いをやっているので、場の空気を明るく跳ねさせるが、三宅裕司の破壊力にはかなわない。

エンターテナーぞろいの裏庭で、有村架純も負けずにがんばる。
「働ける場所があるということはとってもありがたいことだと思うんです。大切にしたほうがいいですよ ほんとに!」というような台詞を3回、若干語尾を変えながら、繰り返す。切実だからこそ面白くみえる。

「おとうさん 東京にはいろんな人がいますね」と感慨に浸るみね子。奥茨城村にもいろんな個性ある人がいたけれど、みんな、他人のことにもやたらと親身になるという共通点があった。たぶん、お金を探していたら、一緒に探してくれるような人ばかりだったろう。東京では、離れて見ているようなタイプの人もいるのだ。
そして、夫婦喧嘩や父子喧嘩をしている人たちも。時子や三男の家もこんな感じという気もしないではないが、みね子の家では考えられないことなのだろう。

とはいえ、東京にもやたら親身な人がいる


職がないことを聞いた鈴子は、間髪入れず「うちで働く?」と切り出す。裏のアパートも借りられるとまで。
これまで、感情を溜める芝居も多かった宮本信子が、ここは早かった。みね子のあまりの惨状に、考える間もないって感じ。わからないが、捨て猫や捨て犬と目が合ったら思わず抱き上げてしまった、みたいな感じ?

「すんごい幸せもんだ私 どうしよう・・・」と降って湧いた幸運を、おそらく、コロッケ以上に噛みしめたであろう、みね子。
「谷田部みね子ワン、入ります」とすっかり気分が上向きに。
向島電機に補欠入社できたことといい、みね子の幸運体質は、朝ドラヒロインらしい。
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