知らないうちに虫歯がポッキリ折れる

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【健康カプセルゲンキの時間】(TBS系)2017年6月4日放送
沈黙の虫歯にならないために唾液の量を増やそう!】

虫歯といえば、痛くて眠れなかった子ども時代を思い出す人も多いだろう。

ところが、大人の虫歯には痛みを感じないまま進行する「沈黙の虫歯」があることをご存じだろうか。ある日、パキッと根元から折れて手遅れになるというのだ。

歯磨き後のゆすぎは1回でいい

番組では冒頭、歯磨きに関するクイズを出した。

「歯磨き後のゆすぎは何回がいいか」

1回、3回、5回のうち正解はどれか。答えは「1回」だ。歯磨き粉の有効成分は歯を磨いた後も口の中に残っており、少しずつ唾液と混ざり合って効果を発揮する。だから何回もゆすいでしまうと有効成分と唾液の両方が失われ、効果が落ちてしまう。それだけ虫歯予防に唾液が重要なのだ。

ところで、そもそも虫歯とは何か。日本大学歯学部付属歯科病院の病院長・宮崎真至医師がこう解説した。

宮崎医師「虫歯とは虫歯菌が歯の表面にくっついて仲間を増やしていくことから始まります。住みご心地が良くなるようプラーク(歯垢)という固まりを作ります。人間が食べ物を食べると虫歯菌が糖を食べて酸を出し、だんだんと歯が溶かされて虫歯になるのです」

近年、大人の「隠れ虫歯」が増えているという。痛みを感じないため、自分に虫歯があることに気づかないのだ。子どもの虫歯は、エナメル質が溶けて神経がむき出しになるので痛みを感じる。大人になるにつれ、エナメル質が緻密になるため虫歯になりにくくなる。しかし、年齢とともに歯茎が下がってくると、今まで歯茎に守られてきた弱い部分の象牙質が虫歯になるのだ。

宮崎医師「成熟した歯は、外から受けた刺激から神経を守るために象牙質が内側に膨らんでいきます。そのため、虫歯がかなり進行してもなかなか痛みを感じないので、『沈黙の虫歯』と呼ばれています。そして、痛みを感じた時にはバキッと歯が折れてしまい、手遅れになってしまうことが多いのです」

唾液の量が少なく、「歯ぎしり」をする人がアブナイ

番組では、「虫歯がない」と自負する4人の男女に、虫歯があるかどうか、宮崎医師に診てもらった。4人とも中学校以来、歯科医にかかったことはないという「歯自慢」の面々。ところが、虫歯が1本もなかった人は1人だけ。残りの3人は「4本」「3本」「2本」という結果だった。

どういう人が「沈黙の虫歯」になりやすいのだろうか。宮崎医師は、4人の唾液の量を調べた。味のないガムを5分間噛んで測定。唾液量の基準値は7ミリリットルだが、虫歯のなかった人以外の3人は基準値以下だった。これは、口の中を洗い流す力が少ないことを示しているという。

ほかにどんな人が虫歯になりやすいか、宮崎医師は「沈黙の虫歯のセルフチェック方法」を紹介した。1つでも当てはまったら要注意だという。

(1)炭酸飲料や柑橘系の酸っぱい飲み物が好き(口の中が酸性になり、虫 歯菌が繁殖しやすくなる)

(2)歯茎が下がってきた気がする。

(3)冷たい食べ物や飲み物がしみることがある。

(4)10年前に治療した歯が多い。

また、虫歯になりやすい歯を作ってしまうか噛みしめパターンがあるという。次の3つだ。

(1)歯ぎしり:歯を左右にこするように噛み締めてしまう。主に睡眠時に 行われることが多い。

(2)食いしばり:歯を上下に「ギュー」と噛み締めることで、日中無意識 のうちに行なっている人が多い。

(3)タッピング:上下の歯をカチカチと?みあわせること。これも寝ている時に無意識に行なっていることが多い。

こうした噛み締めによって、歯がかけたり、象牙質があらわになったり、くさび状欠損になってしまうこともあるのだ。

最後に宮崎医師は、唾液の量を増やして虫歯になりにくい歯をつくるマッサージ方法を実演した。三大唾液腺と呼ばれる「耳下腺」「顎下腺」「舌下腺」を指や手のひらを使って刺激する。「耳下腺」は両耳の下のくぼんだ所。「顎下腺」は両あごの下の首のつけ根部分。「舌下腺」は舌の真下部分だ。それらの場所をゆっくりと押してマッサージすると、唾液がどんどん出るようになる。