2017年に大丸が創業300周年を迎えた大丸松坂屋百貨店の記念モデルとして、シチズン初となるトゥールビヨンウオッチが発表されました。「シチズン トゥールビヨン Y01」は、6月発売予定で、価格は1000万円(税抜予価)。世界でも稀有なマニュファクチュールであるシチズンの技術力が結集した機械式時計の最高峰、その誕生の背景に迫ります。

 

2014年の試作ムーブメントをベースに作り上げた限定品

シチズンは、2014年の国内展示会でトゥールビヨンムーブメントを発表していました。ただ、その段階では開発技術者が設計、組み上げを行った試作品だったため、製品として記録に残ることはありませんでした。

 

それが、大丸が創業300周年を迎えるという節目に合わせて晴れ舞台に登場したのです。

 

この衝撃モデルが誕生したきっかけは、大きな節目に向けて大丸松坂屋百貨店が発信した以下のメッセージにあります。

 

『300 年という「時間の美しさ」を今一度振り返り、時間や歴史が育んできた価値を新しい価値としてリメイク(再創造)し、今までのお客様、これからのお客様にご提案・ご提供することを目指します。』

 

このメッセージを受けたシチズンは、2018年で創業100周年という長い歴史を踏まえて、マニュファクチュールを体現する機械式で、しかも複雑機構の最高峰であるトゥールビヨンを製作することになったわけです。

 

デザインテーマは「心地よさ」

今回、発表された「シチズン トゥールビヨン Y01」に限らず、シチズンは長く愛用できる時計に対して 「平凡な機械と技術で作りたい。そして何より‘永く寄り添うこと’を使命としたい」と言う考えを持っています。

 

「シチズン トゥールビヨン Y01」では、ケースの肌触りやリューズを巻く感触や音、時間(とき)の表示にいつもと少しだけ異なる技能と感性を追加するように努めたと言います。

 

デザインテーマは「心地よさ」。この言葉を「おもてなし」の先にあるものと捉え、フォルムや素材を選定する際の重要なキーワードにしていたそうです。

 

結果、製作された製品は、七宝焼きの文字盤や18Kホワイトゴールドで作られたケースのラインほか、リューズのエッジ、トゥールビヨンなどをモノトーンのコントラストでまとめた装いは、モダンな都市「TOKYO」らしい表情が特徴です。

 

また、シースルーバックから鑑賞できるムーブメントには、垂直にコート・ド・ジュネーブ装飾を施し、木々が浴びる「喜雨」を表現。ガラス越しに、浮世絵で描かれる水辺の風景のような「和の情景」を愉しむことができます。

 

優雅に駆動するトゥールビヨンと静謐なデザインが融合したムーブメントを製作するにあたり、各部品を丹念に磨きこむための専用治具から製作したとのこと。トゥールビヨンのキャリッジにはチタン合金を使い、軽量化が図られています。

 

こうした軽量化なども手伝って、駆動時間は約100時間を確保。ただし、これは単なる長時間駆動を追求したものではなく、1日の精度を維持するために導き出されたスペックとなっています。

 

トゥールビヨンの搭載についても、パワーリザーブについても、その開発の根底に「時の流れ」「時計との対話」を楽しんでほしいというシチズンの想いが込められた「シチズン トゥールビヨン Y01」。本機は、見た目やスペックだけでは語れない、非常にエモーショナルなコンプリケーションと言えるでしょう。

 

GINZA SIXでのフラッグシップストアのオープンや、今回の限定トゥールビヨンの発表と、攻勢が続くシチズン。来年で100周年を迎える同社の今後に、いよいよ目が離せません。