畠中 祐「自分に厳しくありたい」――香賀美タイガと通じる“まっすぐ”な思い

なんてまっすぐな人なのだろう……この日、香賀美タイガを演じる畠中 祐と対面して感じた印象だ。22歳という若いエネルギーに満ちた彼は、頭を抱えて悩んだり、笑顔を爆発させたり、表情をクルクル変えながら、気持ちをストレートにぶつけてくる人物だった。「タイガの臨機応変にできない不器用さや、頑固なところは僕にもあると思う」と語る畠中だが、もうひとつ彼らに共通している大事な要素がある──そう、強い熱量を持った “まっすぐさ”こそが、彼らに共通する魅力なのではないだろうか。

撮影/川野結李歌 取材・文/とみたまい 制作/iD inc.
企画/ライブドアニュース編集部

5歩先を行く菱田正和監督を、必死で追いかけた

独創的な世界観や“応援上映”(観客が映像に合わせて声を出したり、サイリウムを振って応援することができる上映スタイル)などで話題を呼んだ、前作『KING OF PRISM by PrettyRhythm』の新作となる『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』。4年に1度のプリズムキングカップがいよいよ開幕ということで、演じられてみて、どんな印象を持ちましたか?
前作以上に大胆なジャンプシーンが見られたり、より繊細な会話劇があったり、会話がないシーンでの表情の深みがあったり……。物語のなかに喜怒哀楽が詰まっているというか、揺さぶられるシーンが多かったなと思いました。
キンプリ(『KING OF PRISM』の略称)は、TVアニメ『プリティーリズム』シリーズの第3期『プリティーリズム・レインボーライブ』に登場する、男子プリズムスタァ3人(神浜コウジ、速水ヒロ、仁科カヅキ)のユニット「Over The Rainbow(オバレ)」のスピンオフ作品として制作。この斬新な世界観は、キンプリから見始めた人にとってはとくに衝撃的だったと思うのですが、演じられた畠中さんご自身はいかがでしたか?
僕もキンプリから入ったので…正直なところ、全貌がいまいちわかってないんですよね。だからこそ、菱田(正和)監督とコミュニケーションを密にとりながら演じるようにしていきました。
具体的には?
「いま、なにをやっているんですか?」、「これはどういう意味ですか?」とか、疑問を抱いたところは聞くようにして。ただ、意味を聞いても…監督は5歩先を行く方なので、わからなかったりするんですけど、5歩先に行っている監督を追いかけるように、必死に、とにかく監督の思考を読み取ろうとしましたね。
今作では、オバレの3人はもちろん、エーデルローズ(プリズムスタァ養成校)に通う7人(一条シン、太刀花ユキノジョウ、香賀美タイガ、十王院カケル、鷹梁ミナト、西園寺レオ、涼野ユウ)の絆もより深まった印象を受けたのですが、7人のなかでのタイガの存在とはどういったものだと思いますか?
タイガとしては、仲良しこよしをするつもりはないんじゃないかなあと思います。エーデルローズで、ダンサーとしての技術をしっかり磨いていくという目的があるから、友達を作ることなどにはまったく興味がないというか…。本来であれば浮くはずの(笑)、一匹狼タイプの人間なのかと思いきや、みんな優しいんですよね。
ドライなタイガに、平気で絡みますもんね(笑)。
ですよね(笑)。個性豊かなメンバーのなかで、タイガもひとつのピースとしてハマっている部分もあるんじゃないかと思います。チャラいイメージがある、カケルとのバランスもいいでしょうし。タイガ自身は孤独でいいと思っているタイプの人間だろうけど、周りがイジってくれてるなっていう感じがしますね(笑)。
なんだかんだ言って、みんなの輪のなかにいたりしますもんね。
そうですね。なんだかんだ言って、そばにいてくれる人はきっといるんじゃないですかね。あと、タイガは大体の人に噛み付いている印象がありますね(笑)。
たしかに。
なにを聞かれたとしても、「はあ?」とか「なんでだよ?」っていうところからスタートするというか。まず、丸く収まらせない。関わらないでほしいんでしょうね。グッと来られたら突き放すし、仲良く会話しようとはしない。ちょっと斜に構えている…って言うと、すごく嫌なヤツに聞こえますけど(笑)、別にそういうわけじゃなくて。いま、彼には集中したいことや、突き詰めないといけないことがあるんですよね。
そういったタイガの印象を伝えるために、お芝居で意識された点などはありますか?
目的に対して、常に意識が向いているようにしました。たとえば…次のプリズムショーまでにやらなきゃいけないことがあって、そこにマジになっているタイガを意識する感じですかね。
具体的には?
食事のシーンなどは、「いっぱい食って体を作るために、いまは飯と向き合ってんだから、オマエら邪魔すんな!」って(笑)、タイガは思ってるんじゃないかなあと想像しながら演じる感じですね。
アフレコ現場で、他のキャストの方たちとあえて距離を置くようなことはしましたか?
しようと…しましたけど、無理でした(笑)。同世代の役者さんが多いので、一緒に遊んだり、飲んだりする人もいるんですよね。だからわりと、和気あいあいとしてしまいました。不覚です(笑)。それでも、緊張感を出そうと意識はしていました。

今作を通して改めて気づいた、タイガの真面目さ

今作で気づいた、タイガの新たな一面などはありますか?
彼の素直さが、さらに見えてきたなあと思いました。より純粋無垢な面と言いますか…好きなものや自分の目指すものへ、まっすぐ突き進んできた結果の素直さがすごく表れている気がします。自分の器がどうであれ、先輩に対する思いや、プリズムショーへの責任感といったものを、真正面からちゃんと受け止めるヤツなんだなと思いました。
なるほど。
まだまだ未熟だし、器としてもちっちゃいかもしれないんですけど、それを一身に背負って、努力でなんとか広げていこうとする姿ですね。周りに対しては斜に構えてるのに、そういうところはまっすぐというか…他人にも厳しいけれど、自分にもすごく厳しいヤツなんだと思います。その真面目さが、前作にも増して描かれているのかなとも思うし、演じるにあたって、改めて身が引き締まりました。
一匹狼タイプのタイガって、なんとなく捉えどころがないイメージでしたが、いまのお話で腑に落ちました。
真面目なんですよ、彼。本当に「硬派」っていう言葉がピッタリというか、自分の信念を貫くヤツなので、すごく…男なんですよね。男臭いんです。
そんなところも人気の理由のひとつなのかもしれませんね。昨年開催された、ファンのみなさんが次世代のプリズムスタァを投票する「PRISM KING CUP 次世代プリズムスタァ選抜総選挙」で1位だったタイガですが、制作スタッフさんたちも意外だったそうで。1位を獲った理由はなんだと思いますか?
んー……見た目(笑)。見た目がカッコいいですよね。
とくにどのあたりですか?
んー……髪型(笑)。あと、服の着こなし、顔の小ささとか(笑)、いろいろあるんですけど。でも、そのクールな見た目に反して、熱くなっちゃうところとかがギャップというか…少年の可愛らしさじゃないですけど、そういうところが垣間見えるのがいいのかなあ。わかんないです(笑)。これ…恥ずかしいですね。タイガのことなのに(笑)。
(笑)。
たぶん、タイガとしては不本意だと思いますよ(笑)。「なんで畠中にそんなこと言われなきゃいけねえんだ」と思うだろうし、「俺はダンスに向き合っていきたいだけなんだ!」って(笑)。
それは容易に想像できますね(笑)。タイガの魅力がいろいろと出てきましたが、畠中さんご自身とタイガが似ている部分はありますか?
そうですねえ…どうなんだろうなあ? 空気を読めない熱量とか(笑)。
空気を読めない熱量?
臨機応変にできない不器用さだったり、頑固さだったり、まっすぐすぎてイタいみたいな部分が、タイガにはありますよね。もちろん、それが彼の良さだと思うんですけど。そういった頑固さみたいなところは、きっと僕にもあるんじゃないかな。ただ、僕はもうちょっとタイガより器用でありたいですね(笑)。
畠中さんが頑固というイメージがないのですが…。
いや、たぶん僕は頑固です。掘れば掘るほど頑固なところが出てくると思います。自分で自分のことを生ぬるいと思ったら、「もっとやれることがあるんじゃないか? もっと熱くなれよ!」って、思ったりするので。
タイガと同じく、自分に厳しいのでしょうか?
甘い部分もあると思いますが、厳しくしたいところは厳しくしたいし、そこに負けたら本当に負けのような気がして。だから、すっごい疲れるときもあるんですが、自分に厳しくありたいです。

「体力勝負です!」プリズムショーのアフレコの裏側

今作で印象に残ったセリフやシーンなどがありましたら教えてください。
とある状況になって、タイガがカヅキ先輩に謝るシーンがあるんですけど、そこは気持ちがあふれすぎて涙がワーッと出てきちゃうんですよね。タイガが自分の失敗をちゃんと抱えて、カヅキ先輩に謝る…その真摯な向き合い方に彼の等身大のもろさを感じて、とても印象的なシーンでした。
タイガのまっすぐさが際立つシーンですね。
そうですね。プリズムショーや先輩という存在に、真摯に向き合ってきたからこそ、出てきてしまう感情なんだろうなあと思いましたね。「ああ、タイガはこんなにもまっすぐ思っていたんだな」って、すごく印象に残るシーンでしたね。
キンプリといえば、キャラクターそれぞれの個性が存分に詰まったプリズムショーが見どころのひとつとなりますが、どんな感じでアフレコをされているのでしょうか?
もう、体力勝負ですね(笑)。みんな、けっこう汗をかきながらアフレコをしてますね。思った以上に声を張るので、のどの消耗もスゴいんです。声が裏返るか裏返らないか、ギリギリのラインを攻めながら(笑)、みんな叫びまくってます。
とてもハードな現場なんですね。
まるでバトルシーンを演じるかのような感じでもありますが、すごく繊細なところもあって…。まあ、タイガのシーンは、思いっきり叫んでガチバトルみたいな感じなんですけど。
ストリート系(カヅキ、タイガ、アレクなど)のプリズムショーは、少年漫画のバトルシーンのような激しさもありますよね。
そうなんです。とにかくぶつかる。だから、そのシーンだけ別アニメだと思ってください、みたいな感じですよね。だって、そこだけ絵コンテのテイストが違いましたもん(笑)。倒す、行動不能にさせる、相手の上を行くみたいなシーンで、とにかく思いっきりぶつかりました。
そのなかにも、繊細な描写があって。
そうですね。だから、プリズムショーのアフレコが終わったあとは、長距離を走りきったような疲れがドッと出ますね(笑)。気持ちの面と、体力の面からくるんでしょうね。繊細に叫ぶって、すごい難しいので…。
どう表現するのでしょう?
ただ、ぶつければいいっていうわけじゃないので…包み込むような優しさがあったり、弾かれるようなエネルギッシュさがあったり、その都度、要求される叫びも違うし。だから、繊細に大胆に攻めてる感じがしますね。
キンプリの重要な要素として、プリズムショーで披露する“楽曲”がありますが、タイガとして歌う際に意識していることはありますか?
そんなに意識はしてないかなあ? タイガのために作られてる楽曲だから、歌詞自体も彼の言葉で。歌っていると、自然にタイガになる感じがあるんですよね。
その歌詞からタイガを読み解く感じでしょうか?
そうですね。タイガが思っていること、言いたいこと、やりたいこと…みたいな“タイガ主観”で楽曲を見ます。そうすれば、タイガになっていく気がするんです。だから、自分のために作られた曲(※7月12日にソロアーティストとしてデビュー予定)を歌うときとは、意識を変えるだけで、歌い方を変えようとは思ってないですね。
なるほど。
でも、意識を変えたら歌い方も自然と変わっていくんですよね。マイクに向かう姿勢も……背筋を伸ばして、余裕を持って、重心を後ろにっていうよりは、タイガは前のめりな感じなので。そうすると姿勢も変わるし、姿勢が変わったら声も変わるんですよね。タイガのソロ曲『レジェンド・ワールド』を最初に歌ったときに、「もっとタイガは熱く」っていうディレクションをもらったので、その姿勢をベースにして歌っていますね。