マクロン大統領Twitter

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 マクロンというフランス最年少大統領は、思った以上にトランプ大統領を「意識」しているのではないか。

 筆者は、最近のマクロン大統領とトランプ大統領の交わりを見る中で、そう考えるようになりました。

 ここでいう「意識」とは、存在を意識し、圧倒されないよう、細心の注意を払っているという意味でもあります。

 マクロン大統領は、上手に「立場が悪い」トランプ大統領を敵視することで、就任早々、リーダーシップを発揮しています。さらには、長期政権を敷いているベテラン、メルケル首相を仲間に加え、欧州 VS 米英という構図も生み出しています。

 まさに15年ぶりともいえる西欧のまとまり。イラク戦争に突っ走るアメリカに対し、西欧諸国が団結して対抗していた時以来です。

 今回は、マクロン大統領がどのようにトランプ大統領を「意識」して再威信の注意を払っているのか、最近の3事例を用いて考えてみたいと思います。

1.パリ協定離脱表明後のトランプ大統領への直接的非難、及び、皮肉

 1日、トランプ大統領は、パリ協定から離脱することを表明。

 画期的な枠組みからの突然の離脱に、世界中から、さらには米国内からも、トランプ大統領に対して厳しい視線が向けられました。

 その後、「パリ」協定とあるように、フランスが率先してコメントできる立場にいる状況下で、存在感を示したのがマクロン大統領となります。

 マクロン大統領はトランプ大統領の離脱表明後、素早く英語で演説を行いました。演説の中で、トランプ大統領の決断は「間違いだ」と明確に言い切りました。

 さらに傑作だったのは演説の最後のセリフ。

 マクロン大統領は、「Make our planet great again」(我々の惑星を再び偉大にしよう)と、演説を締めくくっているのです。

 そうです、これはトランプ大統領に対する当てつけのセリフなわけです。

 トランプ大統領は選挙戦中だけでなく、就任演説でも、「Make America great again」(アメリカを再び偉大にしよう)

 という言葉を使っていましたが、マクロン大統領はこれを少し言い換え、アメリカを偉大にする以上に、惑星を偉大にする方が大切だろう、ということを暗に示したわけです。

 ストレートに「間違いだ」と批判するにとどまらず、皮肉も込めてのトランプ批判。米国という大国に対し、「全世界」に向けて、なかなか機転の利いた対応をとったといえます。

◆トランプの握手を強気で握り返す

2.握手で見せた準備万全の姿

 マクロン大統領がトランプ大統領を意識しているというのは、二人が顔合わせした時にも見て取れます。

 NATO首脳会議があった際、マクロン大統領とトランプ大統領が握手した時です。トランプ大統領は強く握手することで「有名」ですが、既にこの知識があったマクロン大統領。

 トランプ大統領に強く握られても、逆に強く握り返しました。さらに、トランプ大統領の手をすぐには放そうとしませんでした。相手に威圧されないよう、事前に心の準備をし、細心の注意を払っていたわけです。

 逆に、トランプ大統領は、まさか相手がそこまで強く出てくるだろうとは思っていなかったでしょう。不意を突かれた形となります。

 たかが握手、されど握手。

 フランスはそう簡単には屈しないという意志表示であるともいえます。

 現に、マクロン大統領はインタビューの中で、トランプ大統領との握手では、「譲歩をしないことを示す」意味合いがあったと述べています。握手ひとつでもトランプ大統領に負けたくないという、マクロン大統領の気持ちの表れでもあります。

3.トランプ大統領のハグを無視してメルケル首相とハグするセンス

 NATO首脳会議では、マクロン大統領が各国首脳へ向かって歩いていくという場面が存在しました。

 この際、トランプ大統領は手を広げ、マクロン大統領に対してハグをしようと示しました。

 対してマクロン大統領はそのハグを無視、メルケル首相のもとにハグをしに行きました。

 その後引き続きトランプ大統領そっちのけで、メルケル首相の両隣のリーダーと握手も始めています。

 結局、トランプ大統領が握手をされたのは4番目。

 マクロン大統領は、「別にトランプ大統領中心に世界が動いているわけではない」といわんばかりの対応をしました。

 自身のツイッター上にこの動画をアップしているあたり、世界の人に、これを見てもらいたかったというのはあったことでしょう。

 今後、トランプ大統領包囲網が敷かれる中、その中心には常にマクロン大統領がいる可能性は高いといえるでしょう。

<文/岡本泰輔>

【岡本泰輔】
マルチリンガル国際評論家、Lingo Style S.R.L.代表取締役、個人投資家。米国南カリフォルニア大学(USC)経済/数学学部卒業。ドイツ語を短期間で習得後、ドイツ大手ソフトウェア会社であるDATEVに入社。副CEOのアシスタント業務などを通じ、毎日、トップ営業としての努力など、経営者としての働き方を学ぶ。その後、アーンスト&ヤングにてファイナンシャルデューデリジェンス、M&A、企業価値評価等の業務に従事。日系企業のドイツ企業買収に主に関わる。短期間でルーマニア語を習得し、独立。語学コーチング、ルーマニアビジネスコンサルティング、海外向けブランディング、財務、デジタルマーケティング、ITアドバイスなど多方面で活動中。