アクセンチュア株式会社は5月25日(木)、都内 大手町ファーストスクエアカンファレンスにおいて、「デジタル時代の雇用・働き方の未来:スキル革命」と題した記者説明会を開催した。

私たちの働き方は、常にその時代に即した形で柔軟に変化してきた。たとえば、そろばんが電卓に代わり、タイプライターからワープロ専用機、そしてPCへと形を変えていくことで、より便利に、より効率的に進化してきたのである。

発表会の内容は現在の最新のデジタル環境を背景に、人々の意識や雇用する側が捉えている働き方、求めるスキルということを、総合的にまとめており、非常に幅広い内容であった。

今回は、現在の働き方がIoTを取り込むことによって、どのように変わっていくのか? 働く側、雇用する側のメリットは何かと言った点などを考えてみたい。

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最新の雇用・働き方に対する人々の意識

同社では、日本を含むG20加盟国10ヶ国の労働者に対し、11月から12月にかけて「雇用・働き方の未来」に関する意識調査を実施。その結果を元に様々なかたちでの働き方改革を提案していた。そんな中、何をするにしても労働者側には必ずスキルが求められることになるのだ。海外赴任なんてことになったら語学スキルが必須になるし、車を使った営業が必要になれば、運転のスキルが必要だ。

働き方を変えたり、向上させたりするには、それに見合うスキルが必要となるわけだ。ところが、働きバチのような日本人は、スキルアップを図るための時間が乏しい現状がある。

意識調査結果および環境変化からの示唆としては、労働者のキャリアチェンジの必要性は強く意識しているものの、該当するスキルの習得に十分備えられていない状況にある。職業人生は長期化し価値観も多様化する中、様々な変化に対応しつつ生産性を高める働き方改革が必要とされているのである。

新たなスキルを身に付けることは、労働者の付加価値を高めることにほかならない。こうしたスキルアップは企業・従業員双方にメリットをもたらす変革が鍵となる。つまり、「労働市場の変革=スキル革命」が必要となるのだ。

リモートワーク導入でスキル向上の時間を得る

現在IoT時代になったため、どこからでもインターネットを経由してつながれるようになった。高速回線、高性能デバイスのおかげで在宅でも、会社にいるのと変わらない。出張先のホテルが例え海外であっても、仕事が行える環境が整ってきたのだ。

たとえば、オフィスに1時間半かけて通勤していた人がいたとしよう。オフィスの最寄り駅で会社帰りに駅前留学したとすると、その分自宅に戻る時間が遅くなってしまう。ところが在宅ワークであれば、インターネット回線で英語講師とダイレクトに会話ができる通信教育を受講することが可能になる。

オフィスへの往復時間3時間が不要になるので、1時間ほど英会話を勉強したとしても、2時間を別のスキルアップに費やすことが可能になる。往復の交通費を払わずに済む上、会社内に該当社員のスペースを確保する必要もなくなる。

リモートワークは、人がネットに接続して会社とつながることから「Internet of Men」(IoM)とでも呼ぶのにふさわしい環境へと変わったと言えるかもしれない。

PCがいじれる環境が自宅にあれば、足が不自由なため従来では就業が難しかった優秀な人材活用もリモートワークで可能となる。在宅勤務制度・プロジェクトベースの働き方を活用することで、遠くに住んでいたとしても業務を継承することができるのだ。IoTによって人の仕事の仕方、または体の問題で就職できなかった人たちに光明が差すことになるだろう。

IoTの活用で仕事を効率化、新たな領域へ

IoTの活用は、人的資産を強化するだけでなく、企業のコスト削減にも繋がる。その良い例が火力発電所によるIoTの活用だ。

昨年、中部電力とNECはIoTを活用して、火力発電の運転を支援するサービス事業を共同で実施することを発表した。

火力発電設備のセンサーから得られる大量の運転データを基に、設備故障の予兆の監視や、発電効率の低下および設備故障の要因分析を、最新技術を用いて行い、火力発電所の運転を高度化させるものだ。

同様の取り組みは、東京電力でもみられる。東京電力は昨年、米ゼネラルエレクトリック(GE)のIoTシステム「Predix(プレディックス)」を導入して、火力発電分野におけるIoT の共同での開発・導入について基本合意している。

プロジェクトは、電力会社の既設発電設備にGEの提唱するデジタル・ソリューションを導入する日本初の取り組みであり、長期的な信頼性および運用面の柔軟性向上やライフサイクルコストの削減に寄与するものだ。

両社はアセット・パフォーマンス・マネジメントのみならず、今後、Predixによるビッグデータ分析を活用し、東電FPのビジネスの最適化を図るデジタル・ソリューションに取り組んでいくとしている。

このようなIoTを活用した取り組みを実施すれば、今までメンテナンスに要していた時間を別の作業に当てられる。仕事の効率化はコスト削減に繋がり、社員がスキルアップする時間にも充てられるというわけだ。

将来、IoTによる自動化が進み、AI/Roboticsといった機械に代替させられても、社員は別の作業に携わることができる。新しい領域に人材をシフトさせ、仕事の質を高めていくことこそが、重要な時代になったと言えるだろう。

筆者:Tetsuji Sekiguchi Ph.D.