拮抗した試合をしていたが一瞬の隙を突かれて失点。清水の負けパターンだった。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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[J1リーグ14節]清水0-2FC東京/6月4日/アイスタ

 カウンター対応の甘さから先制点を奪われ、攻めに出て後ろが薄くなったところで追加点を決められてしまう。清水にとっては、最近の負けパターンそのものだった。勝てているときなら冷静にプレーできる選手でも、勝てていない時は危険な状況で慌ててしまうことが多くなる。その泥沼を抜け出すのは容易ではないということを、痛いほど突きつけられたホーム2連敗だった。
 
 キャプテンの鄭大世が脳震盪の影響で欠場したなか、小林伸二監督がチアゴ・アウベスの相棒としてトップに先発させたのは、好調なミッチェル・デュークだった。また、フレイレまで離脱したセンターバックでは、水曜日の試合で良いプレーを見せた村松大輔が起用され、角田誠と初コンビを組んだ。
 
 それでも立ち上がりは決して悪くなかった。ある程度守備から入る戦い方で、風上ということもあって長いボールが多くなったが、デュークが空中戦で強さを発揮し、他の選手がセカンドボールを拾ったところから連係して押し込む場面を作った。フルメンバーのFC東京に対しても、互角以上に戦えていた。
 
 だが、20分に白崎が負傷交代したところから徐々に歯車が狂い始める(翌日の発表では、右脛腓靭帯結合部損傷で全治3か月という予想以上の重症)。代わりにデュークが左MFに下がり、北川航也がトップに入ったが、高い位置でタメや変化を作り出せる白崎がいなくなったことで、攻撃がかなり単調になってしまったのだ。
 
 北川とチアゴの2トップはタイプが似ていて、まだ連係も不十分なため、お互いの良さを引き出し合うことができない。そのため個の力に頼った速攻が主体になり、単発で厚みのない攻撃になっていった。
 
 そうしてボールを失うのが早くなった分、FC東京に押される時間は増えたが、後ろは粘り強く対応し、前半で2度あった決定機はどちらもGK六反勇治のファインセーブでしのいだ。
 
 後半も押され気味の展開は変わらなかったが、攻めに出た時は積極的な仕掛けができ、清水のほうが先にチャンスを作っていた。鄭と白崎という大駒を欠くなかで、狙い通りのサッカーはできなかったが、辛抱強く戦いながら先に点を取れていれば、十分に勝つ可能性はあった。チアゴのキックによるセットプレーで点が取れそうな雰囲気も漂っていた。
 しかし、そのセットプレーから逆に相手に隙を与えてしまう。68分の中盤左からのFKで、チアゴのキックが手前で引っかかり、FC東京のカウンターが発動。最初にパスが出たのは右の中島翔哉のところだったが、後方に残ってた清水の選手が一斉に中島のほうに寄って行ってしまい、逆サイドでは大久保とチアゴしかいない状況に。そして中島のパスが大久保に通ると、守備に不慣れなチアゴが大久保のドリブルを止めることができず、そのまま独走されて先制ゴールを決められてしまった。
 
「ボールに食いついて取る判断をするのか、(攻撃を)遅らせる判断をするのかというところで、(多くの選手が)ついつい前にかかってしまって、キッカー(チアゴ)が最後のディフェンダーになってしまったのは本当にもったいなかった」。試合を決めた失点シーンを、小林監督はこう振り返った。
 
 人数は十分にいて数的優位は作れていた。だが、「カウンターだ。危ない!」となったなかでも冷静に周囲の状況を見ながら危険なところをカバーできる選手がいなかったことが、今の清水を象徴しているように感じる。それが意識の問題なのか、経験なのか、それとも個の資質なのか……あるいは、ひとつ勝つことで変わるのか。
 
 簡単に答えを出すことはできないが、成熟した大人のチームに変わっていくためには、そこも克服していかなければならないだろう。
 
 J1の厳しい戦いの中で、痛い思いをしながら少しずつ成長しているというのが、今季の清水の現状だ。ただ、その痛い思いが続きすぎると、自信を失い、より立て直しが難しくなってしまう。ここからの2週間のインターバルで、清水のスタッフや選手たちがどうリカバーしていくのかに注目したい。
 
取材・文:前島芳雄‘(スポーツライター)