データでは投手陣にもはっきりとした原因? 先発投手陣は10連敗中の防御率5.94

 球団史上ワースト2位タイの10連敗を喫している巨人。いったい、どこが問題なのか。打撃陣だけでなく、投手陣にもはっきりとした原因がある。

 もう一度、巨人の得失点のイニングを追った数字を見てみよう。別表のとおりだ。

 巨人は1回に11失点、4回までに31失点。早々と大量リードを許している。打順が3、4巡目にまわる6回に最大の13失点をしているが、何といっても立ち上がりの失点が大きい。

 先発、救援別の投手成績を見れば、はっきりする。

先発 10試合0勝7敗
53回73被安打9被本塁打41失点35自責点 防御率5.94

救援 10試合0勝3敗1ホールド
36回41被安打5被本塁打20失点18自責点 防御率4.50

 救援投手もよい数字とは言えないが、先発の防御率は6点に近い。ローテーションが崩壊しているのだ。失点と自責点の間に6点の差がある。これは失策からみの失点が多いことを意味している。先発投手とバックスのコンビネーションもよくないのだ。

 先発は9被本塁打、救援も5被本塁打。試合の流れを変えることが多い被弾は先発、救援ともに多い。

 個別の投手成績を見ていこう。まずは先発陣。池田は先発と救援に分けた。名前の次の数字は防御率。

マイコラス  4.26(2試合1敗 12回2/3 1被本塁打 6自責点)
田口     5.25(2試合1敗 12回 2被本塁打 7自責点)
吉川光    3.86(1試合1敗 4回2/3 1被本塁打 2自責点)
宮國     8.44(2試合 2敗 10回2/3 2被本塁打 10自責点)
菅野    10.80(1試合1敗 5回 2被本塁打 6自責点)
大竹寛   12.00(1試合1敗 3回 1被本塁打 4自責点)
池田     0.00(1試合 5回 0被本塁打 0自責点)

 池田以外のすべての先発投手が被弾している。エースの菅野はローテーションの関係で、この間、1回しか投げなかった。その楽天戦が、菅野にしてはシーズンに1度あるかないかという乱調だったために、連敗を阻止できなかった。そういう意味では、今日、西武戦で先発が予想される菅野の出来が大きな焦点になろう。

カミネロの登録抹消は“失敗”、再昇格が大きなポイントに?

 続いて救援陣。

桜井   4.32(5試合 8回1/3 1被本塁打 4自責点)
田原   4.50(5試合 4回 1被本塁打 2自責点)
森福   2.25(5試合1敗 4回 0被本塁打 1自責点)
戸根   9.00(3試合 5回 1被本塁打 5自責点)
マシソン 7.36(3試合1H 3回2/3 1被本塁打 3自責点)
池田   0.00(2試合3回1/3 0被本塁打 0自責点)
今村   7.71(2試合1敗 2回1/3 1被本塁打 2自責点)
カミネロ 4.50(2試合1敗 2回 0被本塁打1 自責点)
西村   0.00(2試合1回2/3 0被本塁打 0自責点)
篠原   0.00(1試合1回 0被本塁打 0自責点)
江柄子  0.00(1試合 1/3回 0被本塁打 0自責点)

 西村、森福、篠原と最近ファームから上げた投手はそれなりに機能しているが、何といってもカミネロを落としてマシソンをクローザーに据えた失敗が大きい。巨人はこれでクローザーと絶対的な信頼を寄せるセットアッパーをともに失う可能性さえある。

 カミネロの再昇格が大きなポイントになるだろう。その間、クローザーを任せるのは経験のある西村の方が良いかもしれない。

 今日の試合で42年ぶりのワーストタイである11連敗がかかる巨人。エース菅野に託すものはあまりにも大きいが、この歴史的なピンチを乗り越えることはできるだろうか。

広尾晃●文 text by Koh Hiroo