新生E-girlsはどう進化する? 新体制の狙いを読む

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 E-girlsが、6月5日に「E.G.EVOLUTION」と称して新体制を発表した。これまでE-girlsというプロジェクトに参加して活動していたメンバーは、それぞれが所属するグループをすべて含めて「E.G.family」となり、その中にE-girls、Flower、Happiness、ShuuKaRen、DANCE EARTH PARTY、Dream Ami、スダンナユズユリーの7アーティストが所属するかたちになる。また、変革に伴い、E-girls自体は19名から11名に。これまでリーダーを務めてきたDream Ayaがパフォーマーを引退して、チーフクリエイティブマネージャーに就任するほか、Dream Amiがソロ活動に専念することなどが発表されている。この「E.G.EVOLUTION」にはどんな狙いがあり、今後、グループのクリエイティブとパフォーマンスはどのように“進化”していくのか。LDH JAPAN 情報戦略本部 本部長 石井一弘氏への取材コメントを交えつつ、考察していきたい。

(関連:E-girlsが<E.G.family>として“進化” Dream Amiらソロなどに専念、11人体制で活動へ

 E-girlsはもともと、Dream、Flower、Happinessの3グループを主体とした“ガールズ・エンタテインメント・プロジェクト”として、2011年に始動した。E-girlsの派生グループとして各グループがあると捉えられがちだが、実は土台になっているのは各グループの方である。それぞれの個性を持ち寄ることで、J-POPシーンにおいて新たに王道的なガールズ・エンタテインメントを築き上げるとともに、各グループの方向性をより明確にする狙いが当初からあった。アイドルブーム真っ盛りだった当時、本格的なダンストレーニングを積んだ彼女たちによるハイクオリティーなパフォーマンスは、同性からも厚く支持され、3作目のシングル『Follow me』でポップ&カラフルなイメージを確立。2013年から2016年にかけて4年連続で『NHK紅白歌合戦』への出場を果たすなど、名実ともにNo.1ガールズ・グループへと成長した。

 パフォーマンス面においても、各グループの個性は際立っていった。E-girlsが王道的なポップ路線だったからこそ、Flowerはバラードを主体としたエレガントで物語性の高いスタイルを、Happinessはストリート・カルチャーを色濃く感じさせるグルーヴィーなスタイルを、それぞれ築き上げた。年長組だったDreamは、E-girlsの精神的支柱としてメンバーたちを引っ張り、メディア活動においても先陣を切って、その知名度の拡大に大きく貢献した。さらにエッジの効いた表現を求め、派生ユニットとしてShuuKaRen、DANCE EARTH PARTY、スダンナユズユリーが誕生。E-girlsの顔役だったDream Amiは、ソロデビューを果たした。女優やモデルとして活躍するメンバーも増え、それぞれの夢が次々に叶えられていった。

 プロジェクトとしてのE-girlsは、すでに大きな成功を収めたといって良いだろう。彼女たちが次のステージに進むためには、新たなチャレンジが必要な段階に来ていたのは客観的に見ても明らかだ。実際、彼女たち自身も、さらに自分たちらしく輝くにはどうするべきか、1年ほど前から議論を重ねていたという。

「E-girlsとして活動してきた約6年間は、たくさんの夢を叶えるとともに、彼女たちを精神的にも大きく成長させました。その結果として、メンバーそれぞれが主体的に“もっと自分を輝かせるために今何をすべきか”と考えるようになったのだと思います。LDHは、アーティストであるHIROらEXILEメンバーが自ら立ち上げた会社が始まりであるため、もともとメンバーの自主性を大切にする文化があります。そのため、個々にやりたいこと、極めたいことがあれば、メンバーの夢を全力でバックアップしていくのがLDHのあり方なんです」(石井氏)

 今回の「E.G.EVOLUTION」の最大の狙いはまさにそこで、各メンバーが個性を伸ばしていくために、それぞれが力を入れている活動に専念していこうと、メンバー自らが出した結論でもある。たとえば、これまでHappinessの振り付けを手がけてきたMIYUUは、今後はコレオグラファーとしての才能に磨きをかけて、いずれはE.G.family全体の振り付けや演出を考えるポジションを目指す。また、グループを牽引してきたDream Ayaは、E.G.familyのチーフクリエイティブマネージャーとして、全体のクリエイティブやディレクションを総括していく立場になり、フォトグラファーやグラフィックデザイナーとしても活動していく。

 Flowerのリーダー・重留真波とHappinessのリーダー・MIYUUなどは、各グループの活動に専念することが発表されている。彼女たちが自身のグループに注力することによって、それぞれのカラーをより明確にすることが期待できそうだ。

 一方で、E-girlsはこれまでのようなプロジェクトではなく、1つのグループとして、FlowerやHappinessと並列になる。メンバー数も19人から11人へと変わり、パフォーマンスに最も大きな変化がありそうだ。また、E.G.familyの中にグループとしてのDreamがないことも気になるポイントである。

 各グループの路線を見る限り、新生E-girlsもポップ&カラフルな路線をさらに追求していくことは間違いないだろう。しかし、フォーメーションは刷新されるはずだ。発表されているメンバーを見ると、これまで前列でスピード感のあるパフォーマンスを披露していたSAYAKAとYURINO、長身を活かした優雅でダイナミックなダンスに定評がある楓、須田アンナ、佐藤晴美、坂東希、女優としても活動していて表現力が豊かな石井杏奈と山口乃々華、そして、それぞれ唯一無二の歌声を持つ鷲尾伶菜、藤井夏恋、武部柚那が名を連ねている。

 これまでよりセクションが明確であるため、パフォーマンスのキレやバリエーションはさらに増していきそうだ。たとえば、SAYAKA&YURINOコンビと、石井杏奈&山口乃々華コンビが、シンメトリーで方向性の異なるダンスをそれぞれ披露するなど、各パフォーマーの個性を活かした表現も目に浮かぶ。人数が減った分、各メンバーにかかる期待も大きくなるはずだが、彼女たちならきっと想像以上のパフォーマンスを見せてくれるはずだ。まずは新曲を楽しみに待ちたい。

 Dreamのグループとしての活動は現時点では未定だが、発表されたDreamメンバーのメッセージを見ると「今後はそれぞれのメンバーが名前に“Dream”を冠して、それぞれが自身の表現を追求していく」とのこと。ちなみに、Dream Shizukaが専念するDANCE EARTH PARTYには、EXILE ÜSAとEXILE TETSUYAがいるが、彼らは今後もEXILE TRIBEの一員であることに変わりない。DANCE EARTH PARTYは、「EXILE TRIBEとE.G.familyの架け橋という位置付け」だという。

 プロジェクトとしてのE-girlsは、各メンバーが成長を遂げたことで、ひとつの到達点を見た。今後はE.G.familyとして、さらに多様性に富んだ表現を見せてくれるのだろう。思えばEXILEも、ひとつのステージをクリアーするごとに、その組織をドラスティックに変革し、他に類を見ない進化を遂げてきたグループだ。現状に甘んじることなく、常に進化を求める姿勢こそが、LDHが掲げる「エンタテイメントの追求」そのものなのかもしれない。(松田広宣)