増沢 隆太 / 株式会社RMロンドンパートナーズ

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1.雰囲気
職場選びで雰囲気を重視するという学生の声は多くあります。就職情報会社大手・ディスコの「キャリタス就活 2018 学生モニター調査結果」でも、就職先選びのベスト5にほぼ毎年「職場の雰囲気」は入っています。そりゃ、雰囲気の悪い会社にわざわざ入りたい人はいないと思いますが、それでも「職場の雰囲気」って何なんでしょう?

少なくともオフィスレイアウトのことではなさそうです。やはり人間関係とか、今流行の残業しない具合とか、あるいは上司の評価ぶり、同僚との関係性など考えられます。しかしそうだとしたら、それって雰囲気なんでしょうか?「人間関係」とか「評価体制」などの方がもっと明確にならないでしょうか。

正規非正規格差の拡大と固定化が進んでいることで、ごく一部の大企業などを除き職場のギスギスぶりも進んでいるように感じます。キャリアカウンセリングで当方を訪れる方も、正規雇用でそこそこ恵まれた労働条件にみえても、ギスギスぶりに耐えられず辞めたいという相談はいくらでもあります。

2.雰囲気はどうやってできる
最近は日系企業も外資系企業も事業部制や、コスト/プロフィットセンターで組織を作ることが増え、結果として部課やビジネスユニットが違えば別会社といわれるほど関係性が薄かったり、断絶していることも増えました。すなわち会社という色ではなく、職場が独立した雰囲気を持っていることが多いのです。

会社であれ、部課であれ、そうした雰囲気はどうやって作られるかといえば、当然その管理者の影響が最も大きくなります。会社なら社長、部課なら部長課長などのマネージャー職の人間性が大きく反映するでしょう。日系企業に外資出身マネージャーが、当然その逆もあって、ますます雰囲気は人間関係との結び付きが強いように見えます。

一般的に管理者はその職場限定のトップであり、人事権も持っています。自分が経営(営業)責任を負う以上、自分の意にそぐわない人間は置きたくないもの。結果として自分の言うことを聞く人間を高評価したり、昇進させたりという淘汰によって、その職場は管理者色に染まっていきます。こうして雰囲気が醸成されることになります。

農薬に耐性の出来た害虫が生き残って生態系が変わってしまうみたいなものでしょうか?ブラック企業のように会社をあげて社員を搾取する組織もあるでしょうがその方が例外的と考えて良いのではないでしょうか。つまり雰囲気を見たい、知りたいのであれば、その組織の管理者を知れば、かなり想定が可能ということになります。では会社に入る前の学生や転職する前の他社従業員はそれを見れるのでしょうか。

3.管理者の属人的影響
面接は応募者が奴隷売買のように一方的に値踏みされるプロセスではありません。新卒学生であれ社会人転職であれ、面接はその会社を見定めるという重要な目的があるのを忘れてはなりません。面接のコミュニケーションを通じて、自分と価値観が近いとか、質問や発言がわかりやすい/逆に何かひっかかるといった「雰囲気」を調べられるのは、面接がもっとも適しています。

もちろんわずか1時間にも満たない面接でわかることは限られます。それでも質問や意見交換を通じて、職場の雰囲気は自らが感じ取る必要があります。「職場の雰囲気は良いですか?」と面接で質問する人がいますが、「悪いです」という応えがある訳がなく、また「ギスギスしてます」「ヌシやお局のような社員がいます」とも言ってくれないでしょう。

先に「生態系」という言葉を使いました。組織は生きています。生態系と同じく、生きている以上日々変わっていくのです。さすがに全く肌に合わない職場では無理かも知れませんが、そこまで絶望的に合わないと感じるものがなければ、あまり雰囲気にこだわっても何も生まれないのではないでしょうか。どうせ管理者が変われば職場の雰囲気は変わります。管理者だったり、自分自身が異動することもあります。

2年先3年先5年先がどうなるかは誰にもわかりません。今、フィーリングがバッチリ合う職場だとしても、永遠に絶対的にそのまま続くことはあり得ません。良くも悪くも変化する、それが職場の雰囲気という存在です。