サディク・カーン・ロンドン市長(左)と、ドナルド・トランプ米大統領(2017年6月5日作成)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は5日、英ロンドン(London)で起きた襲撃事件を引き合いに、一部イスラム圏諸国からの渡航者に対する入国禁止令の復活を要求した。トランプ氏の発言は英国との外交上の摩擦を引き起こすとともに、入国禁止令をめぐる裁判での形勢を危うくしている。

 トランプ氏は、3日に起きた襲撃の犠牲者7人の埋葬も済まないうちに、サディク・カーン(Sadiq Khan)ロンドン市長に対し、テロの脅威を甘く見ているとする批判を繰り返した。

 カーン市長はロンドン市民に対し、襲撃事件を受けて街に警官の姿が増えるものの心配は無用だと呼び掛けていたが、トランプ氏はこの声明を曲解した上に、カーン氏が「哀れな言い訳」をしていると非難。

「われわれはポリティカル・コレクトネス(偏見や差別を含まない中立的な発言や行動)を守ろうとするのをやめ、国民のために腰を入れて治安の問題に取り組まなければならない。賢くならなければ、状況は悪化するばかりだ」と主張した。

 英当局者らには個人的にロンドンが地元の人が多く、非公式の場ではトランプ氏の言動に対して激しい怒りをあらわにしている。

 また総選挙の投票を8日に控え、トランプ氏に対する非難を表明するよう圧力を受けているテリーザ・メイ(Theresa May)英首相も、カーン氏を弁護。所属政党のライバル関係にもかかわらず、「サディク・カーン氏はよくやっていると思う。それ以外の意見は何であれ誤りだ。彼はよくやっている」と述べた。

 また、連邦裁判所から執行を差し止められた入国禁止令を弁護するためにトランプ氏が展開した強気のツイートも、批判の種となっている。

 ホワイトハウス(White House)は同大統領令が恒久的に無効とされることを防ごうと、この措置は「禁止」ではないと強調。違憲であることが確実視されるような、イスラム教徒を対象としたものでもないとも主張している。

 しかし、トランプ氏は率直に、「大衆も、法律家も、裁判所も、好きなように呼べばいいが、私はこれを、われわれに必要なもの、ありのままのものとして呼んでいる。『入国禁止令』だ!」とツイート。さらに、「わが国の安全を維持するため、われわれは何があっても、米国に入ってくる者たちを調べ尽くす。裁判所はのろまで、政治的だ!」とし、米政界では異例の司法非難を展開した。

 トランプ氏はさらに、自身の入国禁止令を「ずっと強力」にすることを呼び掛けるとともに、この措置をめぐる最高裁判所での「速やかな」審理を要求した。
【翻訳編集】AFPBB News